朝食と糖尿病の関係

朝食をとらない子供は、より糖尿病になりやすい傾向があるようだ。


PLOS Medicine 2014年9月2日


糖尿病は、食事などの生活習慣と関係した病気だ。このたび、子供の朝食のとり方と、糖尿病全体の95%を占める2型糖尿病との関連について調査が行われた。


イギリス、ロンドン大学のドニン博士らは、9〜10歳の子供4116人ついて朝食とる頻度と、糖尿病になるリスクをはかる指標である「空腹時血中インスリン濃度」との関係を調べた。インスリンとは、血中の糖の量をおさえるホルモンである。空腹時のインスリン濃度が高いほど、体内でインスリンへの感受性が低くなっており、糖尿病になるリスクが高い。


調査の結果、朝食をとらない子供は毎日朝食をとる子供より、空腹時の血中インスリン濃度が約30%近くも高いことがわかった。また、高繊維質な朝食をとる子供は、とくに糖尿病になりにくい傾向にあることがわかった。調査から朝食の頻度と糖尿病のリスクとの間には関連があり、朝食をとる子供のほうが糖尿病になりにくい可能性が示された。

「NEWTON」2014年12月号



頭痛を治す方法 目の奥の痛みと頭顔の部分的に麻痺のような感覚


手指のバネ指のような動きを一時的だがすぐに治す方法


口を開け閉めするカクカク音や痛みを治す方法

燃料をつくる細菌

遺伝子組かえをした大腸菌に「プロパン」をつくらせる方法が開発された。


nature communications


2014年9月2日


私たちの電気の多くは、石油燃料などの化石燃料を燃やすことで得られている。
しかし、化石燃料などの埋蔵量には限界があり、このままでは200年程度ですべて使い切ってしまうとも言われている。そのため、持続可能な燃料の開発が期待されている。


フィンランド、トゥルク大学のカリオ博士らは、燃料となる天然ガスの成分であるプロパンを、大腸菌を使って合成することに成功した。プロパンは酪酸という物質から合成されてできる物質である。そこで博士らは、大腸菌に栄養源となる糖から酪酸を合成する酵素の遺伝子と、酪産からプロパンを合成するいくつかの酵素の遺伝子を組みこんだ。この大腸菌を培養すると、培養液に含まれる糖からプロパンを効率よく合成するようになった。
さまざまな燃料を大量に生物につくらせる研究が、今後重要になっていくだろう、と博士らは述べている。


頭痛を治す方法 目の奥の痛みと頭顔の部分的に麻痺のような感覚


手指のバネ指のような動きを一時的だがすぐに治す方法


口を開け閉めするカクカク音や痛みを治す方法

レアメタルフリーの電池

地球上に豊富に存在する元素のみを使った、大容量の電池が開発された。
nature material 2012年5月号


電気をたくわえるものとして、リチウム電池が広く利用されている。
この電池の電極は、リチウム、鉄、マンガンの層状構造になっている。
ただし、リチウムはレアメタルの一種であり、まとまって産出しにくい元素だ。
そのため、レアメタルを使わない電池の開発が進められていた。


東京理科大学の薮内直明博士らは、レアメタルフリーの「ナトリウムイオン電池」を開発した。
博士らは、リチウムをそれとよく似た性質のナトリウムに置きかえた。
その後、地球上に豊富に存在する、鉄、マンガン、ナトリウムを組み合わせて、層状構造をもつ材料をつくった。
この材料を調べたところ、蓄電池の電極材料として、よりすぐれた特性を示すことがわかった。
この材料を用いた電池は、従来のリチウムイオン電池の約2倍の容量があるという。
今回、開発された電池は電気自動車の電源として実用化できるだろう、と博士らはのべている。


「NEWTON」2012年9月号

光でガスをとらえる

わずかな量のガスを高精度に検出できる小さな装置が開発された。
nature materials2011年8月号


水素を利用する燃料電池の開発において、ガス濃度を高精度に検出する技術は重要である。
これまでは、電気の力でガス濃度を計測していた。しかし、水素に電気を使うと爆発の危険性があった。


アメリカ、カリフォルニア大学のリュウ博士らは、光を利用してガス濃度を高精度にはかる装置を開発した。
この装置は、金でつくられた三角形板の一つの頂点の近くに、バラジウム粒子を設置している。
大きさは数十ナノメートル(ナノは10億分の一)だ。
この装置に光を照射すると、金とバラジウムの間に光のエネルギーが蓄積される。
この状態で、装置の近くにガスが存在すると、ガスがエネルギーを吸収することで、装置から再放出される光の波長が変化する。
この波長のずれから、ガス濃度を高感度に計測できるという。


博士らは、今回の成果をさらに発展させて、ガス分子1個でも検出可能なセンサーの実用化をめざしたい、とのべている。
「NEWTON」2011年12月号

省エネの高速メモリ

現在使われているフラッシュメモリに、とってかわっりうる素材が開発された。
nature nanotechnology2011年8月号


メモリ(半導体)とは、情報を記憶するコンピューターの部品である。
シリコンを用いた現在の半導体では、メモリの高速化を行なうと、消費エネルギーが大きくなり、さらに耐久性が失われるという欠点があった。
現在、シリコンと同様に半導体の性質をもったゲルマニウムを使って、新しい半導体をつくる研究が進んでいる。


産業技術総合研究所のシンプソン博士らは、省エネルギーで、耐久性を保持したまま、情報を高速に交換できる半導体の素材を開発した。
この素材はテルルアンチモンが結合した層と、ゲルマニウムテルルが結合した層が重なった構造をしている。
この素材に電気を瞬間的に流すとゲルマニウム原子が移動し、高い電気抵抗をもつようになる。
抵抗値の高い状態と低い状態を使い分けることで、情報を記憶できるという。


博士らは、今回の半導体は、現在のメモリにとってかわる素材となるだろう、とのべている。
「NEWTON」2011年12月号

肥満にきく延命薬

ある化合物が、肥満マウスの寿命をのばす効果があるこおとがわかった。
Scientific Reports2011年8月18日


哺乳類の「Sirt1」という遺伝子は、加齢にともなう病気の発症を遅らせるなど、長寿効果にかかわるとされる。
この遺伝子を活性化する「SRTI1720」という人口化合物が知られているが、生物での実験の効果は不明だった。


アメリカ、国立衛生研究所のマイナー博士らは、高脂肪食で育てた肥満マウスにSRTI1720を投与したところ、
寿命が延びたことを報告した。肝臓の脂肪量が減少したり、代謝機能が正常化したりするなど、肥満のさまざまな悪影響が打ち消されたという。
SRTI1720は、細胞内でエネルギーをつくる小器官であるミトコンドリアのはたらきを間接的に高め、長寿につながる可能性も示された。


博士らは、ヒトでも同様の延命薬を開発できるかもしれない、とのべている。ただし、SRTI1720によって寿命がのびた肥満マウスであっても、正常なマウスよりは延命だったことに注意は必要だ、としてきされている。
「NEWTON」2011年12月号

高効率発電の妙案

回転軸が地面に垂直な風車で、風力発電所の能力が10倍になるかもしれない。
Journal of Renewable and Sustainable Energy 2011年7月号


風力発電に用いられる風車は回転軸が水平のものが一般的だ。
水平軸型は、発電効率は優れるが、風が乱され風車同士が干渉して効率が悪化するため接近させて並べることができなかった。


アメリカ、カリフォルニア工科大学のダビリ教授は、回転軸が垂直の風車に着目し、実験の風車6基を用いて、風車の間隔や配置による発電効率のちがいを調べる野外実験を行なった。
その結果、垂直軸型は水平軸型より単独での効率はおとるものの、風車どうしの干渉が小さく、同じ面積に設置できる数が大幅にふえることがわかった。
となりあう風車の回転方向を逆にすると効率は更に改善し単位面積あたりの発電量は水平軸型の10倍に達するという。
水平軸型、直径100メートルをこす巨大風車もざらだが、製造費や騒音、景観への影響などが問題となっている。
博士らは、垂直軸型風車でこのような問題も全て解決できると述べている。
「NEWTON」2011年12月号