2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

広岡裕児「EU騒乱」(5)

第4章「別の欧州」 この章と次の章が広岡氏の一番主張したかった部分ではないかと思う。 まず農業の問題が論じられる。EUになるということは物の動きに国境がなくなるということであるから、農産物についても国の外に安いものがあれば、それを輸入すると…

広岡裕児「EU騒乱」(4)

第3章「「共同体」の選択」 この章ではEUの成立過程を論じる。そしてそれが一部知識人と政治家の夢から発して次第に現実のものとなっていく姿が示される。 スタートはフランスのロベール・シューマン外相。1950年5月に外務省の広間での記者会見での…

広岡裕児「EU騒乱」(3)

第2章「EUとギリシャの危険なドラマ」 2012年、アテネの広場で77歳の老人が拳銃自殺した。「自分は高齢でもう抗議活動をすることはできないが、ゴミ箱をあさるようなことをようなことをしないで生きるという威厳ある生き方をまっとうするためにはこ…

広岡裕児「EU騒乱」(2)

序章 EUにはシェンゲン協定というものがある。加盟国内での人の移動を自由にする協定である。EU加盟国では英国とアイルランドがこの協定に参加しておらず、スイス、ノルウェー、アイスランドはEUに加盟していない(この協定のことも、スイス、ノルウェ…

広岡裕児「EU騒乱」(1)

最近の英国のEU離脱などを見て、わからないことばかりであるので、少し勉強しなくてはと思って、たまたま書店で目について買ってきたもの。著者の名前も知らなかったが、長くフランスに住んでいるジャーナリストのかたらしい。主としてフランスから見たE…

湯川豊「丸谷才一を読む」

丸谷才一を読む (朝日選書)作者: 湯川豊出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2016/06/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る 「はじめに」に「丸谷才一は、本を読むのは楽しむのが第一、楽しくなければ読むのはやめたほうがいい、といった…

倉橋由美子「最後の祝宴」

最後の祝宴作者: 倉橋由美子出版社/メーカー: 幻戯書房発売日: 2015/05/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る 古屋美登里というかたが、倉橋氏の単行本未収録の文を集め、「倉橋由美子全作品」の自作解題「作品ノート」をも併せて収録したも…

山本七平「田中角栄の時代」

田中角栄の時代作者: 山本七平出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2016/06/30メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る 以前に『「御時世」の研究」』というタイトルで刊行されたものの改題再刊らしい。 山本氏の本はある程度読んで…

考える人 2016年夏号「特集 谷川俊太郎」

考える人 2016年 08 月号出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/07/04メディア: 雑誌この商品を含むブログ (5件) を見る 尾崎真理子という方を聞き手にした谷川氏のロング・インタヴューがある。読んで「ヤな奴だな」と思う。例えば、佐野洋子さんについて。 …