『はてなポストモダン村』(ゲゼルシャフトとゲマインシャフトからはてなを考える、に触れて2−(4)最終回)

今日は、一昨日の続きで、「ポスト2ちゃんねる」サイトの要件や方法論について語ろうと思います。
jo_30は、3/16付の日記で次のように書きました。

・ただし、2ちゃんねるが持っている機能のうちいくつかを分解して、その欠点を克服し、かつその良さを残した形で改良されたサイト(システム)をつくる事は不可能ではない(たとえば質問に対して回答が来るという機能)→理想としての「人力検索
・「はてな」の成功のカギは、2ちゃんねるのように単一化された形ではなく、それぞれの別種のサービスがゆるやかに一つに統合されたような「サイト連合」のイメージの中にある(a〜zまでをサービスで埋め尽くす!)。

これが、jo_30のイメージする「ポスト2ちゃんねる」サイトの要件であり、あり方です。その機能的ポイントは
 (a)機能を特化したサービス
 (b)サイトの連合
 (c)反匿名性
です。昨今ブログが非常にもてはやされ、その新たな可能性が様々に喧伝されていますが、私見ではブログもまた上記を実現するために特化した一つのツールと考えるのが妥当ではないでしょうか。人力検索だって、フォトライフ、アンテナ、ソーシャルブックマークだって、ブログに劣らない立派なコミュニティツールたり得ると思います。各種の検索サイトがポータルサイト化した際に多様なサービスをID制とともに導入しましたが、「はてな」がそれらと違うところはここで述べたような、ゲマインシャフトとしてのコミュニティ(を形成する力)に対する意識ではないでしょうか。
それと関連して、ソーシャルブックマークのページで見かけた「これからのオンラインビジネスのキーワードは、ブログとRSSを使ったSMO(社会的マーケティング最適化)」という記事は、今回の議論に絡んで非常に面白いです。要は「企業も、"ブログ"やろうぜ」っていう元の英語記事を訳してくれているんだけど(こちら元記事がすらすら読めるほど賢くないんで(苦笑))、その中で述べられていることは、
 ・ブログのコミュニティ形成力は、他のメディアと比較してとても重要だ
 ・そのポイントは、ブログの持っている「対話性」*1が醸成する「信頼感」であること
 ・デジタルカンバセイションの市場では、信頼こそが通貨である*2
 ・つまりブログとは、「生きたメディア(ライブメディア)」なんである。
そして、「近い将来ブログを制することが広告戦略のキーになるだろう…合い言葉は『会(デジ)話してるかい?』だよね」、と結ばれるんだけど、それはまあおいといて、ここでまとめられているブログの可能性というのは日常使いの我々の感じているブログの利点をなるほどとてもよく説明してくれていると同時に、それが実はブログだけの特徴ではなくインターネット接続環境というハードウェアがここまで整えられた現在人々がそこに求めているソフトウェアが何か、という方向性を非常によく示してくれているという点でとても興味深いわけです。なぜなら、それはまさにここまで述べてきた「はてなの未来」とピタリ重なるから。匿名性を廃し、かつ信頼という通貨の流通によって築かれる、固定化されない緩やかな連帯に基づくコミュニティ。

それはゲゼルシャフトでもなくゲマインシャフトでもない。運営する側からすればゲゼルシャフトでありながら、参加者にとってはゲマインシャフト的であり、かつその二つの望む利点を利用可能なもの

両者の特徴を併せ持つ結果として、完成された形は「一見完成とは見えない雑多な姿」としてある種の「ゆらぎ」を内包し続ける 

(いずれも、3/16日記事より)
そのようなものを「はてな」が作り上げることができたとすれば((おそらく社長id:jkondo氏はそう言った類の(この通りとは言いませんが)明確なビジョンを持って動いている筈です))、はてなユーザー100万人単位化、そして世界に羽ばたくコミュニティシステムの構築、というのも満更ホラではなくなるだろうと思います。
……というわけで、今後色々と追記することになると思いますが、ここで一端話を閉じます。

*1:ブログを使って交わされるのは、 話ならぬ「デジ話(デジタルカンバセイション)」なのだ!

*2:はてなにおいてはIDこそが通貨なのだ!という話に似てますね