Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

自民党の中年若手はダメかな?

<自民勉強会>木原・青年局長を更迭 1年間の役職停止処分(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150627-00000031-mai-pol

 なんか、いろいろと燃え広がっているようだ。それぞれにも言い分はあろうが、政治家がメディアに露骨な圧力を掛けるような発言をしたこと自体がセンスを疑うし(ネットの戯れ言とは意味と重みが違う)、そもそも賞味期限をとっくに過ぎたような百田氏を講師に招くというタイミングの読めなさは政治家として致命的ではないかと思う。
 百田氏のストーリーテラーとしての実績には一定の見るべきものがあると思うが、彼の政治的な発言をきちんと知っていたならば、少なくとも現時点で呼びたい講師ではない。仮に、そのタイミングの悪さを知った上で彼を講師としたのであれば、偏った感覚(というか、威勢の良さでしか自らの政治能力を誇示できない能力の低さ)をせいぜい嘆いて欲しい。
 逆に、何となく有名人だから呼んだというレベルであったとすれば、社会的な状況が見えていない時点でその政治的センスを疑わざるを得ない。

 実際に、誰が百田氏を講師として招くことを提案したのかはわからないが、それでも了承したのがこの勉強会の幹部だ言うのは当然だろうから、年齢的に若手とは言えない歳ではあるもののセンスのなさに唖然とする。
 だからと言って民主党の若手議員のレベルが高いと言うつもりは更々無いが、判っていた事とは言えど国会議員でもそれかと悲しくなってくる(地方議員は更にセンスが悪い人が多くてもっと悲しい)。ただ、政治家という稼業はそれなる上ではセンスよりも地盤や影響力が大きくものを言うため、政治家になるためのセンスを持っている人は数多くいる。
 弁護士の資格を取ったからと言って弁護士に向いているかどうかはわからないように、政治家だからと言って政治家に向いていない人は私の勝手な見立てではあるが少なからず存在する。始末が悪いのは、そのセンスのなさを自らが気づいていないことが多く、更に言えば支援者達がそれを無視しているというのもある。

 さて、与党が衆議院における絶対安定多数を確保していることもあって、与党の暴走に対するチェックが厳しくなっていることは誰もが知っている事であろう。これはその信託を受けた存在としてはある意味当然の責務であって、邪魔されるからと言ってメディアに圧力を掛けるなどと言う発言(その前に、そう考えること)をすること自体が自らの置かれている状況をきちんと認識できていない証拠であろう。
 むしろ、マスコミからは叩かれまくっているものの官邸などの政府首脳の方がずっと理性的な対応をしていると言えるだろう。だからこそ必死になってマスコミは小さなアラを騒ぎ立てているのだ。

 他にも小林よしのり氏を招くという計画も中止になったそうな。彼は政治に対する一言で一世を風靡した人物であり、現在の彼(天の邪鬼な性格故かもしれないが)の言論に賛成するつもりは更々無いが、百田氏よりは日本の置かれた基本を抑えている人間と私は見ている。
 まあ、それにしても有名ではなくとも呼ぶべき人はもっと数多くいるだろうと思うが、政治家がメジャー思考で勉強会の講師を呼ぶというのも正直げんなりする(もっとも、昔からそうだったのかも知れない)。本当に講師に呼ぶのであれば威勢の良い(しかし知識量の少ない)論客よりも、多彩な知識と経験を有した論客を多方面に求めるべきだろう。
 逆に言えば、政治家が生の詳細データに接するのを面倒だと逃げて、一定の心地よいパッケージ論を聞く方を好んでいたのだとすれば、それ自体が恐ろしい。

 政治は、既にここでも何度も書いてきたことであるが、施策を作ることよりもそれをいつのタイミングで実行するかが最も求められる職業である。概ねのメニューは官僚なり、あるいは別の専門家が案を複数提示している。その案に深みを与えたり欠陥を指摘することも政治家の役割の一つではあるが、繰り返しになるがその施策をいつ実行するのが将来にとって最も良いのかを独特のセンスで計るのが政治家の最大の職能である。
 それは官僚にも学者にもできない(確かに一部にはセンスのあるそう言う人もいるが)。

 すなわち、今回の件で自民党の若手(と呼ばれる)議員の内の少なくとも幾人かには、決定的に政治センスが欠けていることが判った。それを今後のための教訓と考えるか、あるいは終わりの始まりだと思うかは人それぞれだろうが、できる事なら与野党を問わずにセンスのある政治家が増えてもらいたいものである。
 あ、民主党の現党首はセンスがないと思うことを付け加えておきたい。まあ、少し前にはもっと壊滅的な二人(最低と最悪)がいたのだが。