ハネケンさん

 ここ数週間、なぜか『ラプソディ・イン・ブルー』がしばしば自分の脳内 BGM として流れるのだが、この曲と連動していつも羽田健太郎氏が脳裏に浮かぶ。
 15 年くらい前に NHK テレビで羽田氏がメインで出演していた音楽番組があり、その最終回で最後に演奏された曲が『ラプソディ・イン・ブルー』だった。番組の歴史を締めくくる一曲ということで、演奏メンバーもセットもカメラワークも曲の演奏時間も破格の扱い。その中心で、羽田氏はピアノを弾きつつ指揮を務める。そして渾身の演奏を終えたときの羽田氏の表情は、いつものにこやかな笑顔ではなく、口を真一文字に結んでまぶたを閉じた険しい顔であった。普段 TV で親しまれているひょうきんなキャラの裏側の素顔を垣間見た気がして、強く印象に残った。
 その演奏はビデオに録画してあって、実は先日 HDD にダビングするにあたって再生を見たばかり。
 氏の突然の訃報に驚き、早すぎる死を悼ましく感じるとともに、あの険しい表情が『ラプソディ・イン・ブルー』の旋律と一体になって再び鮮烈に思い出されるのだ。