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今日日の私・新

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2007-10-26

山越え


 10/24 (水):装置の搬出準備作業、ラストスパート。箱詰めやリスト作成を深夜3時半頃まで。疲労が蓄積されていたし、これから帰ったら朝起きられる自信が無い。職場泊。
 10/25 (木):9:30 に運送業者がやってきて、装置の運び出し。11:30 頃に終了、業者撤収。やれやれ、最大の懸念事項が片付いた。これで元々4台あった製膜装置(といっても主に使っていたのは2台だけ)がすべて消え、さらに部屋ががらんとなった。大きな作業は一度にドカッと片付くので気持ちがいい。ちまちました小さい作業はいつ終わるとも知れず、気詰まりする。これからはそういう小さい作業の山が待っている。
 一旦帰宅。しばし横になった後に風呂に入って着替える。自宅の火災保険の解約について保険会社に電話で問合せ。郵便局へ行き、郵便貯金の残高確認。再び職場へ。

 iMac の購入を考える。いま買った場合に Leopard がプリインストールされているかどうかが気になり、電話で Apple に問い合わせる。26 日以降なるべく早く入れるようにしたいが、いつ入るか確約はできないとの返事。入っていなくてもあとで 1280 円払えばアップグレードできる。現職場にいる間にデータの移行を済ませねばならず、さらに古い機種をソフマップに引き取ってもらうキャンペーンも利用したいので、1280 円を犠牲にして早速注文することに決意。

2007-10-24

ゴール


 25 日にフランスへ装置を発送するため、連日、装置の解体作業をしている。
 最近人と話していて、自分はゴールのないことばかりやっている(研究、絵、音楽 etc.)ことに気がついた。と言うとかっこいいけど、ずっと昇り続けているのはしんどくて、つい完成度の低い段階で妥協してしまうのが自分の悪い癖。
 一方、今回の解体作業はゴールのある作業だ。ゴールが決まっていることの安心感とか心地よさってのは確かにあるね。

2007-10-21

行動記録


 午後、形成外科にほくろ除去の相談に行く。保健法だか医療法だかの制約で、1人のほくろは1ヶ月に1個しか除去できないらしい。じゃ出発前に2個取るのは無理か、と思ったら、月が違えばよいらしい。10 月末と 11 月頭に1個ずつ取るのも OK ということ。よくわからないルールだ。
 松任図書館で延滞していた資料を返却し、また本を何冊か借りる。そろそろ全部読んで返すのはきつくなってきたのだが、本棚を前にして何も借りずに帰ることなどできないのだった。ホームセンターで買い出し。職場へ。自動測定装置の試料交換。気温が低いのに軽装で来てあまりに寒いので、一旦帰宅。厚着して再び職場へ。旧研究室の解体作業つづき。動いているうちに身体が暖まってきて T シャツ1枚に。なんだかな。

2007-10-19

ブランド


 製膜を2回。これで此処での製膜はおしまい。感慨深いが、思い残すことはない。
 運送会社に電話して、1週間後に装置を搬出してもらうよう依頼。これからの1週間は、発送する装置の解体や分類、別件で廃液の処理、はたまた共同研究の実験と、ひどく濃密な日々になるだろう。思い残したりしているヒマはないのだ。

 ◇ ◇ ◇
・赤福が製造年月日偽装
 いったん包装した製品を冷凍して保存し、解凍した日付を新たに製造年月日として記載していたとか。非常に似たケースで思い出すのは、いったん瓶に詰めたインスタントコーヒーを再び生産ラインに戻して新品に混ぜていたネスレの一件(ちなみに AGF も同様のことをしていた)。30 〜 40 年前からずっと行なわれていたにもかかわらず、消費者に気付かれなかった点も共通している。
 私は、食べても身体に害がなければいいんじゃないの? という意見だが、どうも世間は赤福については厳しい見方をしているっぽい。でもコンビニ弁当などの製造年月日も怪しいものだし、似た例を挙げたらキリがないよ。赤福の場合はそれまでのブランドイメージが高かったぶん、みんな落差にショックを受けているのか。だからブランドなんて初めから崇拝するべきではない。

構築と破壊


 共通施設に移設されたスパッタ装置の試運転に立ち会う。業者、施設の職員、これから使うユーザーらと共に。
 研究室の製膜装置のポンプを欧州仕様の機種に交換し、真空引きテスト。ポスドクと学生2名の協力を得て。
 研究室の物品の整理や装置の解体を始める。こちらはほとんど1人で。仕事量は多いが、構築に比べれば破壊に要する時間はずっと短い。広くなったスペースで誰にも遠慮せず破壊活動に興じるのは、怪獣になったような気分で結構楽しくもある。ああ、自分は今まで他のメンバーに気を使ってたんだな、とふと思ったり。
 久々の肉体労働で、心地よい疲労。

 ◇ ◇ ◇
■『「青色」に挑んだ男たち』中嶋 彰(2003 日本経済新聞社)★★★★★

 青色発光ダイオードは中村修二氏ただ一人によって作られたのでは決してなく、何名もの研究者がそれぞれの分野で開発した画期的な新技術が融合して初めて生まれたものだ。中村のみならず、その陰に隠れてあまり一般には知られていない開発者たちの、人生や研究秘話を綴るドキュメンタリー。
 開発を成功させた人々には共通して見られる傾向がある。頑固者であること。執念深いこと。人のやらないことをやろうとすること。そしてしばしば彼らは偶然起こった予想外の現象にヒントを得て、偉大な成果への突破口を見つけ出す。それらはよく言われていることではあるが、青色ダイオードの場合にもまさしく当てはまる。

 とりわけ、大学で成果をあげた赤崎勇・天野浩両氏の話に励まされた。1500 回の実験を繰り返したという情熱。また彼らが最初にできた良質結晶の X 線回折評価を他の大学に依頼したエピソードにも注目した。自分のところに装置が揃っていなくても、ある程度装置を融通しあうことで立派な研究は可能なのだ。応用物理学会の講演会での雰囲気も描かれていて楽しい。青色ダイオード開発という大きなテーマのもと、人々が集まり熱気溢れる議論を展開する。課題達成のためのアプローチ(物質の選択、成長方法 etc.)は独創性がなければならないが、課題そのもの(青色ダイオード)はメジャーなほうが充実した研究人生になるということか。
 研究者たちの考え方や心情が暖かい筆致で描かれているので、彼らの人間臭い面を目の当たりにできて嬉しくなる。なので、理系という人種を「何を考えているかわからん」と毛嫌いしている方にも読んでいただきたい。

2007-10-18

土壇場


 不動産屋へ寄ってアパート解約の手続きをしてから出勤。11 月上旬に退居するつもりだが、ここだけの話、退居の1ヶ月以上前に解約手続きしなければならないのを忘れていた。半月分むだな家賃を払わねばならなくなった。
 6月に購入した物品の代金が未払いだという業者からの督促メールが来ていた。忘れていた。伝票一式が届いていないじゃないかと思ったが、再度物品の梱包を見たら、なんと箱の表面に貼付けてある封筒に入っていた。おかげで残りの予算消化のプランが狂ってしまった。自業自得なトラブル二連続。

 自動測定装置の試料交換とか、共同研究者とのやりとりとか。
 計画では、製膜装置で製膜できるのは明日までだが、今日明日は使う者がいない。夜になって考えた末、残りの1日半を使って、長年温めていた未経験の製膜をやってみることに決めた。私は土壇場になって実験を思い立って実行することが結構多い。

2007-10-17

ハレルヤ


 旧研究室の「スパッタ装置」が学内の共通施設へ移設される。また部屋が少しがらんとなった。
 新たな実験道具を工作するべく、設計と部品発注。この期に及んで? いや、向こうでも使えるし。
 自動測定装置の試料交換。
 査読レポートを修正して投稿。最初、こっぴどいコメントをつけてリジェクトしてやろうと思っていたが、考え直して紳士的に理由を説明しつつ再び「大幅改稿」とした。しかし次にまた改善がないようであればリジェクトしようと思う。
 深夜、感想を依頼されていた研究と関係ない文章の感想書き。論文査読の気分をひきずって厳しめのコメントになったかもしれん。

 ◇ ◇ ◇
 ハレルヤがコンビを解散したことを知る。いつかこの日が来る気はしていたが、わりと好きなコンビだったので残念。そしてそれぞれピンとして再始動した2人の芸名を見てまた残念。

2007-10-15

平和賞


 10/11 (木):月末の廃液・廃棄物回収に出すもの調査。この機会に旧研究室に残っているガラクタをあらかた処分せねばならない。いよいよ後片付けも大詰めになってきた。
 10/12 (金):8月に査読を依頼され「改稿を要する」と判定した論文の第2稿の査読。本質的にあまり改善されていない。疲れる。

 10/13 (土):自室の片付け。夜、片町で同僚の送別会。自分の送別会は7月にやってもらったのだが、その後もこうして他人の送別会に出ているという奇妙な状態。なぜか酒が進んで、解散後も一人で2軒ほど回ったようだ。どうやって帰ったか記憶にない。
 10/14 (日):二日酔いで気分が悪い。ラーメン屋に入るも完食できず。予約していたので髪を切りに行く。夕方、ようやく持ち直して来た。洗濯とか。
 10/15 (月):研究室の装置を学内の別の建物に移すための解体作業。今回はほとんど業者が作業し、こちらは時々見るだけ。査読レポート書きの続き。一晩寝かせて明日朝に送る予定。

 ◇ ◇ ◇
・アル・ゴア氏に平和賞
 2000 年の大統領選でこの人が当選していたら、どんな世界になっていただろう。

2007-10-11

化学賞


 職場泊。朝帰りして仮眠して再出勤。午後から製膜2回。
 合間に職場の健康診断。便を採取できるかどうか危ぶまれたがなんとか採取でき、受付終了ぎりぎりにすべりこむ。体重は努力の甲斐あって昨年に比べ 2 kg 減少した。しかし、この機会に過去の健康診断の結果を見返してみたら、10 年前は今より 10 kg 軽かったんだな。ズボンが次々にはけなくなるわけだ。ちなみに自分は 33 〜 36 歳頃が一番体重の伸び率が高い時期だったこともわかった。新陳代謝的には 33 歳頃から中年になったということか。

 ノーベル化学賞は、固体表面の触媒反応の研究に。

2007-10-10

物理学賞


 製膜3回。合間に↓を読了。

 ◇ ◇ ◇
■『陰日向に咲く劇団ひとり(2006 幻冬社)★★★☆☆

 短編集で、各短編の主人公が別の短編に脇役でチラッと出てくる。こういう複数の視点を持った形式は好きだ。読者の思い込みを裏切る仕掛けもいくつか仕込まれていて楽しい。スルスル読めたけど、もう少しディテールを書き込んで、情景や空気感が伝わるようにしてほしかったな、などと思った。ところで同名映画の公式サイトを見ると、どうやら複数の物語を強引に1つの流れにまとめているようで、『ALWAYS 三丁目の夕日』みたいに焦点がぼやけてしまわないか、と懸念。

 ◇ ◇ ◇
 ノーベル物理学賞は巨大磁気抵抗効果を発見したフランスドイツ研究者に決定。我々の研究に近くなくもない分野なので、自分の中では例年よりも盛り上がった。

2007-10-09

フルホンヤ


 10/6 (土):『異邦人』アルベール・カミュ(1942)/窪田啓作訳(1954 新潮文庫)読了。★★★☆☆ 自分にも主人公と似た所が少しあるな。
 午後から職場へ。論文の日本語下書き。
 10/7 (日):職場泊。日本語下書きの続き。第1稿を書き上げ、共同研究者にメール送付。朝 10 時頃帰宅。洗濯とか、車の販売店とか、au の販売店とか。家にある本の大規模な整理を始める。

 10/8 (月・祝):整理のつづき。処分する本のうち状態の良いものを古書店に売りに行く。いわゆる新古書店に本を売ることが是か非か、世間でも問題になっているし少し葛藤もあるのだが、もともと自分は古本屋を愛する者だったことを思い出し、今さら売り控えても仕方が無いと割り切る。

2007-10-05

査読速度


 6月末に JJAP に投稿した共同研究者の論文、状況を web で時々確認するのだが、まだ閲読中との表示。ずいぶん時間がかかっているなあと思って、同じ雑誌に載っている他の論文はどうなのか見てみると、だいたい平均は2ヶ月ぐらいで掲載決定もしくは改訂原稿提出されているが、速いものは1週間で掲載決定しているのに対し、遅いものは7ヶ月ぐらいかかっている。ちょっとムラがありすぎるのではないか。もし自分の投稿した論文が7ヶ月も放置されたらと思うと、怖くて誰も投稿したがらないよ。投稿者としてはどの雑誌に投稿するかを選ぶ際に、雑誌のジャンルやインパクトファクターや発行国と並んで、どれだけ速く結果が来るかも重要な判断材料である。誰かいろいろな雑誌について査読日数の統計を取ってないだろうか。

2007-10-04

減量スケーリング


 「10 日で 5 キロやせる」などというダイエット商売の謳い文句をよく見かける(ググったら 2000 件近くヒットした)。実際には万人がそのとおりに減量できるわけではない。120 kg の人が 5 kg 痩せるのと、50 kg の人が 5 kg 痩せるのでは大違いだ。同じ理由で「10 日で 5 キロなら、40 日で 20 キロ痩せるんだな」と受け取ってはいけない。10 日で 5 キロやせるのは、できたとしても最初だけだ。
 減量中の体重は linear に(図左)ではなく exponential に(図右)減って行くのが自然だ。より正確に言うと
  y = y0 + A exp (- x / t)  
  ここで y : 体重
      y0 : 標準体重
      A : 定数(y0 + A が減量開始時の体重)
      x : 日数
      t : 時定数
のように推移して行くと思う。標準体重を上回っている部分(y - y0)を贅肉と定義すると、贅肉の部分が exponential に減るということね。ダイエット開始時は比較的速く減るが、同じメニューを続けていても次第に減り方がゆっくりになり、最終的に y0 に到達する(y0 を通り過ぎてさらに減って行ったとしたら、それは身体に悪いダイエット方法であろう)。

 さて、1年で 117 kg から 67 kg に減量した岡田斗司夫氏の体重の推移はどうだったのだろうと思って、『いつまでもデブと思うなよ』を書店で立ち読みしてみた。お目当ての体重や体脂肪率の推移のグラフは後ろのほうに載っていた。体重を見ると案の定、初期の頃は傾きが急で、次第になだらかになり、ある体重に漸近している。まさに上の式のとおりの振舞いを示していたので嬉しかった。大雑把なフィッティングをすると、彼の贅肉は大体2週間に1割のペースで減っていたようだ(その間ずっと同じメニューを続けていたかどうかは知らないけど)。
 この評価方法なら、デブの人も普通体型の人も一様に比較できる。贅肉(= 体重 − 標準体重)を2週間に1割落とせれば、だいたい岡田氏並みと言える。(標準体重は、たとえばこちらで。)

2007-10-02

テルミン


 終日デスクワーク。論文用の図面作成、雑誌チェックなど。最近今一つやる気が出ないので、今日はやるべきこと1つにつき1時間と時間を決め、携帯のアラームをセットして、できるだけ1時間以内にそれぞれの仕事を終わらせるよう努めた。1時間経ってアラームが鳴ったら、途中でも中止して次の仕事に移る。なんか小学生レベルのセルフコントロール法で情けないけど、まあ自堕落な状況に歯止めをかける効果はあったかも。この方法で極限まで時間の無駄を省けば、1日に 17 個くらい仕事できるんじゃないの? いやそれはさすがに。

大人の科学 vol.17
 これ欲しい! って、引っ越し前なのに。

2007-10-01

連休連休また連休


 9/29 (土):結局完全休日。午後3時頃までうだうだ過ごす。人生に例えれば 40 歳までうだうだ過ごしたのと同じか……。『犬神家の一族』市川崑監督(1976)観る。★★★★☆
 9/30 (日):職場へ。製膜2回。
 10/1 (月):創立記念日で休み。4週連続3連休! 最近は祝日を月曜にシフトさせる制度ができたり、5月4日がこじつけっぽい名目で祝日になったり、昔に比べるとずいぶん休みに甘くなってるな(もっと昔は振替休日すらなかったし)。ハッピーマンデーとかゴールデンウィークとかいう名称には、休日はすばらしいものだという無条件の前提が見て取れるが、あまり連休が多いのは果たしてハッピーと言えるのだろうか。などと休みながら考えたり。

 ◇ ◇ ◇
■『エビータ』アラン・パーカー監督(1997 米)★★★★☆

 主演がマドンナという点で正直あまり期待せずに観たが、予想以上に物語世界に引き込まれた。田舎の私生児が都会に出て成り上がっていく波瀾万丈のストーリー、実話であることの重み、アルゼンチンの異国情緒と 20 世紀前半の時代のうねりのエネルギーなどが、相乗効果を生んで迫って来た。マドンナのエヴァ・ペロン大統領夫人もハマっていたと言っていい。宮殿のバルコニーから群衆に向かって『アルゼンチンよ泣かないで』を歌うシーンには、どうしても胸を熱くさせられてしまう。

 この作品は全編、台詞がほとんど歌で歌われている。いくらミュージカルとはいえ、こういう形式には拒否反応を示す人も多く、私も観始めてしばらくは辟易していた。しかし狂言回し役の男(アントニオ・バンデラス)が背景から物語の補足まで何でも歌で説明してくれるのは、ある意味便利で、慣れるとむしろ容易に話について行ける。
 また、映画で一般的に使われる「伏線張り」や「小物などに何かを象徴させる」といった物語上の技法が最近少し鼻につくようになってきたのだが、ミュージカルならそういったあざとい技法は使わずとも歌と踊りで全編もたせられるのだと気付いた。というか、歌と踊りが一番あざとい技法だから他の技法が不要なのか。ともあれ素晴らしい音楽と緻密な構成があればこそ成り立った形式なのであろう。