ピーナツアニメ

■ TV アニメ『SNOOPY : Le Meilleur des Annees 70』★★★★★

 昔 TV 用に作られたピーナツ短編アニメのうち、1971 - 74 年製作のものが収録された DVD を購入。原題を無視して適当に名付けると『シュローダーのコンサート』『ライナスの生徒会長選挙』『美術館見学』『感謝祭』『ミステリー』『イースタービーグル』の6編。いずれも私は幼少時に NHK で日本語版(谷啓バージョン)を見たはずで、今回再鑑賞してディテールの数々に懐かしさを覚えることしばしば。とくに何でもできてしまうスヌーピーは自分の憧れだったことを再認識した。手品かアクロバットのように手際良く料理を作るシーンは、私の深層心理に染み付いていて、いま自分で料理するときにも心のどこかで「あんなふうに手際良く」と念じている自分がいる。他にも登場人物の突飛な発想や喜怒哀楽を露にする行動様式など、自分の人格形成にはこの作品群が大きな影響を及ぼしているのだった。

 ディテールはいろいろ覚えているものの、肝心のストーリー全体はほとんどといってよいほど覚えていないことに我ながらちょっと驚いた。スヌーピーシャーロック・ホームズの衣装で聞き込み捜査する絵柄は覚えていても、肝心の事件が何だったか忘れている有様。音楽も印象的で、『チャーリーブラウンの感謝祭』のテーマ曲は『ライナスとルーシー』と並んで初見時から脳裏に強く刻まれているのに、ペパミントパティがチャーリーブラウンの家に押し掛ける感謝祭エピソードは全く記憶から抜け落ちていた。昔見たアニメはほとんどそうだけど。

 オリジナル版を観るのは初めて。些細な事だけれど、シュローダーがペパミントパティを「パトリシア」と本名で呼ぶことなど、今回初めて知って新鮮に感じた。一般にコミックの谷川俊太郎訳とアニメの佐藤一公訳の間では日本語台詞が微妙に違っていて(当然だが)、米国ではどうなんだろうと以前から疑問に思っていた。アニメのオリジナル台詞を見ると、どうやらコミックの対応するエピソードとほとんど同じ台詞を使っているようだ。あとオリジナルでは本当にコドモが声を当てている。今更だけど、日本語版声優に谷啓とか野沢那智を起用した人って、どういう発想したんでしょうね(非難ではない、不思議に思っただけ)。