あうとわ~ど・ばうんど

Vijay Iyer Sextet - Far From Over

地元店で購入。

Far from Over

Far from Over

Graham Haynes(cor, flh, electronics) Steve Lehman(as) Mark Shim(ts) Vijay Iyer(p, fender rhodes) Stephan Crump(b) Tyshawn Sorey(ds)


ヴィジェイ・アイヤー・セクステットの初アルバム。録音は今年4月。グループ自体は2011年には存在していて(当時のメンバーは、リーマンでなくルドレッシュ・マハンサッパ、タイショーンでなくマーカス・ギルモア、という布陣)、おそらく14年ごろに現体制となって、YouTube などでライブ動画がアップされるたび、いつ作品化されるだろうと待ち焦がれていたのだった。その待望の本作を何度か聴いてみたら、思いのほか「ジャズ」している、という印象。この場合のジャズとは所謂ジャズのことであって、しかも時に電子楽器も用いたりしてさまざまなタイプのジャズが演奏されていて、意外にもなんだか懐かしい気分にさせられる。しかしながらメンバーがメンバーであるから、そこを食い破ってくる各人のソロがやっぱり良くって、とくに一曲目、スティーヴ・リーマンの久しぶりにリミッターを外したようなアグレッシブなプレイにしびれた(アルバム最後の曲のソロを飾るのもリーマンのアルト、というのがまた心憎い)。彼のオクテットにも参加しているマーク・シムも豪快に吹きまくって、20代でブルーノートからデビューした経歴が伊達ではない実力を見せつける。もし次作があれば、フリージャズ的な演奏にも突っ込んでいってもらいたいなあ。


ティザー
www.youtube.com

参考動画(今年6月のライブ)
www.youtube.com

Honsinger / Caloia / Zubot - In The Sea

再び Relative Pitch に戻る。

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Honsinger / Caloia / Zubot - In The Sea
Relative Pitch Records, 2017)
Tristan Honsinger(cello) Nicolas Caloia(b) Joshua Zubot(violin)


「In The Sea」というのがタイトルであるが、これは3人のグループ名でもあるようだ。だから一曲目は、海のない「Setagaya Ku」という曲から始まる。全体的にはクラシック風味の弦楽三重奏なのだけれど、ホンジンガーの音楽にありがちな(?)『節操のなさ』が良い味付けになっていて、中盤で登場する「Black Hill's in Dakotas, Hawai」という曲で聴けるのはハワイアンではなく、沖縄民謡ふうメロディーだったりするから面白い。


参考動画
www.youtube.com

Magda Mayas & Jim Denley - Tempe Jazz

Relative Pitch を引き続き。

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Magda Mayas & Jim Denley - Tempe Jazz
Relative Pitch Records, 2017)
Magda Mayas(clavinet) Jim Denely(as, bfl)


ベルリン在住の鍵盤楽器奏者 Magda Mayas は楽器本来の音を全く出さず電子音なども駆使する即興音楽家で、John Butcher や Christine Abdelnour (Sehnaoui) といった特殊奏法を得意とするサックス奏者との共演が多い。オーストラリア出身の Jim Denley もそうしたマルチリード奏者の一人だそうで、すなわちこのデュオも、クラビネットとアルトサックス(とバスフルート)という組み合わせから想起される音はほとんどない。ではかなりシリアスなインプロデュオかと思いきや、不思議な情緒的ムードが支配していて、うっとり聴き惚れる。