今さら「攻殻機動隊〜STAND ALONE COMPLEX〜」。

語られ尽くしているのだろうけど、とりあえず面白い。久々にこれと「マリみて」と「十兵衛ちゃん2」は録画してます。

押井監督の映画版ではそう感じなかったけど、究極に電脳化、擬体化された近未来がマジやべぇ、シャレなんねぇ。自分の目の黒いうちに電脳化やらサイボーグ技術やらが達成されたら、こんな世界になるんじゃないかって思うと、鬱がひどくなる。SF的には当たり前のことなんだろうけど、最新技術が普遍化される前に、おいしいところは富める者、力のある者が掌握してしまうのだから、支配は容易になる。

弱い者、貧しい者は与えられた生すら全うできない社会。技術が民衆のレベルに降りてきた瞬間に、その誘惑を払いのける自信は僕にはない。ディストピア草薙素子がいる保証はない。現在のロボット技術が軍事転用される可能性を「ロボット三原則」で拘束する理性を人類が持っているかと聞かれたら、現在の状況では悲観するしかないだろう。

核戦争がどうのと言われていた時代すら幸せだったと回顧される世界。革命などあり得ない、せいぜいがニヒリストとテロリストが跋扈し、上層階級を苛立たせることしか出来ない社会。

いやだ。

子供じみた夢想の先に行き着いた結論であっても、僕は抵抗する。

いま、そこにある貧困。

TVの犯罪報道を観ていて気になるのは、大方の粗暴で短絡的な犯罪の背景にある「貧困」の問題を、誰一人語ろうとしないことだ。児童虐待も、DV殺人も、若者の暴力も、外国人犯罪も、つまるところ「貧困」が産み出しているんじゃないか。

景気が回復しているって?そうかもしれないが、実のところ生活困窮者や要福祉家庭を切り棄てて経済をスリムにしただけだろう?不満が反抗に結びつきやすい若年労働者のリストラを後回しにして、相互扶助という概念の希薄な中年層を真っ先に切る。クレジットやサラ金を野放しにして、ハイブリッド自動車プラズマテレビだDVDだ高級ブランドだと買わせれば、借金の督促状が山になってもモノがあるから「自分は中産階級だ」と信じ続けられる。今さら革命など起きやしないさ。労働組合は雇用確保のためにパート労働者を抑圧する。企業は終身雇用から社会保障のないパートや派遣やフリーターに切り替える。既得権益を持った者同志のせめぎ合い。全く、素晴らしい社会。

大阪じゃ、三世帯に一世帯が義務教育の学費扶助を受けているそうじゃないか。北海道じゃ高卒の就職率は実質20%を切ったそうだ。それでも、認めやしないだろう。僕も含め、浮遊階級に属するインテリやクリエイターやアーティストやジャーナリストは、一発当てれば富裕層……というドリームだけを支えに生きているのだから、貧乏人など知ったこっちゃ無い。



このやりきれない気分。

サヨクが不甲斐ないから……などと喚いても詮無いこと。

それでも、目の前にやりかけの仕事があることを、素直に喜び、全力を傾けるだけだ。