【おべんきょ情トラ】身につくロースクール/行政法10/受益的行政処分に関する職権取消又は撤回の限界

ケースブック行政法 (弘文堂ケースブックシリーズ)に掲載された問いを自分なりにアレンジし、解答案を掲げています。

行政処分
受益的行政処分に関して、その職権取消又は撤回の限界が論じられる理由を説明せよ*1

 行政処分成立時の何らかの瑕疵や処分後の後発的な事情が、法それ自身や公益に反するような場合においては、原則として、当該処分を職権で取消し、又は、撤回することによって、その効力を奪い、法違反又は公益違反がない状態の回復が要請されるところとなる。
 しかし、この行政処分が受益的処分であって、当該処分への信頼に基づいて既に何らかの事実状態が形成されているときには、それらの信頼保護も要請されることとなる。
 このふたつの要請は相対立した関係にあることから、前者の「法治主義への要請」と後者の「信頼保護への要請」を比較衡量する必要が生じるが、その結果として、後者の要請が前者のそれを上回る場合には、原則に対する例外として、たとえ法治主義に反しようとも、当該処分の職権取消又は撤回が認められないとされるのである。

*1:この解答案は、【情トラ】が作成したものであり、その内容については無保証ですので、ご注意ください。