粘菌の重要性

http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~hidekuwayama/dicty.html
から

細胞性粘菌は森の落ち葉の下などに生息し多細胞体形成を行う真核微生物の一種で、その一生は非常に単純です(右図を参照)。胞子から発芽した粘菌アメーバ(単細胞)は土壌中のバクテリアをエサとして増殖し、飢餓状態になると10万個程の細胞が走化性運動により集合し多細胞体となり、最終的にカビに良く似た淡黄色の子実体(胞子塊と柄細胞より成る1-2mm程の構造体)を形成する。この細胞性粘菌の一生はごく短く、わずか24時間で完了すること、ゲノムサイズが小さいにも関わらず高等動物と同じ遺伝子を有し、全ゲノム解読完了、遺伝子破壊等の分子生物学的手法の適用や簡便性が高いことから、微生物として位置づけられながら多細胞生物のモデルとして重要な研究材料の一つになっています。さらに、粘菌細胞は通常半数体であるため遺伝子破壊株作製が極めて簡単なことや、近年全ゲノム解析(6つの染色体:約34Mbp)やcDNA解析などの基盤整備が進展したことも手伝って、発生学や細胞生物学のモデル生物として世界的に研究が進められ顕著な成果が蓄積しています。