夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)(米澤穂信/創元推理文庫)★★★★★

オンライン書店ビーケーワン:夏期限定トロピカルパフェ事件
昨日読んだ『いちごタルト』が面白かったので、さっそくその続編へ。

小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を! そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは<小山内スイーツセレクション・夏>!?

これがちょっと驚くほどに前作を大きく上回る出来。
今作も<日常のなかの小さな謎>をめぐる短編なんだろうと思いきや、いやそうなんだけど、ラストの大ネタに驚きました。いろいろ伏線が張られてたんだなぁ。
キャラづくりも上手いですね。本来なら<小市民を目指す>なんて、天才が「凡人の気持ちを味わってみたい」と言ってるようなもんで、とてもイヤミな感じを受けると思う。だけど二人とも過去に手痛いしっぺ返しを受けた経験がそういう言動に出ているのだと思うと、納得できる。
ラストがラストだけに、次がとても楽しみ。とりあえず、このシリーズの最新刊が出るまでには、他のこの人の作品を制覇しておきたい。とりあえずはセイイチさんに勧めてもらった古典部シリーズからいってみようかな。

東京ーベルリン/ベルリンー東京展 at 森美術館


美術館は久しぶり。最近、美術品関係の本を読んでいたせいか、単にヒマだったということもあるけど。
実はこの森美術館を訪れるのもはじめて。東京に住んでるってのにねぇ。行ってみたい企画展はこれまでもあったのだけど、なかなかタイミングが合わず…。
というわけで展望台もはじめて行きました。すごいね。普段見上げてる東京タワーが可愛く見える。


美術展の感想はたたみます。興味ある人はどうぞ。

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クリストファー男娼窟(草間彌生/而立書房)★★★★

クリストファー男娼窟
ちょうど読んでみたいなぁと思った翌日に出会うとはね。ま、美術館に行ったからだけど。
面白いし実際一気読みしてしまった。時代のせいか三島由紀夫を思い出すゴテゴテ感と、著者が経験したのであろう強迫観念の幻想に彩られながら、わりとストレートな作品だと思う。
ただ自伝や作品と同じで、とても牙を剥いてる。時代のせいなのか、今って牙を剥くような作品はあまり受け入れられないよね。受け入れられないというか、必要とされてないのか。牙を剥く対象があってこその前衛なんだろうな。
ま、うっすらながらもそういう時代の変化なども感じました。