SPEEDBOY! (講談社BOX)(舞城王太郎)★★★☆

SPEEDBOY! (講談社BOX)

SPEEDBOY! (講談社BOX)

講談社からの新ラインナップ『講談社BOX』から、久々の舞城王太郎


主人公は背中に毛の生えた少年・成雄。……となると当然『山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)』の続編か!?と色めき立つが、どうもそうではないようだ。成雄は成雄なんだけど、とにかく『山ん中〜』とは関係ないお話。


成雄は足が速すぎて、どんどん速くなっちゃって、たてがみの件もあってまわりから疎まれるように。だから雑音を避けるため競技会などにも出ず、ただひたすら一人で走り続けていた。そしたら尚のこと超人的に速くなっちゃって、戦闘機のスピードを超えて海上まで走れるようになってしまった。そんな成雄の存在によって、日本各地から成雄の背中を追いかけて音速を超える「ランナー」が出現するようになる。とりあえず誰よりも速い成雄の仕事はそんな「ランナー」を捕獲することだったが……。


かなり久々の舞城王太郎だが、なんかこれまでの作品とトーンが違う。相変わらず設定はめちゃくちゃだけど、なんか真面目な印象が残る。わかるようなわからないような。深いようでそうでもないような。まーあんまり簡単な言葉でまとめちゃうと物語の魅力が減ってしまいそうだが、何かを追いかけてるようで実は何かを振り切りたくて逃げてるような、どちらにせよ全力疾走的なその「SPEED」の熱さが感じられる一作。
これはこれで悪くはないが、個人的にはあの圧倒的な文体から繰り広げられる笑いがなかったのが、やや残念。次の新刊はいつになることやら……。

デスノート後編、二度目……。

別に劇場で二度見たくなるほどじゃないんですが。というかどんな傑作でも二度も映画館に足を運んだことなんてないし。ただ試写会ではかな〜り遠くからしかスクリーンを見れなくてしかも眼鏡だったから細かいとこ見れなかったし、何よりも同じく原作好きでまだ観てないアイカタの感想も聞きたくて。
サスペンスでオチもわかってるのに二度観るってのはどうなんだろうと我ながら疑問でしたが、スピード感ある展開のせいか普通に集中して観てしまいました。試写会ではあまりわからなかった、役者の細かい表情やセットの背景なんかもじっくり観れましたし。
全体の感想としては最初に観た時と同じ。このラストは原作よりいい。アイカタなど、このラストで漫画を描き直してほしいと言い出す始末。わからんでもない。
ただ惜しむらくは一本にまとめられなかったのかということ。前編はムダが多いし、思い切って美空ナオミ関連のエピソードは全部切っちゃっても良かった気がする。後半の出来が良かっただけにそう思っちゃうのかもしれませんが。


そして二度目に観て一番気になったのは、ミサの部屋にあったぬいぐるみだ。試写会の時は気付かなかったというか見えなかったんだけど、なんか悪いパンダっぽい……!!!? 帰ってきて検索してみたら、あっさりたどり着けました。「HANGRY&ANGRY」というブランドの商品らしい。

でも改めて見るとパンダじゃなくてネコ…!! う〜む。でも可愛いので気になります。ゴスロリ系(もしくはパンク系?)のブランドなのかな? よくわからないけど、こちらがオフィシャルHPらしい→http://www.s-inc.com/hangry-angry/


そして試写会では目が悪いせいでおおざっぱにしか観れなかったけど、シネコンの大画面で観ると役者さんたちの細かい表情が見れて良かったな。松山ケンイチとか戸田恵理香とか。一方で舞台慣れしてる藤原竜也鹿賀丈史はそんなに印象は変わらなかった。細かい表情なんて舞台ではお客さんに伝わらないしなぁ、体ごと表現することに慣れているんだろうと思う。そしてやっぱ思うのは、たしかに原作のライトとはイメージ違うけど、あのラストシーンのちょっと狂ったライトを演じるのは藤原竜也が適任だなぁ。


超人気コミックを映画化するといえば『NANA』もそうだったけど、それに比べると雲泥の差。映画としては多少テンポの悪さも気にはなるけど、原作ファンを納得させる、とくに後編では期待を上回るような出来に仕上げたというだけで十二分な作品であると思われます。それにしても映画版のラストのトリックを考えたのは誰なんだろう。ちょっと気になります。