特集制について

 『國文學』が廃刊になるわけだが、あまり惜しくはない。あれとか『解釈と鑑賞』は「特集制」で、要するに特集を決めて、適宜誰それに原稿を依頼するのである。すると、さして重要ではない論文しか載らないからである。以前は、最近の書誌一覧を載せていて、あれは有用だったのだが、論文などつけたりである。
 この手の、商業学術誌が特集制にするのは、その方が売れるからである。しかし、依頼を受けて書いたものより、自発的に書いた論文の方が質が高いのは当然のことで、結果として、重要な論文は大学紀要に載ったものだったりする。むろん、学会誌などの査読誌も原理的にはそうであるはずだが、前に書いたとおり、文学の学会誌というのは査読者が信用できないから、そうでもない。
 投稿のほうが質が高いということは、吉本隆明の『試行』が投稿だけだったことで質を維持していたのでも分かる。つまり『國文學』にしても、これから廃刊になる恐れがあるあれとかあれにしても、実はいっぺん、投稿論文を積極的に乗せてみても良かったのだ。『比較文学研究』も、最近はずっと特集制になっていて、そのせいで質が落ちていると思う。