『中公新書の森』に、かつて榊敦子先生からの盗作疑惑を指摘された風丸良彦が出ていた。三冊あげているが、そのうち一冊は『電車の運転』。しかもこれを、風丸は、読んでいないという。読んでいないが、こういう本を読むと深みにはまるから、などと書いている。
 最後の一冊は廣野由美子『現代批評入門』。廣野さんは京大の教授で、たぶんまじめな人である。著書の数も適切で、私は好感を抱いている。しかるに風丸の文章がまたおかしい。
 「このアンケートをもらった時、「こいつは間違いなくこの本をあげるだろう」という編集部の意図が見えた。少々癪である。とても癪である。ううむ、よろしい。(以下略)」。独りよがりと自意識過剰の文章で、読者にはまったく意味が分からない。だいたい編集部がそんなことを考えていたのかどうか。もしたまたま、風丸が、中公の知り合いの編集者に対してこの本を絶賛していて、その編集者から依頼されたとしても、そんなことは読者の知ったことではない。
 風丸、軽薄な性格は相変わらず、まったく反省していないと見た。

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平川先生がエッセイストクラブ賞を受賞したのだが、あれは奇妙な賞で、著作家として名のある人は対象にしない、と言っているのに、四方田犬彦日高敏隆がとったりしている。平川先生だって、まさか、無名だと思われたわけじゃないだろう。あと会員は受賞できないのだが、岸本葉子さんが会員なのが不思議で、受賞の見込みがなくなるではないか。

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(活字化のため削除)
 長谷川三千子先生の『民主主義とは何なのか』に、ジョン・ロックはペテン師だ、と書いてある。『市民政府論』の論述で、はじめは聖書に依拠して人間の平等を言いつつ、あとで聖書を抜かしてそれを言っている、というのだが、天皇の存在について、伝統に依拠して擁護しつつ、あとで、近代天皇制について言う段になると、律令制下の、自然的存在としての天皇を忘れて、大日本帝国憲法以後の、法に規定された天皇を擁護したのでは、これと同じペテンなのである。