郵便局へ行ったらATMが混んでいた。待ち椅子三つが埋まりさらに二人立っていた。私の前の、六十くらいのおじいさんが、座る時、「あの、私の次が、あっちにいるあのお兄さんなんで」と言った。見ると、カウンターの向かいの椅子に腰かけて、何やら大声でカウンター内の、主として女の郵便局員に何か言っている男がいた。スキンヘッドで髭。何かあっちで待っている用件でもあるのかなと思ったが、なかなかこちらへ戻ってこない。私の番になって立って行ったら、その男が、ひやっとやってきて、「あ、あの、次わたしなんで」と言うのだが、何こいつ、自分はよそでおねえちゃん相手に、キャバレーかクラブのつもりで時間つぶしといて、自分の番だけとっとかせたのか、と思いつつ後ろを振り向いた。すると、髭面の割にひょうきんな風情で、「あっ、あっ、いいです、この次で」とか言った。
 図々しい男だと思って帰宅して妻に話したら、妻も別の場所でこの男を見かけていて、カルディという輸入食品店の外から、店員のお姉さんにでかい声で話しかけていたそうだ。まるで漫画の第一回で「バカが町にやってきた」って感じ。