「天国にいちばん近い島」感想


 まず説明しておくとね、僕らは去年の9月にニューカレドニアに、そして「天国にいちばん近い島」とされるウベア島に行ったんだよ。だから、1年経って、後追いでこの映画を観てみることにしたんだ。



 映画「天国にいちばん近い島」は1984の作品だそうで、まあモロにその時代色がうかがえるんだよね。ファッションはもちろんなんだけど、映画としてのセリフや演出やカメラワークなんかに、ああ昔の作品だなって痛感するんだ。ニューカレドニアという異国の地を舞台としてても「時代」という隔たりを感じてしまうくらい、約30年というのは大きな変化をもたらしたってことだよ。


 でもね、ここからが僕の言いたいことなんだけど、話が進むにつれて主人公がウベア島に渡ることになるんだけどね、ウベア島からは「時代」を感じないんだよ。つまりさ、ウベア島ってのは、1984年も2010年もそんなに変わってないなって思ったんだよ。



 少し前にも書いたけど、10年もあれば環境はまったく変わる世の中なんだけど例外もあるってことさ。その一つが、ウベアなんだよ。海や砂浜の色だとか景色はもちろん、その辺にいる子どもたちは飛行機や車などを見かけると、何をどうしたいのかわからないが、はちきれんばかりに手を振ってくれる。こういった生き方や仕草も変わらずにいるわけさ。またね、写真でも動画でも、その画質から伝わる空気感である程度の時代を感じたりもするけど、その画面を通した空気感ですら、1984年の映画で登場したウベアと去年目にしたウベアと大差がないんだよね。


 変わらない場所というのは実は大事なのかもしれない。変わらない場所というものを残しておくべきなのかもしれない。やっきになって競争や成長を望む中で軽視しがちだけど、僕はこの「ウベア」を思い出すたびに、「変わらないこと」の重要さに気づくことができるような気がしたんだ。うん、つまりさ、ウベアに行って良かったということだよ。