筆跡鑑定の方法

(筆跡鑑定)
イギリス生まれのドイツの生理学者、W・ブライヤーは、同一人物がペンを利き腕で持ったり、逆の手で持ったり、足の指に挟んだり、口にくわえたりして書いた文字を比べるという実験をしました。そうしたところ、それぞれの筆跡には同じ特徴が見られるということを発見しました。同様に筆速度が変わっても、同じ特徴が見られます。つまり、文字を書くという動作は、手や足や口が独自の動きをしているわけではなく、脳による神経的な刺激が働いているのだと実験で突き止め、「筆跡は脳跡だ(Brain Writing)」としたのです。脳(気質)が描いた形が、そのまま筆跡として表れているということを証明したのです。このような方針で、現在の筆跡鑑定は行われています。
筆跡鑑定の場合、速く書いてもらっても、遅くかいてもらっても、老いても個人内変動しやすい箇所ではなく、個人内変動にしくい箇所を重視するほうが鑑定結果はよいといわれています。警察の科学捜査研究所の出身者の筆跡鑑定人、書家などの民間の筆跡鑑定人が請け負っているのが、現状です。では、筆跡鑑定で使う、変動しにくい箇所をまとめてみることにします。

個人内変動の出やすい箇所
字画線や払いの長さ

個人内変動の出にくい箇所
1筆順
2字画構成
3第一画の入筆角度
4運筆
5字画線に表れる線質
6文字の上手・下手
個人内変動が出たり出なかったりする箇所
1ハネ
2転折部の角・丸