junkoの日記

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ウルムチ滞在記1.


8月末から9月初頭にかけて、中国新疆ウィグル自治区の首府、ウルムチに滞在しました。
今回は、中国の政治経済などの中心である東部から、一番離れている西部地域へ訪れたいとの思いがあったからです。これまで訪れた街は全て、地理的に中国の中央から東にありました。


特にこのウィグル自治区あたりは、中央政府から距離的に遠いというだけではなく、もともと古くから中央アジアの人達と覇権争いの問題で紛争が絶えない場所です。(現在でも中国西端、タジキスタンカシミール地方[パキスタン、インドが絡んだ地域]と接している辺りは、双方の国の主張が違うため、国境線が部分的に明確ではありません。)
古来から西域と言われてきた地域で、シルクロードの通過地点としても知られている。そして国境地帯という場所柄、今まで訪れた街とは趣きの違う、重層的な要素が垣間見れるかもしれない、と色々期待してしまったのだ。




ゴビ砂漠を越えて_。



実のところ今回、ウルムチに関しての情報はほとんど無いまま訪れてしまったのです。定番の観光情報などは事前に得られるが、実際の現地についてはほぼ分からないままだった。
ウィグル自治区の中では随一の都会。とりあえず耳に入っていた事とは、現在、中国国内からの投資が増え生活水準がどんどん上がっているという状況。これは西部大開発の事業のため、政府からのお達しで様々な事業に資金が投入されている事が大きいようだ。
それから、この地域のかかえている民族紛争も、衝突や騒動に関して日本でも散発的に報道されていたため多少見聞はしていた。
事前情報があまり無いのも、先入観を持たずに新鮮に見れるかもしれないと思いつつ訪問してみる事にした。





飛行機から。ウルムチ郊外の丘陵地帯。
ウルムチのすぐ側に広がる天山山脈の裾野あたりだろう。(天山山脈は今年6月、世界遺産に登録された。)
人が住んでいる気配はもとより、生物がいる様子は全く伺われない。この地域はほとんどこのような乾燥した土地が広がっている。
ひと気の無い広大な地域は、軍事活動にうってつけという事なのか、天山山脈南東側の砂漠地帯ロプノールには中国政府管轄の核実験場がある。核実験は1996年まで行われていた。





ウルムチ郊外の新しい街。市街地と外側に広がる平原との境界エリア。どんどん外側へ増殖している感じ。
このあたりで、飛行機からちょっと変わった建物が目に入ったため、後日それを目指して訪ねてみる事にした。









まずウルムチ中心街の一番新しいと思われるエリアへ行く。

ちょっと予想はしていたが、ここだけ眩しいくらいの新しさでやはり驚いた。ほとんど日本の銀座や新宿の百貨店通りに匹敵するくらいの、高級ショッピングビルやホテルなどが林立している。メインの通りには真新しい車両のBRTが走っていたりする。


飛行機から見た、周りが荒涼とした土地の広がっている街とはとても思えない。現代のオアシス都市ですな。








しかし、以前から在るエリアに行くと雰囲気は一変。

これまで訪れた中国の街と大きく違うのは、ここにいる人々の民族性が多用だという事。一番多く居住しているのは、漢族とウィグル族の人達。追ってカザフ族、回族キルギス族、モンゴル族、タジク族、と続く。他にもまだまだ色んな民族の人々がいますが、ほぼ中央アジア系の人達です。
漢族とは顔立ちや服装がかなり違う人々の多さのため、通りは随分と多彩な印象。街なかにはモスクがあちらこちらに見られ、イスラム教信者の多さを感じます。




やはりこれまで訪れた中国の街とはかなり趣きが違う。この地域は、今は中国という国の一部であるが、実際に根付いている文化はやっぱり中央アジアの色合いが濃いなーと実感する。
あらためて、国や国境の意味とは何だろうと思ってしまう。