古書集めは前記のように中学時代から、ぼちぼちとやっていたが、買うのは、旧<宝石>のほかは<丸>や<画報戦記><世界の艦船><航空ファン><航空情報><海と空>といった戦記雑誌や飛行機関係雑誌、[世界航空文学全集]のルネ・ムシュット『大空への挑戦』、N・チュコフスキー『バルチックの空』といった本が多かった。
(参考)誰かに似てる・・・・
「丸」って昔、よく見かけたのだけど、先日新聞広告に出ていて、健在だと知った。
新潟県長岡へ疎開したまま、帰京していない父の水島爾保布に手紙を
出して、佐藤春夫への紹介状を書いて貰った。
(中略)
その時、佐藤は凡そ、次のようなことを言った。
「自分の弟子筋に当たる男に大坪砂男という男がいる。(中略)
大坪を君に紹介するから、彼に頼んで、彼が親しくしている『宝石』
という雑誌にでも作品を載せて貰ったらよかろう。(後略)」
(中略)
大坪は戦前、谷崎潤一郎と親しく、その家に出入りしていて、
谷崎の友人であった佐藤春夫とも親しくなっていたらしい。それ
が縁で、春夫の弟子となり、『天狗』を書き、春夫のもとに持ち
込み、その推輓によって「宝石」に掲載された。
(中略)
後年、異色の推理作家として名をはせた都筑道夫がこの作品に感激、
ファンレターを大坪に送り、その後師事するに至ったというエピソ
ードがある。
(中略)
ところが、「SFマガジン」の編集長になった福島正実は、この雑誌
には、完全に今日泊亜蘭、柴野拓美、瀬川昌男などには執筆を依頼
しなかった。福島は、SFの企画、翻訳等に都筑道夫らとともにたず
さわって来た人で、「SFマガジン」が創刊されるや、自分の手で日本
のSFを育て上げようという、激しい意欲にもえたらしいのである。
この島田翰が如何に日本人離れのした凄いビブリオマニアであった
かは内田魯庵氏が読売新聞に連載せられた『蠹魚の自伝』に詳しか
った。その中にはまるで西洋の探偵小説のような面白い話もあった。
そして彼が又永井荷風氏の青年時代の親友であった事は、例の『麻布
雑記』の中に出ているから人の普く知る所となっているであろう。
(中略)
併し此の偉才、島田翰をモデルにした小説のある事は、世が余りに
多く知るまい。加藤一夫氏の『無明』がそれである。今、手許に
その書がないから、何と言う名前になっていたか忘れたが、あの
自叙伝的小説に於て主人公と恋人を争うのが島田翰である。
*この加藤氏の小説って、読んでみたいだすね。
[一の日会]の仲間が、ぼくを古典SF研究家にしてくれたのだ。そのおかげで、
いまは、ほとんど蒲団一枚しか敷くスペースしかなく、あとはすべて古本に
囲まれるという生活をしているが・・・。数年前、二十年間生活を共にして
きた妻に、突然離婚届けを突きつけられ、娘とともに出て行かれてしまったの
も、やっぱり、日本古典SF研究と関係しているのかな・・・・ま、どうでも
いいけどね。
(参考)そもそも、逃げる家人のいない、わすらはひたすら古本道を驀進!
「わすは、実は家人ありよ!」なんて、言わんでね!
奇妙なタイトルの小冊子が引出しの奥にあった。表紙に綴られたタイトル
は「毛の国」。その下に記された著者名は、矢板玄と三菱化工機社長という
肩書きがついた白井秀雄なる人物だ。
(中略)数頁読み進めるうちに、どうやら日本人とユダヤ人との相違点や
共通点について書かれた論文であることがやっとわかってくる。「日ユ同祖論」
という言葉が頭をよぎる。詳しくは覚えていないが、日本人とユダヤ人は
共通の祖先を持つという突拍子もない思想で、戦後の右翼たちが占領軍に
協力することに整合性を持たせるために援用した思想のはずだ。
(参考)明治時代から存在する日猶同祖論について、「戦後の・・・」という
話があるとは初耳。森氏の勘違いか?
私が浜田青陵先生の、身に余る知遇を得られたのは、清野謙次先生
あってのことであり、清野先生から直接受けた恩義も限りないもの
であるということ、そして今は亡き両先生の御冥福を祈って已まない
ことを、改めてここに書き留めておく。
(中略)
特に、私の仕事を支えて下さった恩義ある清野謙次先生や、五十年
近くも、かわらずに親しくして下さった、今和次郎先生に触れること
の少なかったのは、迂闊であった。
*年末の、在庫一掃セールみたいに手持ちの引用ネタを処理中・・・