第10回は「心残り」*1。直接的には年譜作成のために行った井上孝治への取材が心残りなものだったことを表すタイトルだが、50回を予定していたこの連載や、次作として予定していたヘレン・ケラーなどの評伝などが未完で終わることが心残りであることを示すようなものとなってしまった。パソコンに残された第11回目の結びとみられる文書も掲載されている。
そして悟った。“平凡な人生”などないのだ、と。
西日本新聞の野中彰久氏によると、
11回目が収録された文書ファイルの更新日付は昨年10月30日。黒岩比佐子さんはその5日前から東京大学病院に入院していた。(略)黒岩さんは病室にパソコンを持ち込み、この連載随筆を仕上げようとしていた。
最期までライターとしての務めを果たそうとしていた黒岩さん。亡くなられて半年が経つが、いつまでも忘れられない存在である。