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神保町系オタオタ日記

2018-09-12

知られざる杉浦非水装丁本、『夢中語:土屋大夢文集』(昭和6年)

下鴨納涼古本まつりで萩書房の1冊200円3冊500円コーナーで土屋大夢*1『夢中語:土屋大夢文集』(土屋文集刊行会、昭和6年12月)を拾った。土屋については、「天神さんの古本まつりで拾った村雲龍三『革身術』」で言及したことがあったので、名前に覚えがあった。また、口絵写真に「明治三十六年大阪にて/中央は杉浦非水」とあるので、非水と関係があったのかと興味津々に購入。裸本、800頁強の非売品。「凡例」を読んでいたら驚いた。「本書の装釘は旧友杉浦非水氏に嘱し」とあって、かわじもとたか氏の労作『続装丁家で探す本 追補・訂正版』(杉並けやき出版、平成30年6月)で調べてみた。すると、同書には268冊の非水装丁本があがっているが、本書は見当たらない。「日本の古本屋」にも7店が本書を出品しているが、装丁に言及せず、古書価も高くない。どうやら、本書は知られざる非水装丁本のようだ。

土屋と非水の関係はすぐにわかった。土屋『記憶を辿りて』(土屋文集刊行会、昭和7年8月)によれば、

明治35年3月 大阪毎日新聞社退社

同年春 三和印刷店創業に付き顧問を托せらる

同年 雑誌『三十六年』を刊行

36年3月 三和印刷店を退く

一方、非水の方は、『生誕140年杉浦非水ーー開花するモダンデザインーー』(「杉浦非水展」実行委員会平成29年2月)の「略年譜」(長井健・喜安嶺編)によれば、

明治35年4月黒田清輝の推薦により大阪・三和印刷所[ママ]図案部主任として赴任。翌年の第5回内国勧業博覧会関係雑誌『三十六年』の発行を手掛ける。

36年7月三和印刷所廃止に伴い、退社

二人は明治35年大阪の三和印刷店で知り合って以来の旧友ということになるようだ。

ところで、本書を拾った日には古本の師匠と合流し、昼食中に本書を見せたら、ビビビと来るものがあったらしい。見る人が変わると、注目する箇所が違うのが本の面白さである。

なお、はてなダイアリーが来春終了するとのことで、はてなブログの方にデータをインポートしたので、当面は併存することになります。→「https://blog.hatena.ne.jp/jyunku

*1:奥付は土屋元作