『窓の現象』

 一昨日味戸ケイコさんから恵まれた神原良詩集『オタモイ海岸』の表紙絵について昨夜感想を認め、今朝投函。 その中で藤村壮『窓の現象』書肆季節社1982年収録「箱のなかの窓」の後半を引用。以下全編。

《  みえるもののなかの
   みえないもの
   みえないもののなかの
   みえるもの
   それは
   どちらも
   おなじものか
   かつて
   坂道をのぼりつめ
   夏草のそよぐきりぎしのはてで
   たしかに
   みえたもののかたち─
   それを何と名ざすべきであったのか
   それがいま
   夏草をにじませた画布の片隅で
   黄色にふちどられて
   ゆれうごいている
   それはただ
   そのとき
   かりそめにそこにあったものとしか
   いまはつぶやくことができない
   それは
   あるいは
   みえない部分であったかもしれない
   それがいま
   かぎりなくふかい世界のように
   ちいさな箱のなかの窓にはりついている
   その窓のなかに
   たしかに影をひきずっていくものがみえる
   それが
   みえないもののなかの
   みえるものであるのか
   みえるもののなかの
   みえないものであるのか
   いつかの
   きりぎしのはての夏草のように
   いつまでもゆれうごいている  》

 全部引用すればよかったかな。本をコピーして郵送。これですっきり。
 一昨日の『オタモイ海岸』、画像では帯で絵の下部が隠れている。そこが重要なのだが。自身、帯を外して驚いた。 味戸ケイコさんの表現世界の拡張だ。こうでなくっちゃ。

 ブックオフ長泉店で三冊。ジェイムズ・エルロイ『ホワイト・ジャズ』文藝春秋1998年3刷、P・G・ ウッドハウス『ドローンズ・クラブの英傑伝』文春文庫2011年初版、同『エムズワース卿の受難録』同 2012年初版、計324円。

 ネットの拾いもの。

《 早く100円切ってくれ
  GWに海外行くんだ 》

《 パナマ文書の件で、誰が「納税報国」を言い出すのか観察してみましょう。 》