2011年に読んだ本まとめ

 4日ほど更新が滞っておりましたが、他意はありません。只ちょっと、読書メーターの方で書いている感想とこちらに出力する感想があまり違わない物になってしまっている(――得てして、それは時間が無い時にそうなりがちなのですが)と実感がありまして、まあ1日1冊を読むようにしていると流石に書く時間に多くを割けない(――日々、他にもやりたい事がありますので)という事で、ほんの少しだけ、誰に許可を貰った訳でもありませんがお休みを戴いておりました。
 で、一先ず何かしら更新せねばとふと思って、丁度良い物がありました。はい、タイトルの如く、2011年に読んだ本の纏めです。と言っても読書メーターの機能を使ってコピペするだけですので、手抜き作業だろうと指摘されれば最早返す言葉を持ち得ないのですが、大目に見て戴きたい所存で御座います。
 長くなりますので、格納します。


2011年の読書メーター
読んだ本の数:78冊
読んだページ数:26344ページ
ナイス:205ナイス
感想・レビュー:72件
月間平均冊数:6.5冊
月間平均ページ:2195ページ

天使の囀り天使の囀り
序盤で宗教的な作品かと思いきや、読んでいくとそれだけではなく根幹には生物学的な裏付けがしっかりとなされていて、単なる読者を面白半分に怖がらせるホラー作品になりさがっていなかったところは好感が持てる。しかし作者が同じせいか、よく分からないものに遭遇し、その謎を解明する過程で知り合った人は死に、解き明かされはするのだけれどもどことなくすっきりしない終わり方であるというこの基本構造は、黒い家となんら変わっていなかったので、多少残念だった。途中で謎が分かったというよりも、展開の方向性そのものが読めてしまったのだ。
読了日:01月02日 著者:貴志 祐介
青の炎青の炎
犯罪者側から描くミステリー。犯罪方法については違和感を覚えざるを得ないがあくまでそれは話をみせるための方法に留まっているものであって、ストーリーの目的自体は別にあるということから鑑みると特に不満ではない。若いながらも必至に守ろうと思考を巡らせもがいた高校生と、彼を取り巻く家族や友人、恋人との絆を胸に抱いてのあのラスト。読後感が何とも切なくなること請け合いな話だった。
読了日:01月05日 著者:貴志 祐介
新世界より 上新世界より 上
読了日:01月07日 著者:貴志 祐介
新世界より 下新世界より 下
念動力という一見シンプルに思えるSF的ガジェットを用いつつ、圧倒的なスケールで描かれる異世界と、「人間とは、想像力とは」というある意味普遍的なテーマが見事に融合した大傑作。それでいて、これより前の貴志作品で描かれていた「人間の業の深さ、恐ろしさ」は全く失われておらず、より克明に描かれていた。ホラーやミステリー要素も健在であるが、この作品はそれに更に、先述したようなSFや冒険譚といった側面もあった。まさしくジャンルの垣根を越えた、著者の最高傑作と言っても過言ではない。
読了日:01月10日 著者:貴志 祐介
海を見る人 (ハヤカワ文庫 JA)海を見る人 (ハヤカワ文庫 JA)
科学的思考でしっかりと裏打ちされた冷徹かつ綿密な「S」の部分と、「高度な科学技術は魔法と区別がつかない」という名言を見事に体現したかのような「F」のバランスがよく取れたハードSF短編集。いかにも小林泰三らしい物語のオチの秀逸さ、グロテスクさ、時には切なさもあいまって、SF好きのみならず、前述したようにファンタジー好きの人にもお勧め出来る一作となっている。また、カバー絵には独特のSFテイストあふれる漫画・イラストでおなじみの鶴田謙二が担当。SFファンなら嬉しいことこの上ない。
読了日:01月11日 著者:小林 泰三
ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)
序盤はそれこそ少年と少女たちによる青春小説。と思いきや、中盤以降は少年と少女による恋愛小説であり、少年が大人になってゆく狭間においての戦争小説であり、そしてそれらが上手く噛み合った上での終盤は見事なまでのSF小説だった。読んでいる途中で何度か伏線めいた文章に出くわしては、どのような結末になるのだろうかと思っていたが……まさかの、鮮やかなくらいのどんでん返しには舌を巻くほかない。全ては最後の3ページのために。青春恋愛SF小説の傑作だ。ドローヴとブラウンアイズの“未来に”祝福を!
読了日:01月14日 著者:マイクル・コーニイ
火星ダーク・バラード (ハルキ文庫)火星ダーク・バラード (ハルキ文庫)
人類の進化や宇宙への進出等のハードSF的な要素と、冷徹かつ信念の決して曲げない屈強な主人公が数々の出来事や人物に衝突していくという切なくも力強い展開が混ざり合い、その哀愁かつ冷淡な展開をスピード感あるテキストで一気に読み込ませてくる。極めて抑え目かつ冷静な筆致が、読み手の心を捉えて離さず揺さぶりを掛けてくる……その様はまさに“ダーク・バラード”としか言いようがない。ハードボイルドSFの傑作だ。
読了日:01月17日 著者:上田 早夕里
くくるくる (ガガガ文庫)くくるくる (ガガガ文庫)
なぜか死ねない少女とストーカーである少年を巡る話。他の感想にもあるように最後はどんでん返しだ。そこに行きつくまでに“それ”だと思われる伏線を張ってある箇所もある。しかしその点を売りにするほど巧妙に出来ているかと問われれば正直言って首を傾げざるを得ない。もちろんこの少年少女の場合の恋愛はそのギミックを以って語らないと成立し得ないことはたしかなんだけども、「最初“そう”だと思っていたものが実は”そう”ではなかったが最終的には”そう”なってしまった」ってまさにタイトル通りだが、ある意味冗長だとも感じてしまった。
読了日:01月20日 著者:一 肇
円環少女 (角川スニーカー文庫)円環少女 (角川スニーカー文庫)
本作品を語る上で重要なことは、我々が生きている現実世界の事象を改変した上での魔法設定や世界観設定を基盤にした話であり、かつその魔法設定等はただの不思議設定、ファンタジーチックなものではなく、あくまで論理的なロジックに基づいてなされているという点。そしてその緻密なロジックに基づく話作りは、本作品以前に科学的ロジックが重要となるSFを書いていたことや、ここ2〜3年はハヤカワJコレクションやSFアンソロジー参加などに代表されるSF作品の上梓にも通ずるものがある。実に長谷敏司らしい作品だ。
読了日:01月23日 著者:長谷 敏司
円環少女 (2) 煉獄の虚神(上) (角川スニーカー文庫)円環少女 (2) 煉獄の虚神(上) (角川スニーカー文庫)
既に1巻で膨大な設定が出ていて、本巻が上下巻の上にあたりページ数も少なく、またそれに応じて戦闘シーンも少ないという3つの理由から、読むスピードは目に見えて向上した。巻末に設定資料も載っているし、先述した通りほとんどの設定は1巻で説明がなされているので、おそらく2巻以降は読みやすいだろう。ただ1巻に引き続きテキストに難あり。
読了日:01月24日 著者:長谷 敏司
円環少女 (3) 煉獄の虚神(下) (角川スニーカー文庫)円環少女 (3) 煉獄の虚神(下) (角川スニーカー文庫)
戦闘描写は、テキストがこなれてきたのかはたまた俺(読者)が難ありのテキストに慣れてきたのか。どちらにせよ全体の読む速度は上がってきたけど相変わらずそのシーンになると遅くなる。内容に関しては、今後の巻への伏線となるキャラクター、エピソードが満載の3巻。話の運び方や展開もよく、次の巻以降も読む気にさせてくれるほどだった。
読了日:01月27日 著者:長谷 敏司
花×華 (電撃文庫)花×華 (電撃文庫)
主人公と二人の「はな」による映画を題材にした青春ドタバタラブコメディ。二人共に最初から主人公好きという設定だが、互いの葛藤や応酬がしっかりあって、単なるハーレムものになりさがっていないところはいい。しかしダッシュ三点リーダー、句読点が妙に多いのはいただけない。これらは本来台詞や地の文において「間」を表現するものであって、あまりに多用しては文章記号本来の意図が失われてしまう。題材や素材を活かした話作りや展開がよく出来ているだけに惜しい。最後に私的な話になるが、この小説、自分の好みな話ジャストミートでした。
読了日:01月28日 著者:岩田 洋季
円環少女 (4) よるべなき鉄槌 (角川スニーカー文庫)円環少女 (4) よるべなき鉄槌 (角川スニーカー文庫)
仁の過去が明かされる巻。死の情景や描写、捉え方にどことなく『あなたのための物語』を想起させられた。後書きに文章の読みやすさを意識したとあるが、実際は前巻以前とあまり変わらず。ただ物語展開や戦闘シーンの駆け引きは面白いし、終わり方にも引きがあるので、次巻にも期待できそうだ。
読了日:01月30日 著者:長谷 敏司
花×華〈2〉 (電撃文庫)花×華〈2〉 (電撃文庫)
岩田洋季はこのシリーズで初めて触れたのだが、1巻で薄々勘付いたことが2巻まで読んで確信に変わった。それは起承転結が至極明解すぎるということ。よく言えばその巻の最後は落ち着くところには落ち着くだろうと安心して読める、悪く言えば毎回これだと正直新鮮味がない。いわゆるライトノベルでは単作が少ない、言い換えると多数の作品が数巻に渡ってシリーズ化するゆえに続きを読ませるための工夫が必要だ。本巻には次巻も読みたいと思う要素があったにはあったが、同時にこのキャラクター性とラブコメでどこまでやっていけるか疑問でもある。
読了日:02月01日 著者:岩田 洋季
円環少女(サークリットガール)〈5〉魔導師たちの迷宮 (角川スニーカー文庫)円環少女(サークリットガール)〈5〉魔導師たちの迷宮 (角川スニーカー文庫)
文章は読みやすくなっている反面、話はどんどん複雑になっていた。ともあれ、5巻まで来ると緻密な魔法大系にはもう慣れたと思っていたが、まだまだ刮目させられる要素があることには驚きを隠せない。本巻終盤から円環少女5巻、ひいては円環少女という1つのシリーズである物語が大きく動き出した。主人公の分岐点と言ってもいい。
読了日:02月03日 著者:長谷 敏司
円環少女(サークリットガール)〈6〉太陽がくだけるとき (角川スニーカー文庫)円環少女(サークリットガール)〈6〉太陽がくだけるとき (角川スニーカー文庫)
一区切りの6巻/失礼ながら、この感で初めて全ページを通して面白いと感じた。今までの巻は所々面白い部分があったにはあった。しかし文章と設定の複雑さでどうしてものめり込めなかったのだが、この巻でようやく、ページを捲る手が止まらなかった。理由の一つに、戦前・戦後史ネタや学生運動ネタがあったからだろう。/次の巻以降、本巻でああなってしまった主人公は果たしてどうなるのか。
読了日:02月05日 著者:長谷 敏司
円環少女(サークリットガール)〈7〉夢のように、夜明けのように (角川スニーカー文庫)円環少女(サークリットガール)〈7〉夢のように、夜明けのように (角川スニーカー文庫)
短編集。シリアス弱めギャグ強め。/明らかに短編のためだけに用意されたキャラクターと魔法大系だがよく作りこまれている。本編に登場していてもおかしくない。/次巻への布石もしっかりとある。
読了日:02月06日 著者:長谷 敏司
円環少女    (8)裏切りの天秤 (角川スニーカー文庫)円環少女 (8)裏切りの天秤 (角川スニーカー文庫)
うん、結構面白くなってまいりました。/生きて前に進んでいる限り、変わらない人はいないし、変われない人もいない。主人公は本当に、それこそ選択肢を間違った途端に消えてしまいそうなもんだけど、本当に皮一枚のところで踏ん張っている。だけどまだ主人公の絶望は終わらない。/最後の最後で次巻への布石を打った。
読了日:02月09日 著者:長谷 敏司
円環少女  (9)公館陥落 (角川スニーカー文庫)円環少女 (9)公館陥落 (角川スニーカー文庫)
一区切りの巻であり、円環少女シリーズの核心に触れ始めた巻。その場に留まっていられない主人公と全てを悟ったかのような先生のバトルはシリーズで最も熱かった。まさに灼熱。そしてこの世界は地獄なのか、否か、まだまだ答えにはたどりつかない。読み終えたあとに先生の後姿と舞い散る桜の表紙絵を見ると、感慨深いものがある。
読了日:02月11日 著者:長谷 敏司
円環少女  10 運命の螺旋 (角川スニーカー文庫)円環少女 10 運命の螺旋 (角川スニーカー文庫)
主人公とその妹、メイゼルが今こういう性格でいなければならない理由が明かされる熾烈な痛みと誇り、魔法世界ひいては円環世界の過去、たった一人しかいない魔法大系を持つ少女の現実……円環少女シリーズの見所があまりにも凝縮されている巻だった。このシリーズを読んできて本当に良かったと思えた。しかしあとがきによると「これからが本番」とのこと。期待するしかないじゃないか。
読了日:02月12日 著者:長谷 敏司
神なる姫のイノセンス3 (MF文庫J)神なる姫のイノセンス3 (MF文庫J)
新ヒロインが続々登場した巻。だがそして主人公と既出のとあるヒロインの、過去の出逢いを多少思い返すシーンやお色気サービスシーンもあり、ぞんざいにされていなかった。最後のオチがなかったというよりは、最後に次巻への布石を置いていった感じ。新ヒロインの秘密とその布石をあわせて、4巻目では期待したい。
読了日:02月13日 著者:鏡遊
星刻の竜騎士(ドラグナー) (MF文庫J)星刻の竜騎士(ドラグナー) (MF文庫J)
竜を乗りこなすことがテーマのファンタジーもの。全体はまずまずの出来。随分とテンプレであることを指摘されているけど、そこまで気にならなかった。展開等に無駄がなく恐ろしくサクサク読めるし、若干被っているところがあるとはいえキャラクターは可愛い。けれど、これといってオススメする点が見当たらないのも事実なので、自信を持ってお勧め出来るかと言われればそうではないのが現状。可もなく不可もなくといったところか。ただまあとりあえず続きを読みたいと思う程度のものではあったので、次巻以降も飽きが来なければ読んでいく。
読了日:02月15日 著者:瑞智 士記
円環少女  (11)新世界の門 (角川スニーカー文庫)円環少女 (11)新世界の門 (角川スニーカー文庫)
シリーズ屈指の過酷な展開とスケールの大きさと怒涛の情報量に圧倒された。しかし作者あとがきの「1巻ので出て解決していなかった話が、ある程度一段落ついたと思います」という文章を読んで、自分が読んできたシリーズの本当の姿を再確認できたことは大きい。
読了日:02月16日 著者:長谷 敏司
異星人の郷 上 (創元SF文庫)異星人の郷 上 (創元SF文庫)
読了日:02月23日 著者:マイクル・フリン
異星人の郷 下 (創元SF文庫)異星人の郷 下 (創元SF文庫)
中世人と宇宙人の交流を描く話。話の展開や結末はありきたりでえらく地味な印象を受けたが、それこそが本作の最も良い点である。目新しいSFアイディアや派手なドラマを排したおかげで、中世人がもしも宇宙人と出会ったらどう接したかを当時の人々の日常感覚にごく近い視点で読める。また、あまりにも忠実かつ膨大に表現されている中世の描写はカルチャーショックを受けかねない程の出来。中世に興味のない人や派手なSFアイディアを読みたい人には向かない作品だろう。自分のその人間(前者)だが、少なくとも中世欧州のイメージは豊かになった。
読了日:02月26日 著者:マイクル・フリン
華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
地球上の多くの陸地が水没した後に迫り来る試練と、それに立ち向かう外交官、そしてそれらの最期を描いた作品。様々なSF要素てんこ盛りである本作、一見するとやり尽くされた感のある設定や要素だが、最新の科学をベースにしていたり、著者らしいものがあったりして飽きずに一気に読めた。作者後書きに「同世界観の違う話を書きたい」とあるように、この作品から様々な作品が生まれてくるような気がする。それだけ、いろんなものが入っていた。海洋SFの大作であり傑作です。
読了日:03月07日 著者:上田 早夕里
円環少女  (12)真なる悪鬼 (角川スニーカー文庫)円環少女 (12)真なる悪鬼 (角川スニーカー文庫)
最終決戦へ向けて、ようやく主人公が覚醒した。明らかになる真理と、どちらが正義でも悪でもない関係と、どうしようもない人間の性と、シリーズ屈指の名バトルシーンと、時折挟まる変態シーンが混ざりに混ざった巻であった。/「光る宇宙人なう」「堕ちますわ、わたくし堕ちてしまいますわ!」 遊び心どころか本編の緊張度合いをぶち壊しかねない台詞。だがこのシリーズではこれでも足りないくらいだと思う。
読了日:03月08日 著者:長谷 敏司
円環少女 (13) 荒れ野の楽園 (角川スニーカー文庫)円環少女 (13) 荒れ野の楽園 (角川スニーカー文庫)
読み終えてからふと1巻バベル再臨を開いてみた。カラーページ4ページ目の<大スキ>と、本巻のカラーページ4ページ目の<大スキ>。少女から大人へ。胸が熱くなった。
読了日:03月09日 著者:長谷 敏司
星刻の竜騎士 Ⅱ (MF文庫J)星刻の竜騎士 Ⅱ (MF文庫J)
シルヴィア回だった。次はランスロットの活躍にも期待したい。ヴェロニカに結構持っていかれた感じが強いが、ただ彼女の掘り下げがそんなになされていたとは思えない。その他の要素もいろいろ含めて、そこら辺がライトファンタジーたる由縁かなあ。口が裂けても本格ファンタジーなんて言えない。/そもそもこのレーベルにそれを求めるのはお門違い(実際それ目当てで読んでいませんし)、本格FTを求めるのならば上橋菜穂子とか小野不由美とか妹尾ゆふ子とか読めばいいじゃん、ってのはあるのだけれども、一応明記しておく。
読了日:03月10日 著者:瑞智 士記
花×華(3) (電撃文庫)花×華(3) (電撃文庫)
引き続き夏休みの話。三角関係のうち一人のヒロインがいなくなった時に残りの二人はどうなるのか、ということが描かれていた。後書きに書かれていたように、前巻までの流れと比べると変則的であった。また、二人の関係の深まりにちょうどよいところでストッパーがかけられてあって、なんともこの主人公らしいなと思った。4巻では秋以降のことが書かれるのだろう。文化祭編が楽しみだ。/(ただ私的なことを言うならば、飽きてきた感じもあるんだよなあ)
読了日:03月12日 著者:岩田洋季
クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅠ (ハヤカワ文庫JA)クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅠ (ハヤカワ文庫JA)
異能力バトルもの。本巻では、能力を得てからの葛藤や迷い、そして自分自身への対峙がよく描かれていた。バトル描写も面白い仕上がりになっている。また、人物描写だけでなく世界の成り立ちや根幹に関わるものも、まだ序章ということで謎は多いが同時に惹かれる要素でもあった。冲方丁推薦の帯にあるように、予測不能な展開がページを捲る原動力になっている。どうやら著者は今までいわゆるライトノベルレーベルで主に活動されていたようだが、緊張感のある硬派なテキストはよく出来ており、この話にマッチしていると思う。次に期待です。
読了日:03月13日 著者:五代ゆう
ミニスカ宇宙海賊(パイレーツ) (朝日ノベルズ)ミニスカ宇宙海賊(パイレーツ) (朝日ノベルズ)
ふとしたきっかけで政府公認の宇宙海賊船船長になった女子高生の主人公。その船長服はなぜかミニスカだった、という話。主人公が様々な戦略や戦術を元に敵を倒すというスペオペの王道な展開や、それ以外の業務もこなしながらなんでミニスカなんだろうと悩ますシーン、などなどもある。重力制御、超光速などの科学考証もしっかりと書かれている。しかしテキストは読みやすく硬過ぎるということもないので、気楽に読めた。/次も読みます。
読了日:03月14日 著者:笹本 祐一
時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)
物の怪に襲われていた邪馬台国の女王・卑弥呼の元に使いの王を名乗る者が現れたが、その人物は敵を追うために2300年後の未来からやって来たのだった、という話。背水の陣である時間遡行戦における使いの王と女王のやり取りが、最後には感動無しでは語れない内容となっていた。タイムパラドックスの扱いも上手く、縦横に広がる話の規模の大きさにも感嘆。そして何よりも、高密度でありながらこのページ数が少なく纏められていることには舌を巻く他ない。文章の勢いもよく、様々な要素が詰め込まれていながらもすっきりと読める。傑作でした。
読了日:03月15日 著者:小川 一水
機龍警察(ハヤカワ文庫JA)機龍警察(ハヤカワ文庫JA)
戦闘兵器を導入した警視庁は搭乗要員として3人の傭兵と契約。それがきっかけで警察内では軋轢が生じた。後に彼らは立て篭もり事件の現場を担当するがそこでSATと対立。そしてその背後には巨大な闇が隠されていた――という話。/近未来の日本を舞台に、パワードスーツで以って繰り広げられる警察と犯人の戦闘や、警察内部の波乱、登場人物達の知られざる過去等々、玉石混交だが、スピード感のある乾いた文体で描かれていた。面白かったが、もう少し尺があってほしかった。続きがありそうな終わり方なので期待。
読了日:03月16日 著者:月村 了衛
シー・マスト・ダイ (ガガガ文庫)シー・マスト・ダイ (ガガガ文庫)
近未来の日本で超能力を持つ中学生が自分の好きな人のために戦う話。キャラクターの設定や行動は多少詰めの甘い所が見受けられるものの、全体は概ね良好。この話の本筋に大体合っていた。テキストは可もなく不可もなく。起承転結の転の部分で話が大きく動き、最終的に序盤のイメージとはかけ離れた方向へ話は進むが許容範囲内だろう。一つ物申すならば、ハードにしろとは言わないけれどもこの内容にこの絵師の挿絵はどうなのだろうか。違和感があった。総じて、サイキックSFの佳作です。
読了日:03月17日 著者:石川 あまね
星刻の竜騎士Ⅲ (MF文庫J)星刻の竜騎士Ⅲ (MF文庫J)
新ヒロインの登場でようやくヒロインが全員揃ったり、敵の新たな背景やそれに関わると思われる伏線、世界に根源に関わる要素など、物語が進みだしている感じだった。また季節が夏ということで水着シーンや、おもらし、触手責め、角のあまがみなどのエロシチュによる読者へのサービスシーンもしっかりとあり、その部分でも読み応えがあった……ようななかったような。ともあれ次巻では更に大きく話が動き出しそうなので期待。
読了日:04月27日 著者:瑞智 士記
僕は友達が少ない6 ドラマCD付き特装版 (MF文庫J)僕は友達が少ない6 ドラマCD付き特装版 (MF文庫J)
段々惰性になってきた。かわりにブリキ絵がやべえと思うように。一応次も買うけど……。
読了日:05月26日 著者:平坂読
涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)
読了日:06月28日 著者:谷川 流
夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))
星4つ。後半からが本番。ロマンチックだし、構成も上手い。タイムトラベルをすることの問題等を明確に浮き彫りにして、解決している。また、未来に登場するものがリアリティさに富んでいたり、説得力がある。ただ、人に勧めるほど、勧めたいという衝動にかられてどうしようもなくなるほどのものではなかった。温かいSFだけど、そうでないものにいろいろと手を付けてしまった俺にとっては、正直言って、この言い方が正しいかどうか分からないけれども、毒にも薬にもならなかった。
読了日:07月21日 著者:ロバート・A・ハインライン
星を継ぐもの (創元SF文庫)星を継ぐもの (創元SF文庫)
処女作でこれほどの話を書いたことに驚きを禁じえない。新鮮味はないし、欠点もあるのだけれども、段々と謎が明かされていく過程、そして最後の真実で、SFの夢が最大級に詰まっていた。読んでいて完全にお話に酔える。また、指摘している人がどうも少なさ過ぎると思うので指摘するが、池さんの英語翻訳はもっと評価されてもいいと思う。正直言ってここまで上手いとは思わなかった。まるで最初から日本語で書かれていたかのような、すらすら読めるなんてもんじゃなかった。優れたお話を、優れた翻訳文で読めた。至高の読書体験でした。
読了日:07月23日 著者:ジェイムズ・P・ホーガン
幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))
どこからともなく飛来して来た宇宙人が地球を管理する中で、人類が広大な宇宙においては全くもって意味を為さない存在であるということ。そして来たる人類の消滅は連綿たる時の流れの中で一時の安息に過ぎないが、同時に人類の幼年期の終わりでもあった、という感じ。本当に科学的で、かつ哲学的に人類の存在意義を問うたSF作品。SF小説を意識的に読み始めて3年ほどだが、ほぼエンターテインメントとしてのSFにしか触れてこなかった俺にとって、この作品は非常に思弁的に思えた。ただこういうのが、SFの本来の性質なのかもしれない。
読了日:07月26日 著者:アーサー・C・クラーク
地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224)地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224)
地球に植物が跳梁跋扈したらという設定に作者の圧倒的な想像力を垣間見ることが出来るが、如何せんそれを表現している文章の形容が複雑怪奇、かつ訳が古いこともあり、情景を中々想像しにくい(それはプラスにも考えられ得ることは断っておかねばなるまいが)。強烈で壮大な世界なのだろうけれども、個々の要素に具体的にのめり込めなかった。ただこれほど「SFはやっぱり絵だねぇ」という言葉がしっくりくる作品はない。また話の展開や主題は至ってシンプルであるためそこに新鮮さは見出せなかったが、古典SFであると考えれば妥当だろう。
読了日:07月28日 著者:ブライアン W.オールディス
ソラリスの陽のもとに (ハヤカワ文庫 SF 237)ソラリスの陽のもとに (ハヤカワ文庫 SF 237)
この作品の何が凄いのかと言えば当時のアメリカ式宇宙SFの常識を見事に覆した点に尽きる。これは東欧の作家でなければ為し得なかったことだろう。この作品は、連綿たる拡がりを持つ広大な銀河において何らかの知的生命体と我々地球人類が遭遇した時に、そもそも交渉・対話ができるというその前提が間違いなのではないかという問題提示をしている。また、仮にその対話を通じて我々が得られる物があるとすれば、それは相手のことではなくあくまで我々のことにすぎないのだということに気付くだろう、ということをこの作品は示唆していると感じた。→
読了日:07月30日 著者:スタニスワフ・レム
星刻の竜騎士Ⅳ (MF文庫J)星刻の竜騎士Ⅳ (MF文庫J)
本シリーズ一区切りの、シリーズの中で見せ場が多かった巻だった。主要な人物の秘密が明かされ、今後語られるであろう要素も書かれていた。また、世界の根幹に関わる設定も段々と見えてきている。そして相変わらずの触手シーンは健在。主人公と相棒の関係も着実に階段を昇りつつある。そっち方面でも期待したい。
読了日:08月02日 著者:瑞智 士記
星刻の竜騎士 Ⅴ (MF文庫J)星刻の竜騎士 Ⅴ (MF文庫J)
一区切りの前巻から一転して終始長閑な感じだった5巻と言いたいところだが、なんとこの巻でまずは一区切りだそうで。今巻は、前巻で明かされたエーコの秘密をもう少し踏み込んだものが書かれていた。そして主人公との関係も少しずつではあるが進んでいて、後書きにも書かれているように、次は恋愛が中心になってくるのではないかと思われる。もちろん触手シーンもあった。次からは新章ということで、そこそこ期待していきたい。/余談だが、巻末イラストのアーニャの方が、4巻の表紙よりも可愛いと思った。
読了日:08月03日 著者:瑞智士記
ストライクウィッチーズ―スオムスいらん子中隊がんばる (角川スニーカー文庫)ストライクウィッチーズ―スオムスいらん子中隊がんばる (角川スニーカー文庫)
ストレートな成長物語。起承転結は明解でわりと先の展開が読めるが、そこはさすがヤマグチノボルといったところか、普通に面白かった。あと百合に関しては“現時点で”ギャグ程度の添え物くらいにしか思わなかった。/アニメは見ていないので、既刊分を読み終えた時点で「この世界観にもっと浸りたい、様々な形の魔女に触れたい」と思ったらアニメも見ていく。
読了日:08月08日 著者:ヤマグチ ノボル
ストライクウィッチーズ 弐ノ巻―スオムスいらん子中隊恋する (角川スニーカー文庫)ストライクウィッチーズ 弐ノ巻―スオムスいらん子中隊恋する (角川スニーカー文庫)
糸河のオチに笑った。
読了日:08月09日 著者:ヤマグチ ノボル
ストライクウィッチーズ 参ノ巻  スオムスいらん子中隊はじける (角川スニーカー文庫)ストライクウィッチーズ 参ノ巻 スオムスいらん子中隊はじける (角川スニーカー文庫)
オチというか、話のからくりにはなるほどなと。あとヤマグチノボルってこんなにミリタリー好きだったの? 初めて知った。
読了日:08月10日 著者:ヤマグチノボル
月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
とても不愉快だがページを捲らせる作者の筆力は凄い。不愉快になるという事はそれだけ作者の目的とそれを達成する為の方法が上手い事機能しているから読み手は不愉快になるわけで、仮にそうでなければ「この話、意味が分からない」の一言で終わるだけだ。でもここまで貶めればそりゃ誰が考えても後は持ち上げるしかないと思う訳で、だからこそ下巻で「上巻があんなに酷かったのに下巻では主人公が成長した、読んで良かった」という感想になり得るのが目に見えている点でどうも鼻につくし計算ずくに見える。そういう意味でも不愉快。/ひねくれすぎ?
読了日:08月11日 著者:小野 不由美
魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 (MF文庫J)魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 (MF文庫J)
今まで読んできたMF文庫Jの作品で一番面白かったかもしれない。MF文庫Jの、今流行りの受けが良さそうで、はっきり言ってあまり中身のないいかにもラノベらしいラノベのような展開やサービスシーンがあるわけではなく、そこそこしっかりしたテキストに堅実な、読み応えのある展開が気に入った。今後の展開に大いに期待したい。
読了日:08月17日 著者:川口 士
そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
これがクリスティの最高傑作ならば、俺は他のクリスティ作品を読む必要はないと思った。絶賛している感想が多くて、えぇ? と言わざるを得ない(因みに純粋なミステリー作品はこれが初めてです)。あとクローズドサークルって点を指摘している好きな人が多いなあとも。/と思いつつ解説を読んだら、なぜ俺が首を傾げたかがよく分かった。“謎など論理的である必要がない、あざやかでありさえすればいいという手法――は、何もクリスティーだけに限ったことではない”の部分で、すべてが氷解した。/ただ訳は非常に読みやすかった。これは外せない。
読了日:08月18日 著者:アガサ クリスティー
火刑法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-1)火刑法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-1)
4部の解決部分が結構面白かっただけに、5部で俺はあまり好きじゃないなと疑問が残った。ただ、この話は二重構造的であるが故にエピローグの手法での解決は必要――というかカーは初めからこの結末にしたいが為にこういう構造にしたのだろうか、解説を読む限りだと狙ってやったとしか――だ。これを推理小説的解決の後に態々持ってきた事が、この小説の魅力をただの推理小説以上に増す結果となったと言わざるを得ない。いずれにせよ、どちらの解決方法を採っても納得出来るのは、それだけ完成度が高い作品という証左に他ならないと思う。
読了日:08月21日 著者:ジョン・ディクスン・カー
魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)
達也の俺TUEEEEっぷりと深雪のブラコンっぷり、そしてサクサク読めるテンポの良さがいい。厨二要素も、いつもなら大体毛嫌いしちゃうけれども魅力がそれに勝っていた。改行が気になるが、我慢できる範囲。シリーズを追っかけていきます。
読了日:08月21日 著者:佐島 勤
はぐれ勇者の鬼畜美学(エステティカ) (HJ文庫)はぐれ勇者の鬼畜美学(エステティカ) (HJ文庫)
作者本人も言っているが、まさに「強くてニューゲーム」という表現が合っている話だ。テキストは読みやすいがスカスカなわけではなく適当な感じで、話の展開や、核心と思われる風呂敷の広げ方、テンポの良さも上手い具合だった。よくできていると思う。キャラクターはやはり俺TUEEE系な主人公が突出している。性格や突き抜け方に好感が持て、ここぞとばかりには良い男になるので好評価。今後のシリーズの展開に大いに期待したい。/実は書店で捲って見たカラーページ最後のイラストに惹かれてこれに興味持ち出したとか、あまり人には言えない。
読了日:08月22日 著者:上栖 綴人
Xの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Xの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
こういう内容の作品が『本格ミステリー』だというのならば、俺はこのような作品を中心に読んでいけば良い――このようなミステリーが嗜好に合致している――のだなと実感した。と言うのも、非常に私事で恐縮なのだが、先日俺はミステリーを読んでみようと決めて、『そして誰も〜』と『火刑法廷』を読んだ……はよかったものの、これって純粋なミステリーなのだろうかと少々首を傾げる状況が続いていた。そんな俺にとって、今後ミステリーを読むとしたらどういう作品に手を付けていけば良いのかがよく分かった1冊となった。
読了日:08月23日 著者:エラリイ クイーン,エラリー・クイーン
マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
話の概要とか面白さは改めて説明する必要はないと思うので割愛するとして、特に気になった点は、“今となっては”いろんな形で冲方丁を知った人がこれを読んでいるためか、なんというか感想をざっと眺めてわりと皆違うことを言っている点。ハヤカワから刊行されている作品ではあるが、いわゆるライトノベルから入った人も、時代小説から入った人も、SFから入った人も様々いるための結果なのだろう、そういう意味でも読み手を傍観していて比較的面白い。/実は旧版はこの1巻にあたるものしか読んでいないので先の展開は知らない。楽しみだ。
読了日:08月23日 著者:冲方 丁
ツンツンしてた小悪魔妹が嫁になるまでデレた理由 (二次元ドリーム文庫 191)ツンツンしてた小悪魔妹が嫁になるまでデレた理由 (二次元ドリーム文庫 191)
初の二次元ドリーム文庫はわりとエロゲーちっくというか……最初は仲違いしていた二人が、ある事件を切欠に和解し、そして主人公は妹に惚れられ、初エッチをしてその後は様々なプレイをし、めでたしめでたしで終わるという展開の仕方が、エロゲーとほぼ同様だったように感じた。こんなもんなの? まあわりと過程は丁寧に描かれていたしよかったけど、もう少しエロシーンが濃ければもっとよかったかなあと思う。
読了日:08月23日 著者:舞麗辞
はぐれ勇者の鬼畜美学(エステティカ)Ⅱ (HJ文庫 う)はぐれ勇者の鬼畜美学(エステティカ)Ⅱ (HJ文庫 う)
主人公の俺TUEEEっぷりが前巻と同様に遺憾なく発揮されていたのだが、隠された本当の強さの一片も垣間見ることができた本巻だった。次巻への、話の核心に繋がるであろう布石も特に最後にあり、気になる終わり方となっていた。作者が後書きで「RPGがTVゲームのジャンルでは一番好き」と言っていた事に対して親近感を覚え、作中での出来事をRPGにおける○○と例えてくれているのは分かりやすい。ラノベではあるが、RPGならではの、広域に及ぶ話の展開の仕方と似たようなものが息づいているシリーズなのだろうなと思わずにいられない。
読了日:08月25日 著者:上栖 綴人
僕の妹は怪盗に変装しているつもりです。 (二次元ドリーム文庫 190)僕の妹は怪盗に変装しているつもりです。 (二次元ドリーム文庫 190)
話の概要と、表紙の絵を見て購入。変装しなければ大胆になれない妹がお兄ちゃんとエロ漬けの毎日を送る話。単純にエロは濃く、シチュエーションも優秀。実用性もある。絵師の名前は聞いた事がない人だったが、表紙を見て分かるように、大きい胸やムッチリ具合もそそるし、純粋に可愛い女の子として見ても良かった。スク水を着ている怪盗とエッチをするという話なので、図らずもスク水エロが基本となっているのだが、それ故にと言うべきか、ただ単にスク水を着てエッチしているだけという、スク水の良さを活かしたエロにはなっていない所が残念かも。
読了日:08月28日 著者:神楽陽子
魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉2 (MF文庫J)魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉2 (MF文庫J)
面白かったが、どうして最近――昔からか?――のライトノベルは1巻につきヒロインが1人増える構成なのだろう(MF文庫Jだから余計に)と疑問に思わなくはないが、魅力的だし可愛いからまあいいやとなってしまった、それが本巻。ただ、主人公に気を許してからのやり取りの分量が少なすぎるためあまりニヤニヤ出来なかった。むしろ1巻で出ていた1人目のヒロインの従者とのやり取りの方でその恩恵に与れた。3巻目では新たなヒロインと共に、本巻で登場したヒロイン――本巻の表紙の子――と主人公の間のニヤニヤ出来るやり取りに期待したい。
読了日:08月28日 著者:川口士
魔法科高校の劣等生〈2〉入学編(下) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生〈2〉入学編(下) (電撃文庫)
ブラコンの「兄と妹」のやり取りにほんわかしつつ、実力の一端が垣間見れた2巻だった。1話目にしてすでに様々なキャラクターがいるが、どれも個性的で面白く、しかし媚を売ることなく真っ直ぐなので読んでいて清々しい。話の展開としては、ひとまず魔法科というシリーズの土台が用意されたという印象だ。今後の伏線となる人物や組織なども様々出現してきていて、どのように関わってくるのかが非常に気になるところ。web版では完結しているとのことらしいが、書籍での刊行を存分に待ちたいと思う。次巻・次次巻の九校戦編が楽しみだ。
読了日:09月04日 著者:佐島 勤
鋼鉄の白兎騎士団 I (ファミ通文庫)鋼鉄の白兎騎士団 I (ファミ通文庫)
読了日:09月14日 著者:舞阪 洸
僕は友達が少ない7 (MF文庫J)僕は友達が少ない7 (MF文庫J)
読了日:10月15日 著者:平坂 読
境界線上のホライゾン1〈上〉―GENESISシリーズ (電撃文庫)境界線上のホライゾン1〈上〉―GENESISシリーズ (電撃文庫)
本の分厚さ、設定の複雑さ、読みにくいテキスト、登場人物の多さ、遅々として話が中々進んでいなさそうな構成、様々な要素で“掴む”のに手間がかかり、読者をふるいにかけているなとは思うのだけれども、18章あたりからはどっと引き込まれた。1下巻を読まないといけない、と思わさせられる終わり方は卑怯ではあるが、しかしこれで中々好きな作品だとも感じてしまう、魅力みたいな何かがあることは確かだ。
読了日:11月05日 著者:川上 稔
魔法科高校の劣等生〈3〉九校戦編〈上〉 (電撃文庫)魔法科高校の劣等生〈3〉九校戦編〈上〉 (電撃文庫)
読了日:11月16日 著者:佐島 勤
あなたの魂に安らぎあれ (ハヤカワ文庫JA)あなたの魂に安らぎあれ (ハヤカワ文庫JA)
非常に平易な内容。群像劇で様々な人物を描写しエピソードを重ねていく事で劇中の世界におけるとある真実が次第に明らかになっていく。やや使い古された核心/ネタであったが四半世紀前に書かれたということを考慮しても十分読むに耐え得る面白さがあった。さすがは神林作品。物語最後部分、独特の切なさと、SFといえばこれとも言える某動物の可愛さが堪らない。また神林作品を語る上で外すことの出来ない通底的テーマは本作品も多分に漏れず顕在。“ならでは”のものがあった。ただ他作品と比べるとそこまで強くはない印象でした。
読了日:11月21日 著者:神林 長平
マインド・イーター[完全版] (創元SF文庫)マインド・イーター[完全版] (創元SF文庫)
今年読んだ新刊で一番面白かった。俺は小松左京を1冊も読んだことがない21歳初心者SF読みな訳なんだけど、後書き、解説にあるコンセプトをこういう文芸でやってしまえちゃうんだなと思った。数少ない読書体験から作られていたSF観は見事に変わりました。強く思った事は、「この作品はただひたすらに清新であり、残酷であり、美しくある」という事。まあ実際読んでいる途中は難しいことはあまり考えずに(といったら失礼だろうか)、娯楽SFとして普通に楽しめた1冊。今まで読んだ日本SFの中で一先ず一番の作品。間違いなく傑作です。
読了日:11月29日 著者:水見 稜
輪るピングドラム 上輪るピングドラム 上
アニメ未視聴。/まず小説としてどうかと言えば良く出来ていると思います。未視聴故にピンドラというアニメ作品以前に読み物として面白いか、良く出来ているかを念頭に読んだんですが