k-takahashi’s 雑記

2008-03-17

[]OGC2008と「コミュニティ・ピラミッド」

 「ゲームデザイン・ツール」を売る市場は、単にデザイン論だけでなく、コミュニティ論についても語らなければならないフェイズに移行しているのです。

OGC2008と「コミュニティ・ピラミッド」─CGM的視点から見たTRPG市場考 - God & Golem, Inc.

 着目点には同意できるのですが、現状認識はちょっと異なります。

私の認識では、このピラミッドは既にできています。共同で物語を創るという点で、それが「TRPG系のラノベ」「二次創作」「コミケット」です。スレイヤーズとかロードスとかフォーチュンとかのラノベを書く作家が数十人いて、それに関わるプロ・セミプロが千人いて、同人作家・同人読者全部ひっくるめて100万人くらい。ちょうど同じくらいだと思いませんか? そして、トップレベルの人達はかなり稼いでいる。

 本来なら、TRPG界は、この「金のなる木」の収益を使って、スターや問題児の育成*1をするべきだったのですが、このお金がTRPG界の外に流れていってしまった。結果として、日本のTRPG界には「問題児」と「負け犬」しかなくなってしまった。 それでも、出版コストの大幅なダウンとロングテール現象によって、なんとか現状生き延びている。(ついでに言えば、D&Dなど一部の高級路線を別にすると、TRPG系ラノベリプレイ本業界やカードゲーム・コンピュータゲーム業界のおこぼれで食いつないでいる。) それが日本の現状ではないかと思っています。


 別に、だからダメだとか言うつもりは無いです。なんだかんだ言ってもプロが存在できる市場があるのは充分に立派な話。ですが、同じ方法論を導入するには前提が違いすぎるので、そのままは使えないだろう、と思うのです。少なくとも、2008年時点において、シムズやニコ動などの分かりやすい世界と相当クセのあるTRPGとでは敷居の高さがあまりにも違う。



 そして私は、「ツールメーカー」つまり〈システムデザイナー〉に優秀な人はたくさんいるけれど、その下の生態系ピラミッドがガタガタになっているのが今のTRPG市場なんじゃないかという考えを持っています。

OGC2008と「コミュニティ・ピラミッド」─CGM的視点から見たTRPG市場考 - God & Golem, Inc.

 ここも私の認識とは異なります。そもそも、現在の日本のTRPG界に生態系ピラミッドなど無いというのが私の理解です。

 美味しいところを一旦外に持っていかれてしまった*2日本のTRPG界は、これから市場を立ち上げるフェイズにいるようなものです。これから市場を立ち上げるのであれば生態系ピラミッドがあるはずもない。日本のコンピュータゲームに例えれば、80年代前半あたり。それが私の認識です。


 もちろん、Web/ICT技術を使える点で立ち上げること自体は80年代よりも楽になったと言えますが、でもそれは他の娯楽も同じ。その中で頭角を現すのはやはり簡単ではないと見ています。


 これは、TRPGの本質がどうかとか、特定のシステムのできが良いとか悪いとか、そういう話ではなく、他の娯楽との競争という点から、マーケットをどう取っていき、維持発展させていくべきかという話です。現状、なにか妙案があるかというと、私は思いつきません。色々とやっているのは知っていますし、その成果も出ています。ですが、マスマーケットにおいて、他の娯楽と競争するという点からは、どうでしょう? 

 もしかすると、いわゆる「FEAR系」がラノベ的方法論でコミュニティを獲得することを目指しているTRPGだと言えるのかもしれません。実際、コミケットなどで同人リプレイも多く見かけます。が、是非はともかく、マスマーケットへの訴求力という点ではまだまだ勝負以前です。


 ロングテール内で生きて行ければいいのではないか、という議論も当然成り立つと思いますし、個人的には現状は無理に打って出る段階ではないと思っています。(外に打って出るチャンスは見ておく必要がありますし、時にはがむしゃらに出て行く人も必要ですが、正直なところ、そこは若い人に任せたいなと。)


 ということで、コンピュータゲームの事例は大いに参考にするべきですが、換骨奪胎は不可欠です。そして、換骨奪胎のキーはシステム・運用論です。ウェブ時代にコミュニティ論を考慮しないマーケティングはありえませんが、コミュニティ論とシステム・運用論とで比較するならば、検討の優先度はシステム・運用論が上ではないでしょうか?

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