k-takahashi’s 雑記

2015-08-09

[]夕食:スタミナソーメン、積ん読:13冊

[][]軍事研究 2015年8月号

DARPAロボティクス・チャレンジ・ファイナル(阿部拓磨)

DARPA主催だからなのか、ライターの趣味なのかは分からないけれど、直接軍事技術ではないのに妙に「軍事研究」のロボティクス・チャレンジの記事は充実している。今月号ではファイナルの解説の前編。


航空自衛隊『航空開発実験集団』(小林春彦)

「航空開発実験集団」はメジャーコマンドの一つで、飛行開発実験団、電子開発実験群、航空医学実験隊を隷下に持つ。

この集団の業務内容の解説と、司令官のインタビュー。

ISSで飛んでいる由井飛行士は、飛行開発実験団のテストパイロットだった人。


防衛省後援?海洋防衛装備展示会MAST(竹内修)

5月に横浜で開催された展示会のレポート。防衛省が「後援」したことでちょっとニュースになっていた。ただ、主催者側も変な騒動に巻き込まれることを警戒して、今回は火砲やミサイルはあえて展示から外す措置をとったとのこと。(それでも緑系の人が騒動を起こしていた。要人も少なくないイベントにテロリストが簡単に入ってくるようなのはあまり良くないだろうね)

この記事は、展示品の中身の紹介が中心。JMUの水陸両用車は、浮航時のスピードと運動性が高いのが特徴。川崎重工はMCH-101の航空掃海仕様を展示。掃海関係も多かった。


『ネイビー・リーグ2015』レポート(2)(多田智彦)

こちらは4月に米国で開催された展示会「ネイビー・リーグ・ショウ2015」のレポートの後半。艦載武器・センサーの紹介など。

AMDR-S(AMDRのSバンド)の性能は、レイセオン社によれば現SPY-1より15デジベル向上、米海軍によれば従来の半分の大きさの目標を2倍の距離で探知可能、このふたつはほぼ同じとのこと。

LCS用対艦ミサイルについては、ボーイングハープーンの射程延長型(現行の2倍)、ロッキードマーチンはLRASM(超ステルスミサイルのA型、高速化するB型)を提案。なお、B型は中止になっている。

電磁レール砲は順調に進んでおり、課題である砲身寿命、電力発生設備の搭載方法、なども検討が行われている。

他にレーザー兵器(TLWS、150kW)、デュアルモード潜水艦(デュアルとは、有人/無人のこと)。



徹底解説:日米ガイドライン改訂(福好昌治)

20年近く前に策定された「前ガイドライン」の改訂版が4月に発表された。その内容の検証記事。

「大規模な武力攻撃に発展するまでは、米軍は日本防衛に関与したくないようだ」(p.75)

「朝鮮半島有事を想定した場合、米韓連合軍は公海上でも作戦を実施する」(p.76)

「集団的自衛権の行使としての掃海は、法律論としておかしいだけでなく、現実問題としても想定しにくい」(p.76)

VI. 宇宙およびサイバー空間に関する協力」(p.78)


日本を恫喝する「東南戦区」(田中三郎)

中国軍は、7台軍区から4戦区への改変を検討中。日本やアジア諸国にとっての問題がその中の「東南戦区」。その解説記事。

中国軍が昨年計画し設置した「東シナ海連合作戦司令部」の戦略的意図が見えてきた。

(中略)

政治的には日本を恫喝するには最も次都合が良い。軍事的には、陸軍が尖閣諸島/魚釣島に随時上陸する「軍事闘争準備工作」に都合がよい。

(p.90)

さらには、この戦区の担当範囲図からは、

南西諸島を中国の領土都市、同諸島を越えて、同諸島の東側の太平洋に展開する「琉球海溝」までを「中国の海」と主張してくる可能性があることを示している。(p.94)


南沙海戦で沈む非力な沿海戦闘艦LCS(軍事情報研究会)

カラー写真を多用してのLCSとミッションの解説記事。

LCSのMP(ミッションパッケージ)が完成するまでは、中国海軍は好き勝手するだろうという予測。



空の防人回想録(16)(鈴木昭雄)

事故対応に腐心したことが書かれている。

FSXについてです。我々制服は、航空事故に対する我が国の厳しい社会環境から「双発機にして欲しい」と強く望みました。(p.160)

制服側が、軍事合理性よりも政治面に気を配っていたことが分かる記述。


流血のシリアでアサド政権支持を装うロシア(小泉悠)

ロシアの意図分析。小泉氏の分析では

  • ロシア軍高官、武器輸出業者、ロシア外務省などがシリア高官との間に様々な利害共有関係
  • 民主化運動をシリアでくいとめることの利益
  • 欧米が困るから

ということで、ロシアが擁護しているのはアサド政権ではなく、シリア状況そのものだということになる。

まあ、シリア人民にしたらたまったものではない。


特殊部隊を使い始めた国連(嘉納愛夏)

前号に続いて、米陸軍平和維持・安定化作戦研究所のレポート。ディレクターのバーンバンク大佐、キャロル・ホーニング教授、日本から派遣されている浦上二佐、作戦課チーフのジョージ・マクダネル大佐、などのインタビュー。

ホーニング教授のインタビュー中の以下が興味深かったし、困難さを表しているとも思った。

デモの中で学生達は正義を叫ぶ。その正義とは、social justice、社会正義を主張していた。

しかし民主化、民主的な社会というのが社会正義であるべきはずなのに、独裁政治だったパナマの人々には本当の社会正義が何か分かっていなかった。なので、それらに対して的確な回答を示すことが困難でした。(p.226)

[][]Web+DB press vol.87

IT系技術雑誌なのだが、どういうわけか『ゲームルールの作り方』(副題:ボードゲーム開発から学ぶ「楽しさ」の源泉)という特集記事が載っていた。20ページ以上ある本格的なもので、著者はプロダクトアーツの坂上卓史氏。

ゲームアプリを開発する仕事が増えているから、とはいうものの、記事自体はアナログゲームの概要説明と製作工程の説明。コンセプトを作って、ルールやシステムを磨いていって、アフターフォローして、というあたりが書いてあって、特に「ART OF WARthe card game」の開発を具体的に解説しているのが面白い。

雑誌の性格上か、製造や流通の話は省略しているが、アフターフォローの重要性は書いている。

アジャイル開発なんかと結びつけての解説は、次に特集として取り上げるときになるのかな。


アナログゲーム開発の「実例」として興味深いので関心のあるかたはどうぞ。(電子版が入手できます。)


スマホアプリのゲーム開発の場合は、これとは全然違う設計の必要性も大きいので、本記事は基礎教養みたいな位置づけになるのだと思う。

[][]My Humanity

My Humanity

My Humanity

第35回日本SF大賞受賞作。4編からなる短編集。タイトルの『My Humanity』が実にうまい。Humanity という人類に関わる問題、それに My と付け加えて個人の視点からの描写にしている。

テクノロジーがHumanityを脅かすという面と、テクノロジーがHumanityを露わにするという面との両面を、その境界面に居合わせてしまった個人の目から描いているというのが面白いところ。Humanity の両面もまたあぶり出されることになるのだが、それが個人に落ちてくる。『父たちの時間』はちょっと作り過ぎな感じもあった(「父」の意味づけは面白い。クラス名とインスタンス名が切り替わるのはもう一つ面白い使い方が入っている)が、『Allo, toi, toi』ぐらいだと怖さが引き立つ。