k-takahashi's blog

個人雑記用

ネットフリックスの時代

タイトルはネットフリックスだけれど、メインはコンテンツの見方、見せ方、ビジネスモデルの変化、というところ。『フリー』*1では、サービスを多数の人には無料で提供し、一部の人からお金を集めるというモデルだったが、ネットフリックスなどのサブスクリプションモデルは多くの人から広くコンテンツにお金を払って貰うという形になる。また、コンテンツと言っても音楽と映画では消費の仕方が異なってくる。それはビジネスのやりかた、コンテンツの中身などが変わってくることであもる。そういうあたりとまとめてくれている一冊。


古いテレビのモデルでは、視聴者はテレビ局が指定した時間にテレビの前で番組を見て、テレビ局が指定するCMを見ることが当然とされていた。どの番組を見るかは、新聞のテレビ欄を見るか、もしくは付けっぱなしのテレビから流れてくるのをたまたま見るという形だった。
それが、ビデオ機器やネットによってテレビ局の都合とは無関係にコンテンツを見るようになってきた。こうした視聴者の「自由」をなんとかして否定しようとしてきたのがテレビ局だが、遂に視聴者の自由を認めるようになってきた。もう、そうしないとコンテンツ自体を見て貰えないようになったからだ。「見て貰わなければ始まらない」という当たり前のことにようやくテレビ局も気がついた。
そうなると今度は見てもらうための仕組み「導線」が重要になる。もう誰もテレビ欄なんか見ない。SNSからリンクしたその先にあるか、話を聞いて検索した結果からしか見ない。そうなるとネットで配信しないといけなくなる。そんな話。


一度視聴者の自由を認めれば、他の部分にも自由が広がる。毎週同じ時間に見るという必要も無い、全ての番組の長さが同じである必要も無い。コマーシャルを入れるタイミングも自由になり構成の自由度も増す。見る人をある程度絞ることもできるので、内容もエッジのたったものにできる。いいことずくめだ。ビジネスとして成立しさえすれば。


そのビジネスが成り立つということが分かってきた(納得する人が増えた)のがこの数年。自由に見るための技術、それを支えるデータがどんなものなのかも書かれている。見て貰うためには導線が重要で、だとするとそもそもどのコンテンツを「見せる候補」にするかが大事になる。これはビッグデータ処理に他ならない。


前半部は各社のサービスの紹介とかもあり、そこをデータとして使うもよし。中盤以降はコンテンツの消費の仕方・提供の仕方の変化と展望が書かれていて、トレンドを理解する資料として使える。音楽や映像以外のコンテンツに適用したらどうかな、と考えるのは面白い。ゲームとか本とかもサブスクリプションモデルができつつあるが、考え方は同じなんだろう。ディズニーランドやスポーツクラブのいわゆる「年パス」なんかも似ているところがある。(ただし、こちらは物理的な制約がある点が違いとして残る)


「お薦め」がフィルターバブル化する危険はもちろんあるけれど、それはコンテンツビジネスに限った話ではないので、とりあえずは保留。
個人的には、ディスカバリーチャンネルがどこかに入れば、CS解約してそっちに乗り換えるんだけどな。(海外ドラマはどう考えてもネットの方が上)

*1:

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