- 作者: 藤井太洋
- 出版社/メーカー: Amazon Publishing
- 発売日: 2018/10/23
- メディア: Kindle版
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時代設定は2023年。IT技術者の山科保は、倉庫に山積みで放置されていた「パドル」をたった5万円で手に入れた。「パドル」は人間の言葉や感情を認識して反応する人型ロボット。大手携帯電話会社が開発し、大ヒットしたが、東京五輪を経て、役割を終えていた。
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山科と、シェアハウスで同居している女性・飛美神奈は「パドル」に意外な役割を持たせて見事に再生、事業化に成功する。ベンチャー企業の総務社員だった飛美はロボット事業部の担当役員に昇進、山科も技術フェローとして入社し、二人は「パドル」の会話機能向上に熱を入れるが……。
上の紹介を読めばすぐ分かるが、パドルはペッパー君がモデルで、一旦見捨てられるが実はうまい使い方があって、というところから話が始まる。
タイトルでバレているので書いてしまうが、この会話機能が「オウム返し」でうまくいくというのが中盤の展開になる。
コミュニケーションロボットに込められた様々な工夫や、人型の持つ意味、会話の価値などが語られる。作者自身が触ってみたり、インタビューをしたりして仕入れた話を小説の形でまとめたのだろう。SF味というよりは、研究者・開発者のインタビュー感覚の方を強く感じた。
終盤のオチの部分だけでショートショートを書く手もあったかなあ、とも思った。
コミュニケーションロボットに関心のある人は読んでおくと良い。