k-takahashi’s 雑記

2018-10-05

[]陰謀の日本中世史

陰謀の日本中世史 (角川新書)

陰謀の日本中世史 (角川新書)

当初、「陰謀論論破する」みたいな紹介がされていて、「いや、陰謀ってたくさんあったんじゃ?」と思ってたのだが、私の誤解でした。ここで言っている「陰謀論」はオカルト系の「陰謀論」と同じ意味で「妄想」とか「トンデモ」とかいったもののことだった。


日本中世史の幾つかの事件について、現時点での主流の解釈と合わせて、俗説、学説の推移、トンデモ論といったものまで解説している。

本書では、先行研究を押さえつつ、日本中世史における数々の陰謀・謀略を歴史学の手法に則って客観的・実証的に分析していきたい。なお、本書で扱う陰謀・謀略の中には、読者にとってなじみの薄いと思われるものも含まれている。これは、なるべく多くの陰謀を俎上に載せることで、陰謀の法則性を導き出したいからである。本能寺の変について明らかにしたければ、本能寺の変だけを見ていてもダメで、歴史上の陰謀との比較が必要なのである。

(まえがき、より)

ということで、保元・平治の乱、源平騒乱、鎌倉幕府、足利、応仁の乱、本能寺、関ヶ原、のそれぞれの時代に起こった陰謀・謀略と今では否定されている説などを紹介している。

どれもこれもごちゃごちゃしているというのは実感で(特に応仁の乱はひどい)、分かりやすい俗説が望まれるのも分かるよなあという感想は持った。ただ、そのごちゃごちゃしているのを解きほぐすあたりが、面白いところでもある。科学史が面白いのだから、歴史史だって面白いわけですよ。それが本書のポイント。


ちょっと気になったのは、成功した陰謀・謀略については本書ではわりとさらりと流しているのだが、そういうった辺りに対して、本書で批判的に扱っている諸説に対するもののような検証はあまり記載されていない。「そっちの話は本当に本当なの?」とは読んでいてちょっと感じた(もちろん、検証しているはずだけど)


ニセ科学関係

終章の「陰謀論はなぜ人気があるのか?」というところには、トンデモ論の見分け方があり、ニセ科学の見分け方と似ているところが多い。ある程度科学に慣れ親しんでいると、「なぜそんなニセ科学に?」と思うことが多いが、私が歴史関係のごちゃごちゃしているのを「分かりにくいなあ」と感じるのは、おそらく科学に慣れ親しんでいない人が「科学は分かりにくいなあ」と感じるのに近いのだろう。

本書を読むと、科学において大半の「ニセ科学」は「間違っていた説」ではなく単にトンデモであるように、歴史分野においても「様々な仮説」とはまったく別のレベルで「トンデモ説」があるのだというのが分かる。そして、その明らかなトンデモを見分けるだけなら、それほど難しいことではない。


陰謀論は楽しめる

科学を楽しむのとオカルトを楽しむのは一人の人間の中で同居できる。だから、歴史をきちんと学ぶことと、トンデモ史(というか趣味的に楽しむなら「講談調」とでも言えばいいか)を楽しむことも同居できるはず。

シミュレーションゲームでも、イベント的に陰謀的事件が取り入れられていることはあり、これはこれで面白い。そこは否定しなくていい。ただ、歴史学は歴史学できちんと知っておく方がいいわけ。この界隈だとパウル・カレルの件があるが、本書の中でも「執筆意図を考えると記載が信用できない」という話は何度も登場する。

2018-09-22

[]ヒトラーとUFO

新書882ヒトラーとUFO (平凡社新書)

新書882ヒトラーとUFO (平凡社新書)

一昔前は、ドイツはお堅いが真面目で誠実な国というイメージだったが、フクシマ差別が一部のイエロージャナリズムだけではなくドイツ全体に蔓延していることが伝えられるようになり、「ああ、やっぱり」という知識が広がりつつある。

であるから、別にドイツを特別扱いする必要は無いわけで、とうぜん都市伝説はある。そんなドイツの都市伝説紹介本。


八割方は世界のどこも同じようなものだなというところ。

ドイツっぽいと言えば、子供の頃のヒトラーが溺れかけたのを助けた神父という都市伝説があるそうだ。創作の可能性が高いようだが、「成人後に犯罪者になった者が子供の頃/若い頃に始末できていれば」というのも、世界中にある。ドイツの場合分かりやすい人物がいるところが特徴と言えば特徴。


著者が具体的に人に話を聞きに行く部分は面白い(フリーメーソンのドイツロッジのグランドマスターに「イルミナティ」のことを聞く部分とか、ビーレフェルト(存在感が薄いので、「実在しない」というジョークのネタにされている街。日本だとグンマーや鳥取がよくネタにされるが、あのイメージ)の市当局者にプロモーションのことを聞いたり)。このへんは記者の経験をうまく使っているなあ、と。

一方で都市伝説自体の扱いは、思いつきレベルっぽいのが多くて、著者にそのへんの感覚がやや不足していると思った。まあ、そこは本書の売りではないからしょうがない。


この本をネタにして別の文章を書くと面白くなりそう。

2018-09-08

[][]水の都の夢みる勇者

2.5発売合わせで久しぶりにソードワールドのリプレイを読んでみた。

Tipsとかあって実用性もあるし、内輪受けも入れつつ気楽に読める。


PCのキャラ立ての比重が高いのは今風でもあるし、SNE系のSWリプレイ小説は昔からそうか。

NPCが状況やダイス目の流れでキャラ立ちするのはいいんだけれど、GMがPCのキャラを作り込むのは個人的な趣味とは少しずれるので、SW2.5の参考にさせて頂いたということで。

2018-09-04

[][]クラシックゲーム a Go Go

後藤勝、RIKI、多部田俊雄、瓦重郎、飯田和敏、と言った人達の思い出話本。

インタビュー自体は本書のために行ったものなので、「セングラ」とか「バーチャロン」とかに関心のある方はどうぞ。

2018-09-03

[][]高橋名人のゲーム35年史

高橋名人の自叙伝。

自動車短期大学に入学したもののつまらなくなり中退、フードセンターで働いていてからハドソンに入社。営業から企画宣伝に移り、コロコロに対応したときにゲームをやろう、「名人が来る」と宣伝しちゃった、流れで自分が名人に、という話から。

基本的には名人の回顧録で、どうも編集の人があまり口を出さずに名人のいうことをそのまま本にしたようだ。それは違うのでは?というのが、技術回りでちらちら気になる。(他にもあるのかも知れないが、私がすぐに分かるのは技術回りなもので)


なので、細かい部分の裏取りはできていなくて、あくまでも名人の回想という本。でも、エピソードの類はやっぱり面白いものが多い。


あと興味深かったのが、デザイン・印刷関係。

宣伝素材を作る関係で印刷に詳しくなったのが始まりのようなのだが、PCエンジン時代のパンフレットや説明書(PSが出たときソニーが印刷工程の合理化もやったのだが、それに比べてハドソンは遅いとかクレームを受けたとのこと)、トレカブームのときのハドソンのカードゲームの対応もやってらしたとか。

CD-ROMROMで実写取り込みのゲームを作って、素材作りが楽だと思って始めたのに、フィルムから取り込んでノイズ取って色調整して、と全然楽じゃなかったというエピソード。やはり素材作り関係でサインのデザインをやってあげたというエピソードなど、色々やってきたんだなというのが分かる。


「おわりに」には、プロゲーマーをなんとかしたいというようなことが描かれている。

ゲームが不良のものとされていた時代に「名人」となり、「1日1時間」という発言をした人からすると、eスポーツ回りやプロゲーマーの立ち上がりのゴタゴタはやはり気になるんだろう。

2018-09-02

[][]Creative Habits

Saashi&Saashiが発行している、ゲームデザイナーインタビュー本。

インタビューの形式をできるだけ揃えることで、各個人のやりかた・考え方が際立つ構成になっている。

紙形態では3冊、noteではもうすこし細かい単位で売られている。


林尚志(OKAZU brand)、山田空太(imagine GAMES UTSUROI)、上杉真人(i was game)、坂上卓史(Products Arts)、カナイセイジ(カナイ製作所)、川崎晋(カワサキファクトリー)、というそうそうたるメンバー。


もちろん、正解は無い。個々人で違うところもある、パターンのどちらか的なものもある。ただ、一人のデザイナーの中では一つの流れとしてまとまっている(もちろん、変わっていくこともある)

あと、ゲームの作り方を知っておくと、「この人のゲームは合いそうだな」とか「ものによりそうだから、情報を集めてから買うかどうか考えよう」とか分かりやすくなる。


「ゲームをクリエイトすることは楽しいですか?」という質問に対して、楽しいと即答しておきながら他の人が悩んで返事していると聞くと説明を始めるカナイセイジさんとか、Rubyでテストを走らせている上杉真人さんとかのエピソードも面白い。「あ、この人の名前には聞き覚えがあるぞ」というところから読んでみると良い。

2018-08-25

[]キミのお金はどこに消えるのか

キミのお金はどこに消えるのか

キミのお金はどこに消えるのか

中国嫁日記の井上純一による経済基礎解説本。経済部分の監修は明大の飯田泰之先生。

御夫妻のボケとツッコミで、引っかかりやすい部分を笑いながら読めるところがポイント。


内容は、本書の後書きにもあるとおり、基本的なことが中心。なので、買わなくてもいいかなと思っていたのだが、

反論はないのか。「いやいや消費税増税は必要ですよ」と言っている経済専門家ってどこかにいるんでしょう? その人の話が聞きたい。それで判断したい。かくなるうえはこの本が売れまくって無視できない存在になるしかない。

たらればさんのツイート: "反論はないのか。「いやいや消費税増税は必要ですよ」と言っている経済専門家ってどこかにいるんでしょう? その人の話が聞きたい。それで判断したい。かくなるうえはこの本が売れまくって無視できない存在になるしかない。そう思わせてくれる

というツイートを見て、じゃ、と思ってポチった。