k-takahashi’s 雑記

2018-08-09

[][]ボードゲーム デザイナー ガイドブック

ドイツの有名なゲーム評論家トム・ヴェルネックによるゲームデザイナー指南書。完全にプロを対象にした本であるところが昨日の本とは一番大きな違い。

序盤はゲームとはという話もあるが、アイデアの重複を避けるとか、売れるゲームとか、契約とかの話の方が比重が大きい。チェックリストとかもあるが、自分のためという以上に「編集者(出版社)」に提出する資料として、という部分が強調されている。

この辺は地域事情というのが大きいので、そのまま使えるわけではないが業界の健全育成のためのヒントという視点。


そして、

本書の使い道としてもう一つ、ゲームデザインのノウハウの他に意図しているのは、ドイツのボードゲーム事情を紹介することである。(訳者まえがき、より)

というところが本書を和訳した大きな理由の一つだろう。今、日本でゲームを作ってグローバルで成功するには、ドイツ経由になるので、ドイツの事情を踏まえた商業視点は必須。

2018-08-04

[]イラストで学ぶ、戦闘外傷救護 〜外傷救護の最新情報

イラストでまなぶ! 戦闘外傷救護 -COMBAT FIRST AID-

イラストでまなぶ! 戦闘外傷救護 -COMBAT FIRST AID-

戦場やテロ現場などで発生する外傷にどのように対応しているのか、をイラストで解説した一冊。

この辺を大規模にオープンに研究しているのは結局米軍なので、米軍の方法論や装備などの説明が中心。


実用的かというと、米軍流の装備が手元にあるわけではないので考え方を知るというのが中心。

でも、「時間を買う」という考え方は興味深かった。ちょっと引用すると

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即時対応が必要な人から対応を行い、時間を稼いだら順番をつけ直して最重要な人に対応する。もちろん、ここにはないが「手の施しようがない」という判断もあるだろう。

こうして、現場でCLS(Combat Life Saver)が時間を稼ぎ、メディックは高度な医療を提供する。現在の米軍ではメディックは小隊に一人で、一方で最小単位(ツーマンセル)の中に最低でも一人のCLSを置くように教育・編製しており、これが現時点では有効とされている。装備と訓練が必要なため、なかなか世界中に普及というわけではないそうだ。

ただ、ボストン爆弾テロでは、こうした考え方が有効に機能したとされている。


あとは、「直接圧迫止血法」というのがあるのだが、これがこんな感じ。

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こんなの聞いてなければ分からないよなあ、と思った。


他にも、ヘルメットがハンモック型だと爆風で頭に損傷を受けるからパッド式になったとか、防弾ベストを着た際の射撃スタイルが普通とは違ってくる(ライフルの銃床を肩ではなくプレートの中心におしつける)とか、爆発を爆轟と爆燃に分けて傷の種類が変わるとか、知識としても興味深い。


"Call A CAB N Go Hot"とか"SAFE MARCHe"とかの考え方は、訓練された軍隊の動きを描写するときの参考にもなるだろう。(ただ負傷者を助ければよいというものではなく、加害してきた相手への対応も同時に考えなくてはいけないのが、事故と戦場(テロ現場)の違いということになる)

2018-08-02

[][]戦闘機と空中戦の100年史

戦闘機の歴史をまとめた本。一昨年発売で評価の高い本だったのだが、ずっと品切れで、先日ようやく再版されて入手できたもの。

ちまちま読んできたのだが、評価が高いのも納得。歴史から近未来予測まできっちり網羅されている。戦闘機だけでなく支援システム(給油機なども)のことも、ネットワークのこともきちんと書いてある。とりあえず、戦闘機については、「まず読んどけ」な一冊。


しかし、ここまでNWCが進むとクラッキングが本当に怖いし、そこで出てくる可能性を脅しに使われるようになるだろう。中露のような独裁国はまだしも、西側は「○○の可能性が!」とかメディアを使ってやられたらその対応だけで大変。

2018-07-29

[][]コロスケの科学質問箱

先日の「できるできないの秘密」に続いての復刊シリーズ。内山安二先生が先行しているのは、権利関係がまとめて処理できたからかな(人気があったというのもあるだろう)

さすがに内容的には古いものが少なくない(超能力だの、ムー大陸だの)が、結構シーンとか憶えているもんだ。

そして、これ。

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水からの伝言」とかいう与太話が流行ったときに、すぐに思い出したのがこの中谷宇吉郎先生のエピソード

2018-07-28

[][]プロジェクト・シャーロック

おなじみ年間SF傑作選の2017年版。

個人的には、「プロジェクト:シャーロック」(ああ、そっちに持っていったのかという感想。ネタバレになるので詳細は避けるがネットSFでもある。)、「ルーシィ、月、星、太陽」(派生作品という扱いになるのかな。王道的な展開。)、「天駆せよ法勝寺」(ここに模型の写真がある。たしかに天駆しそうだ)辺りがお気に入り。

「ホーリーアイアンメイデン」は上手いなあと感心。

笑ったのは「階段落ち人生」。いまだにこれが書けるというのも凄い。


(しかし、頑なに電子化しないよな、このシリーズ。その年のSFを広く取り入れたいと言う気持ちも、権利関係がどうこうという理由も分かるが、そろそろそういうのは切り捨てる判断もあるんじゃ?)


[][]雲南省スー族におけるVR技術の使用例

このたびSF大会にて発表された第49回星雲賞【日本短編部門】を見事受賞。2017年の短篇SFベストに輝いた、柴田勝家「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」の電子書籍オリジナル版を配信いたしました!

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こちらは、星雲賞受賞合わせで電子版をリリース。

彼らは生まれてから死ぬまで、VR世界のなかで暮らすという――西洋文明側の視点から記録されていく、少数民族スー族の自治区の奇妙にして荘厳なる風習とは? VR技術がいかにしてこれからの人と世界を変えていくかを問う必読の想像力が、電子書籍オリジナルで登場!

中国ということで当然「邯鄲の夢」の話題も出てくる。出産や葬儀はどうするのか、という当然の疑問にも興味深い説明で答える。

「端童」という、スー族世界とこちら側の橋渡しをする役割の人が出てくる。ほとんどが外部からスー族に嫁いだ者達なのだが、この設定を通じて一段メタな「現実認識とは」という持ってくるところが面白い。


笑えたのはボーナストラックの『VRゲームの衝撃的体験ルポ「星の光の向こう側」』。

デレステVR版の体験レポという体裁だけど、楽しそう。

SF作家歴よりもP歴の方がちょっと長いワシ(No.279)

そうだねえ。

アイドルのライブというという非日常空間を現実に持ってくるってどういうことなんだろうな、などと考えながら。

2018-07-22

[][]日本現代卓上遊戯史記聞2 草場純

こちらは草場先生のオーラルヒストリー。コミュニティ活動への話が中心。

草場先生の最初の商業記事は、SFマガジンの1976年2月号に掲載したゲームについての文章だったとか、(これも柴野先生経由)面白い。

色々な活動のことが、いつ誰が何をやったということを含めて語られていて、ふむふむと感心することしきり。


一方で、感覚がやはり別世代というのを感じた。安田先生が大先輩だとすれば、草場先生は別世代だなあ、と。

(これは「遊びの宝箱」を読んだときにも感じたことだけれど、ここにズレがあるんだなというのが、色々と具体例で分かる。)

2018-07-21

[][]日本現代卓上遊戯史記聞1 安田均

安田均先生が語るゲームのオーラルヒストリー。70年代から90年代にかけての辺りが対象で、どういう経緯でゲームに手を出したのかとかというところから、ロードス島やモンコレを始めたぐらいまで。

なにしろ古い話なので、勘違いがないかどうか確認しないといけないのだが、まあ、これはこれで記録。

当時安田先生が使っていた変名とかも出てくる。(マルコ・飯田とか、小宮山康宏とか。元ネタはなんだったんだろう?)


ログインの83年11月号のRPG特集が馬鹿売れしたのがきっかけでゲームに大きく舵を切ったとか、92年頃にTRPGのスタイルが国内中心にシフトしてきたりゲームブックの売り上げが落ちてきたことがウォーロック誌休刊の大きな要因だとか、ゲームのところがどうしても小説よりも後回しになるのが難しかったとか、色々当時の苦労や裏話が面白い。