国芳の多面性

府中市美術館で ≪歌川国芳 21世紀の絵画力≫ を見ました.「「なぜ今、国芳なのか?」その答えを、国芳の作品の中に秘められた造形力や美意識に探る展覧会です」とチラシにあります.会場のはじめには「水滸伝」の豪傑たちを描いた武者絵が掲げられ,ついで役者絵のセクションとなるのですが,はやくもここに猫が登場します.猫が芝居を演じているというか,人気役者たちを猫にしたというか,よくもこういうのを創った,と,おもわされます.さらに風景画が続きますけど,その描き方がふつうではなく,西洋画の影響があるらしいのです.国芳の熱意(?)が尋常のものではないことがわかります.ほかにも歴史画,滑稽画,諷刺絵など,ヴァラエティーに富んだ作品がつぎつぎに出てきて,目を楽しませてくれます.展示方法や解説も多面的で,冒頭に引用したように「国芳の造形力や美意識」に迫ろうとする企画者の熱意が感じられる展示となっています.前期と後期で全作品の展示替えをおこなうそうですので,後期もいくつもりです.