本の覚書

本と語学のはなし

購入


★『高校入試/理科 完全チェック』(受験研究社)
★『高校入試/社会 完全チェック』(受験研究社)


 理科と社会だけ薄めの参考書を買ってみた。分厚い「自由自在」シリーズはほとんど読まなかったけど、これなら通読できそうだ。


 昨日から高校入試の過去問題を解いている。国語と英語は拍子抜けするくらい簡単。数学は文章題とか空間把握に若干時間を要するが、自力で解ける。社会は「これなんだったっけ」というのはあるけど、特別問題はない。理科は完全に忘れてしまっているので、参考書で調べながら回答している。

枕草子


 昨日から『枕草子』を読み始めた。小学館の日本古典文学全集の1冊。注釈・現代語訳つきでとても便利だ。

 あたらしうかよふ婿の君などの内へまゐるほどをも、心もとなう、所につけてわれはと思ひたる女房ののぞき、けしきばみ、奥の方にたたずまふを、前にゐたる人は心得て笑ふを、「あなかま」とまねき制すれども、女はた知らず顔にて、おほどかにてゐたまへり。「ここなるもの取りはべらむ」など言い寄りて、走り打ちて逃ぐれば、ある限り笑ふ。男君も、にくからずうちゑみたるに、ことにおどろかず顔すこし赤みてゐたるこそおかしけれ。(第3段)


 七草粥を炊いた燃え残りの木を削り、これで女性の腰を打つと男子が生まれるという俗信があった。その時の様子。
 最後の「ことにおどろかず顔すこし赤みてゐたる」の主語は、直前の男君ではなさそうだ。接続助詞の「に」は主語転換の目印であると富井も言っていたし、文脈上も女君であるだろうと推定される。ところが、ここでは敬語が使われていない。では誰が主語なのか。
 そこで注釈を見る。「主語は女君であろうが敬語がないのは不審。おめでたに関することなのではにかむ。婿の君とも解ける」。これで一安心。疑問が解決したわけではないが、専門家も不審と言っているのだから、これ以上詮索せずに放置できる。岩波文庫版ではこの部分に注釈はない。しばらく立ち止まった後、すっきりしないまま先に進むことになるだろう。
 ちょっと高いけど、古典を読むときはこの全集を買うことにしたい。荘重な雰囲気がないことには目を瞑ろう。素人の心強い味方である。


 引用部分の現代語訳を書き抜いておく。

 新しく姫君の家に通うようになった婿の君などが、宮中へ参内する時刻だというのに、それをも待ち遠しがって、それぞれの家で得意顔で幅をきかせている女房が今か今かとのぞいて、奥の方にじっと立ちつづけているのを、姫君の御前に座っている女房は気づいて笑うのを、「しっ、静かに」と手まねでとめるけれど、姫君は気づかない様子で、おっとりとして座っていらっしゃる。「ここにあるものを取りましょう」などと言って近寄って、走って姫君の腰を打って逃げると、そこにいる人々はこぞって笑う。男君も、まんざらではなくにこにこしているのに、姫君は特別に驚きもせず顔を赤らめて座っているのもおもしろい。