本の覚書

本と語学のはなし

「ねじの回転」はじめました


 ヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』を始める。参照する翻訳は引き続き行方昭夫のもの。

 The story had held us, round the fire, sufficiently breathless, but except the obvious remark that it was gruesome, as, on Christmas Eve in an old house, a strange tale should essentially be, I remember no comment uttered till somebody happened to say that it was the only case he had met in which a visitation had fallen on a child. (p.1)

 暖炉を囲み、一同固唾を呑んでその話に耳を傾けていた。由緒ある館のクリスマス・イヴの席での幽霊話であったから、不気味に感じるのは当然であった。ほかの感想は聞かれなかったが、しばらくして誰かが、子供の前に幽霊が現れたなんて初めて聞いた、と言ったのを私は覚えている。(p.131)


 まだ読み始めたばかりだが、『デイジー・ミラー』と較べると、少し複雑な構文が多用されているようだ。複雑であっても考えれば理解できるものであればよいのだが、行方が既存の訳と意見を戦わせるような知的興奮を覚えたという難解さは那辺にあるのか。私もそれを楽しみにしている。


 施設の採用が決まれば、6月と7月は施設と塾の掛け持ちで忙しくなる。短いとはいえ、直ぐには終わらないかもしれない。

The Turn of the Screw (Dover Thrift Editions)

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