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子供騙しの猿仕事日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

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2012-03-22

 CD買うしか楽しみがない


 Amazonでずーーーーーーっと続いていた「輸入盤2枚買ったら10%OFF」キャンペーン3月26日で終了するという。もはやそれがキャンペーンであることを忘れるほどに続いていたキャンペーンだったので、終わってしまうのは残念を通り越して腹立たしいほどだ。私なんて輸入盤は常に2枚以上セットで注文していたのに。しかし何事も永遠ということは無いのである。世の無常をはかなんで、悟りを開くべきなのだ

 キャンペーン終了を知った後に私が取った行動は、少しでも安く買えるうちに買っておこうと在庫ウィッシュリストをチェックすることだったから、悟りには程遠いが。

 しかしキャンペーンは終わるとはいえ、今輸入盤のCDはアホみたいに安い。一時よりは円安に振れたものの、まだ1ドルが83円ほどだから充分に円高であることも関係はあるだろう。しかしそれ以上に英米のCDの価格設定そのものが気狂いめいている。


Otis Redding  5CD ORIGINAL ALBUM SERIES BOX SET

Otis Redding 5CD ORIGINAL ALBUM SERIES BOX SET

 オーティス・レディングアレサ・フランクリンジョン・コルトレーンリトル・フィートJ・ガイルズ・バンドモンキーズなどなど、「ORIGINAL ALBUM SERIES」として5枚組のボックス・セットで発売されているタイトルの内、ワーナーレーベル権利を持つものが4月9日までの期間限定1900円になっている。

 ポーグスとかプリテンダーズとか、正直なところこの5枚があれば他は無くても困らないよなと言いたいアーティストも少なくない。そのバンドハイライト部分がわずか1900円で把握されてしまうことに、シェーン・マゴウワンやクリッシー・ハインドは虚しさを覚えないのだろうかと心配になってしまう。

 トッド・ラングレントム・ウェイツは「ORIGINAL ALBUM SERIES」であってもこのキャンペーンの対象外なので、ワーナー系なら全てということでもないらしい。今回チェックするまで知らなかったが、ヴァイオレント・ファムズなんて渋いところも5枚組で出ていた。これも今なら1900円。

 他にも調べていると、失礼なほど安いCDも出てくる。

The Rhythm Of The Saints

The Rhythm Of The Saints

 ポール・サイモン『Rhythm of the Saints』は466円(笑)。リマスター盤ですぜ。

Human Touch

Human Touch

 ブルース・スプリングスティーン『Human Touch』は321円(笑)。確かにブルースのアルバムの中ではそれほど人気の高い作品ではないが、それでもブックオフバーゲンコーナーより安いのは異常だろう。これで原価を割っていないのなら、私は何を信じて生きていけばいいのか分からない。念のためここに書いてある値段は全て3月22日現在のものなので、それ以降に見てみたら高くなっていても怒らないように。

 Amazonのバーゲン・コーナーを見ていると、ジャケット・デザインがチープな編集盤も割と多く見かける。装丁や編集意図首をかしげる部分はあるにせよ、この安値の前には言葉が出ない。

Puresinger Songwriters

Puresinger Songwriters

 『Pure Singer Songwriters』という4枚組セットで478円!1曲あたりいくらなんだ?Amazonのページには曲目情報が無かったので、調べたところこんな内容らしい。

Disc 1


1. It's All Over Now Baby Blue - Bob Dylan

2. Bridge Over Troubled Water - Simon And Garfunkel

3. Leaving On A Jet Plane - John Denver

4. Satellite Of Love - Lou Reed

5. The Air That I Breathe - Albert Hammond

6. Lean On Me - Bill Withers

7. I Will Always Love You - Dolly Parton

8. Blue River - Eric Andersen

9. Dead Skunk - Louden Wainwright Iii

10. I'm Alright - Kenny Loggins

11. Bette Davis Eyes - Jackie De Shannon

12. Wedding Bell Blues - Laura Nyro

13. We Just Disagree - Dave Mason

14. Arms Of Mary - Sutherland Brothers & Quiver

15. Beg, Steal Or Borrow - Ray Lamontagne

16. Last Goodbye - Jeff Buckley


Disc 2


1. Seven - David Bowie

2. Frederick - Patti Smith

3. Sara Smile - Hall & Oates

4. Stranger In My Life - Marvin Gaye

5. To Be Young, Gifted And Black - Nina Simone

6. One Love - Bob Marley

7. Coconut - Nilsson

8. You Never Know Who Your Friends Are - Al Kooper

9. Look What They've Done To My Song, Ma - Melanie

10. Personally - Karla Bonoff

11. Here's To You (Live) - Joan Baez

12. Low Rider - J.J. Cale

13. The Best I Can - Roger Whittaker

14. Anita, You're Dreaming - Waylon Jennings

15. Sunday Morning Comin' Down - Kris Kristofferson

16. Man In Black - Johnny Cash


Disc 3


1. Brown Eyed Girl - Van Morrison

2. On The Road Again - Willie Nelson

3. In The Year 2525 (Exordium & Terminus) - Zager & Evans

4. San Francisco (Be Sure To Wear Flowers In Your Hair) - Scott Mckenzie

5. We Shall Overcome (Live) - Pete Seeger

6. Different Drum - Michael Nesmith

7. Groupie (Superstar) - Delaney & Bonnie And Friends

8. All By Myself - Eric Carmen

9. Could It Be Magic - Barry Manilow

10. Caroline Goodbye - Colin Blunstone

11. Longer - Dan Fogelberg

12. Two Fisted Love - Phoebe Snow

13. Hoboin' - Tim Hardin

14. Life Without You - Stevie Ray Vaughan

15. I'm Yours And I'm Hers - Johnny Winter

16. Once Bitten Twice Shy - Ian Hunter


Disc 4


1. Father Figure - George Michael

2. Caravan Of Love - Isley Jasper Isley

3. Wishing Well - Terence Trent D'arby

4. The Sweetest Taboo - Sade

5. The Way It Is - Bruce Hornsby

6. You're Only Lonely - J.D. Souther

7. Stones In The Road - Mary Chapin Carpenter

8. Sunny Came Home - Shawn Colvin

9. She Cries Your Name - Beth Orton

10. Microscope - Mads Langer

11. Strange Condition - Pete Yorn

12. King Of Anything - Sarah Bareilles

13. White Flag - Dido

14. Do You Want The Truth Or Something Beautiful - Paloma Faith

15. Family Portrait - P!Nk

16. A Woman's Worth - Alicia Keys

 ご覧のようにソニー系の音源を集めたもので、「Singer Songwriters」とは言うものの音の傾向や年代に統一性は無く、自作自演アーティストであれば何でもという感じ。しかしこの中に好きな曲が3〜4曲もあれば、iTunesで1曲ずつ買うより安い。

 同じ趣向のシリーズでこんなのもあった。

Purealternative 80s

Purealternative 80s

 80年代音源のコンピレーション4枚組。こちらは755円。上記同様曲目を貼っておく。

Disc1


1. Stand And Deliver - Adam Ant

2. No Mercy - Stranglers

3. E=Mc2 - Big Audio Dynamite

4. Pretty In Pink - Psychedelic Furs

5. You Spin Me Round (Like A Record) - Dead or Alive

6. Love And Pride - King

7. Crash - Primatives

8. People Have The Power - Patti Smith

9. The First Picture Of You - Lotus Eaters

10. When Love Breaks Down - Prefab Sprout

11. A Girl In Trouble (Is A Temporary Thing) - Romeo Void

12. I Want Candy - Bow Wow Wow

13. John Wayne Is Big Leggy - Haysi Fantayzee

14. Sweet Sanity - Hurrah!

15. Liberator - Spear of Destiny

16. Brassneck - Wedding Present

17. I Wanna Be Adored - Stone Roses


Disc2


1. Wishing (I Had A Photgraph Of You) - Flock of Seagulls

2. (Feels Like) Heaven - Fiction Factory

3. Einstein A Go Go - Landscape

4. Der Kommissar - After the Fire

5. Brilliant Mind - Furniture

6. Bridge To Your Heart - Wax

7. Dream To Sleep - H2O

8. I'm Not Scared - Eighth Wonder

9. She Bop - Cyndi Lauper

10. Loco Mosquito - Iggy Pop

11. Up Around The Bend - Hanoi Rocks

12. Birth, School, Work, Death - Godfathers

13. And We Danced - Hooters

14. All Cried Out - Alison Moyet

15. Disappearing - Sinceros

16. Something's Jumpin' In Your Shirt - Malcolm McLaren

17. Can U Dig It? - Pop Will Eat Itself


Disc3


1. Quiet Life - Japan

2. I Love You, Suzanne - Lou Reed

3. Talking In Your Sleep - Romantics

4. Goodbye To You - Scandal

5. Freak - Bruce Foxton

6. Boxerbeat - JoBoxers

7. Hot Shot - Brood, Herman & His Wild Romance

8. She Talks In Stereo - Myrick, Gary & the Figures

9. Irene - Photos

10. Video Killed The Radio Star - Woolley, Bruce & the Camera Club

11. Love Plus One - Haircut 100

12. Doot Doot - Freur

13. In The Name Of Love - Thompson Twins

14. Radio Africa - Latin Quarter

15. I Like Chopin - Gazebo

16. Flaming Swords - Care

17. Digging Your Scene - Blow Monkeys


Disc4


1. Happy Birthday - Altered Images

2. Living By Numbers - New Musik

3. Baby's Got A Gun - Only Ones

4. Motorcycle Rider - Icicle Works

5. Heaven (Must There Be) - Eurogliders

6. Your Love - Outfield

7. Sweat As Radio - Spliff

8. The Rhythm Of The Jungle - Quick

9. People - Mi-Sex

10. So Good To Be Back Home Again - Tourists

11. My World - Secret Affair

12. Burst - Darling Buds

13. Voices Carry - 'Til Tuesday

14. Beasley Street - John Cooper-Clarke

15. Rain, Steam And Speed - Men They Couldn't Hang

16. Through The Barricades - Spandau Ballet

17. 99 Red Balloons - Nena

 何というおっさんホイホイ…。レコードが買えなくてFM放送番組表をチェックしてカセットテープ一生懸命録音していた80年代の自分に教えてやりたい。そんなことしなくても30年後には文庫本程度の値段でどっさり買えるぞと。

 最後に個人的に一番狂喜したブツがこれ。

50th Anniversary: Singles Collection 1961-71

50th Anniversary: Singles Collection 1961-71

 テンプテーションズの3枚組シングル・コレクション。これは即カート行きでした。

2012-03-17

 鴨田潤(a.k.a.イルリメ)『てんてんこまちが瞬かん速』


 地元書店にて昨日『てんてんこまちが瞬かん速』(ぴあ)を購入した。岐阜実家引っ越してきて2ヶ月余り。レコード屋も映画館も無い、文化的に貧困人口10万ほどの田舎の書店で手に取れるとは思っていなかったので驚いた。市内の3軒の書店に立ち寄り、内2軒に在庫があったので相当数配本されていることが分かる。因みに市内書店ではミュージックマガジンは一度も見かけたことがない。そう言えばTwitterでは話題の高木壮太の『プロ無職入門』は3軒とも置いていなかったな。


てんてんこまちが瞬かん速

てんてんこまちが瞬かん速

 寝る前に少し読もうと思ってページを開いたところ、冒頭からぐいぐいと引き込まれ、スピードとメリハリのある展開は、読んでいる途中でその流れを切ることをためらわせるに充分だった。気が付いたら深夜までかかって一気に読み終えていた。こんな体験は実に久しぶりだ。

 時は恐らく80年代の中ごろ。主人公は東京でも大阪でもない地方の中都市に暮らす女子高生の悦子。趣味スケートボードを通じて同じ高校へ通う1年先輩の千代翔子出会うところから物語は始まる。悦子の前に開いた小さなドアは、さらに別の部屋へと通じていた。次のドアを開けた悦子はハード・コア・パンクに目覚め、やがて憧れだったはずのバンド世界に自らが足を踏み入れ…。

 単純にストーリー面白いのはもちろんのこと、登場人物の心象や時代背景が丁寧に描写され、空気感リアルに伝わる。どこにでもありそうなスモールサークル・オブ・フレンズが別のスモール・サークルと接近、共鳴してドラマが生まれるのは小説なのだから当たり前だが、「小説だから」とエクスキューズを必要とするような無理が生じていないのは著者、鴨田潤の成せる技だろう。

 例えば、主体性が無さそうで実はある悦子のキャラクターだったり、ハード・コア・パンクに入れ込みながらもそれ一辺倒ではなく、ジョージ・クリントンビーチ・ボーイズに触れた時に覚える新鮮な感動だったり、苦労してレコーディングしたレコードのプレスが上がってきた時の浮き足立つメンバーの表情だったり、ツアーの先々で起きる対バンド、対メンバー間の感情のもつれだったり、そうした描写は軽やかで瑞々しく、そして少し屈折した若者特有の感性を想起させ、荒唐無稽な絵空事ではないドラマとして転がっていく。

 青春小説特に登場人物がパンク・バンドのメンバーともなれば、音楽的才能に恵まれた者は人格的に破綻しているとか、とかく過激でエキセントリックな人物が描かれがちだが、ここにはそうしたキャラクターが出てこない。バンドのメンバーは個性の違いはあれど、社会性を持った市井の人として描かれている。実は悦子はSF的な能力の持ち主なのだが、それすら許容できるリアリズムがある。むしろやばくて手に負えないのはライヴハウスフロアで暴れる観客の中にいるのではないかと思わせるあたりまでリアルだ。

 この本を読みながら、私は昔雑誌で読んだ江川ほーじん言葉を思い出していた。それは自分ステージに立つことを想像した時、ステージ上の自分を見ている人と、ステージから見える観客を見ている人の2種類がいる。プロのミュージシャンになれるのは後者だというもの。プロになれるかなれないかは置いておくとして、確かにその視点、発想は両者で180℃違う。『てんてんこまちが瞬かん速』は間違いなく後者の視点で書かれていると思う。

 実はあとがき安田謙一も同様の指摘をしていて、わが意を得た思いだ。

先の妄想(注:ライヴハウスでの演奏中、アクシデントドラマーが退席する。ヴォーカリストの「ドラム叩ける奴いるか?」の問い掛けに応え、ステージに上がった自分がスティックを握るというもの)で、私がイメージするのは、受け取ったスティックでカウントをはじめ……途中は省略して……、喝采の中、客席に帰っていくという図。鴨田は同じ妄想の中で、バンドと共にプレイして、グルーヴを生み出しているのだった。この差は大きい。決定的である。

 この小説は実際にミュージシャンとして活動する鴨田潤だからこそ実現した作品であり、音楽を通じて何かをしたいと考えている者への彼の愛あるまなざしを感じる。

 非常に映像を喚起する筆致でもあって、映画テレビ・ドラマで映像化されないかと期待している。NHKの朝の連続テレビ小説で取り上げられたりすると最高だ。

2012-03-13

 Bahamas『Barchords』


 TennisとかBeirutとか、インディーロック界隈にはわざとサーチ・エンジンに嫌われたいのかと思うバンド名が散見される。ここにまた一組、検索しにくい名前ランキングに入りそうなバンドが。

 そのまま検索すると今のところバハマ諸島の情報ばかり出てきてしまうが、バハマとは何の関係もない。バンドというよりはギター/ヴォーカル担当するAfie Jurvanen(アフィ・ヤルヴァネンと読むのか?)のソロユニットのようだ。ライヴはバンド編成の時もあれば、Afieとドラムだけの編成で行うこともある。

 Afieは北欧っぽいファミリーネームからも分かるように、フィンランド系の血筋で、カナダオンタリオ州で生まれ、現在トロントを拠点に活動しているとのこと。

 私はつい最近まで全く知らなかったのだが、先月発売された彼にとっての2nd.アルバム『Barchords』がとにかく素晴らしい出来で、目下我が家ではヘヴィ・ローテーション中である


Lost In The Light

D

 禁欲的とも言える簡素なサウンドに支えられて響く、憂いを帯びたヴォーカルが何とも印象的。ヴォーカルと同じくらい大きな役割果たしているのがエモーショナルフレーズを聴かせるギター。Afieはソロ活動を始める前、Feistなどいくつかのバンドでバッキングギタリストとして仕事をしていたそうで、なるほどその表現力は確かだ。

 レコーディングは人里離れたカナダの山小屋を借りて行われ、暖炉のある部屋に機材をセッティングしての録音の様子がYouTubeにもアップされている。ザ・バンドを思わせる制作スタイルを取り入れているのは、音楽的に相通じる部分があるからだろうか。

 ソウルゴスペル調の女声コーラスを起用しているせいか、いくつかの曲からは懐かしの「スワンプ・ロック」の香りが立ち込める。中でも特に濃厚なのが、アルバムのラストに収録されているこの曲だ。個人的にはアルバム中、最も好きなナンバーでもある。


Be My Witness

D

 ルーツ音楽との間に絶妙な距離を保ちつつ、Afie Jurvanenにしか出来ないサウンドを創り上げるセンスが光る。曲作りにおいても才能の豊かさは明白で、一度聴けば覚えてしまうようなキャッチーな曲がゴロゴロしている。同じカナダ出身のせいか、安直な連想だがBahamasの音楽にはロン・セクスミスが登場した時と似たような感触を覚える。エルヴィス・コステロさん、今前座に使うならBahamasですよ。


Barchords

Barchords

 Feistのレスリー・ファイストもコーラスで参加。Feistは何度か来日したことがあるので、もしかしたらAfieも日本へ来たことがあるのかも。本作を2月に発売すると同時に、Bahamasはアメリカイギリスオーストラリアを回るツアーを行っている。Bahamasとしても来日して欲しいものだ。CDの他、LPでも発売中。

Pink Strat

Pink Strat

 Bahamasとしてのファースト。カナダでは2009年、アメリカでは昨年春に発売された。カナダのグラミー賞と言われるジュノー賞において、2009年の最優秀ルーツ&トラディショナル・アルバムにノミネートされている。

2012-03-10

 V.A.『CHIMES OF FREEDOM The Songs Of Bob Dylan』


 アメリカでは1月ヨーロッパでは少し遅れて2月に入って発売になったアムネスティ・インターナショナル設立50周年記念のボブ・ディランカヴァー集。ほんの少しだけアメリカ盤より安かったという理由でヨーロッパ盤を予約していたのだが、某ショップが予約分を確保していなかったために出荷が遅れ、私の手元に届いたのは2月の20日頃だった。早速聴き始めたものの、何せ4枚組全73トラック、トータルでゆうに5時間を超えるボリュームチビチビ聴いているうちに3月になってしまった。


Chimes of Freedom: Songs of Bob Dylan

Chimes of Freedom: Songs of Bob Dylan


CD1

Johnny Cash featuring The Avett Brothers 「One Too Many Mornings」

Raphael SaadiqLeopard-Skin Pill-Box Hat」

Patti Smith 「Drifter's Escape」

Rise AgainstBallad of Hollis Brown」

Tom Morello The Nightwatchman 「Blind Willie McTell」

Pete Townshend 「Corrina, Corrina」

Bettye LaVette 「Most of the Time

Charlie Winston 「This Wheel's On Fire

Diana Krall 「Simple Twist of Fate

Brett Dennen 「You Ain't Goin' Nowhere

Mariachi El Bronx 「Love Sick」

Ziggy Marley 「Blowin' in the Wind」

The Gaslight Anthem 「Changing of the Guards」

Silversun Pickups 「Not Dark Yet」

My Morning Jacket 「You're A Big Girl Now」

The Airborne Toxic Event 「Boots of Spanish Leather」

Sting 「Girl from the North Country」

Mark Knopfler 「Restless Farewell」


CD2

Queens Of The Stone AgeOutlaw Blues」

Lenny KravitzRainy Day Woman # 12 & 35」

Steve Earle & Lucia Micarelli 「One More Cup of Coffee」 (Valley Below)

Blake Mills 「Heart Of Mine

Miley Cyrus 「You're Gonna Make Me Lonesome When You Go

Billy Bragg 「Lay Down Your Weary Tune」

Elvis Costello 「License to Kill」

Angelique Kidjo 「Lay, Lady, Lay」

Natasha BedingfieldRing Them Bells」

Jackson Browne 「Love Minus Zero/No Limit」

Joan BaezSeven Curses

The Belle Brigade 「No Time To Think'

Sugarland 「Tonight I'll Be Staying Here With You」 (Live)

Jack's MannequinMr. Tambourine Man」

Oren Lavie 「4th Time Around」

Sussan Deyhim 「All I Really Want To Do」

Adele 「Make You Feel My Love」 (Recorded Live at WXPN)


CD3

K'NAAN 「With God On Our Side」

Ximena Sarinana 「I Want You」

Neil Finn with Pajama ClubShe Belongs to Me」

Bryan Ferry 「Bob Dylan's Dream

Zee Avi 「Tomorrow Is A Long Time」

Carly Simon 「Just Like a Woman」

Flogging MollyThe Times They Are A-Changin」

Fistful Of Mercy 「Buckets Of Rain

Joe Perry 「Man Of Peace」

Bad ReligionIt's All Over Now, Baby Blue

My Chemical Romance 「Desolation Row」 (Live)

RedOne featuring Nabil Khayat 「Knockin' on Heaven's Door」

Paul Rodgers & Nils Lofgren 「Abandoned Love」

Darren Criss featuring Chuck Criss and Freelance Whales 「New Morning」

Cage the Elephant 「The Lonesome Death of Hattie Carroll」

Band of Skulls 「It Ain't Me, Babe」

Sinead O'Connor 「Property of Jesus」

Ed Roland and The Sweet Tea Project 「Shelter From The Storm」

Kesha 「Don't Think Twice, It's All Right」

Kronos Quartet 「Don't Think Twice, It's All Right」


CD4

Maroon 5 「I Shall Be Released」

Carolina Chocolate Drops 「Political World」

Seal & Jeff Beck 「Like A Rolling Stone」

Taj Mahal & The Phantom Blues Band 「Bob Dylan's 115th Dream」

Dierks Bentley 「Senor (Tales of Yankee Power)」 (Live)

Mick Hucknall 「One Of Us Must Know (Sooner Or Later)」

Thea Gilmore 「I'll Remember You」

State Radio 「John Brown」

Dave Matthews BandAll Along the Watchtower」 (Live)

Michael Franti 「Subterranean Homesick Blues」

We Are Augustines 「Mama, You Been On My Mind」

Lucinda Williams 「Tryin' To Get To Heaven」

Kris Kristofferson 「Quinn The Eskimo (The Mighty Quinn)」

Eric Burdon 「Gotta Serve Somebody」

Evan Rachel Wood 「I'd Have You Anytime」

Marianne Faithfull 「Baby Let Me Follow You Down」 (Live)

Pete Seeger with The Rivertown Kids 「Forever Young」

Bob Dylan 「Chimes Of Freedom」

 収録曲は上記の通り。4枚目の最後に入っているディラン自身の「Chimes Of Freedom」はお馴染み『Another Side of Bob Dylan』に収録されているテイクと同じもの。2枚目収録のジョーン・バエズ「Seven Curses」は彼女の92年のアルバム『Play Me Backwards』の2枚組リイシュー盤(2011年リリース)に収録されていたものと同一。それ以外の71トラックはこのアルバムでしか聴けないものだ。

 もちろんこのアルバムはディラン公認であり、現在ディランの公式サイトアクセスするとトップページに大きくアルバム・ジャケットを掲載し、大々的に告知されている。またディランの公式Twitterアカウントアイコンも、このジャケット写真が使われている。ディラン側の全面的な協力の下、実現した作品のようだ。

 参加アーティストの顔ぶれを見ても分かるように、老若男女、音楽的傾向も多種多様、著名ミュージシャンも多数で、さすがにディランとアムネスティの取り合わせでなければこれだけの面子は揃わなかっただろう。


Make You Feel My Love

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 これは先般グラミー賞主要部門を独占したアデルによる「Make You Feel My Love」。彼女のデビュー・アルバム『19』でもこの曲は取り上げられており、後にシングルカットされてヒットもしたが、ここでは未発表のライヴ・テイクで収録されている。ディランのオリジナルは『Time Out of Mind』の収録曲だ。

 アデル自身のヴォーカルの上手さもさることながら、楽曲の美しさに改めて感銘を受けた。アデルのこの曲は象徴的だが、4枚組のアルバムを聴いて実感したのはメロディ・メイカーとしてのディランの底力であった。

 参加アーティストはディランの楽曲をそれぞれ自分土俵へ持ち込んで、独特の解釈でカヴァーしている。それぞれの持ち味、注ぎ込まれたアイディアは聴きものではあるのだが、どんなにアレンジが施してあっても案外メロディは崩されていない曲が多い。相手が相手だけに畏れ多くて…ということもあるだろうが、ここは崩してしまうにはもったいない美メロだからと解釈したい。それだけにディラン本人はライヴになると原型を留めないほどメロディを破壊してしまうのが不思議でならない。


With God On Our Side

D

 ソマリア出身カナダで活動するラッパーケイナーンによる「神が味方」。これも美しいっすなー。

 収録曲のほとんどはBob LudwigとAdam Ayanという2人の著名エンジニアによってポートランドの同一スタジオでマスタリングされているせいか、音の質感に統一性がある。世代も音楽性も雑多な曲が73トラックも収録されていながら、ちぐはぐな印象を受けないのもこの作品の秀逸なポイントだ。

2012-03-03

 The Explorers Club『GRAND HOTEL』


 3月に入り、長く厳しかった今年の冬もようやく息切れの様子。ここ岐阜県中濃地区でも、ずい分過ごし易い気候になってきた。根が単純なせいか、陽気が良くなるとポップな楽曲が聴きたくなるのが常であって、この時期の私の部屋にはカラフルで軽快な音楽が溢れ返る。スクイーズウイングス、ELOラズベリーズなど大御所から70年代後半の泡沫パワー・ポッパーまで、様々なレギュラー陣が控えているが、それら一連のポップの匠たちに加え、今年新たにベンチ入りを果たしたアルバムがある。それがThe Explorers Clubの『GRAND HOTEL』。


GRAND HOTEL(紙ジャケ仕様)

GRAND HOTEL(紙ジャケ仕様)


 2008年リリースされた彼らのファースト・アルバム『Freedom Wind』はビーチ・ボーイズへの過剰なる愛と敬意が込められた作品で、かなり笑わせてもらった記憶がある。今回はジャケットからも分かるように、60年代A&M作品を始め、ソフト・ロック的サウンドを標榜。また『Sunflower』、『Surf's Up』あたりのテイストを色濃く反映し、引き続きビーチ・ボーイズの溺愛ぶりも感じられる。

 知っている人はよく知っているが、知らない人は全然知らんという類のアルバムだろう。しかし一部のマニアにだけ占領させておくにはもったいないクオリティを誇る作品だと思う。例えばアルバムに先駆けてシングル発売された曲はこんな具合。


Run Run Run

D

 60年代後半から70年代前半ぐらいのソフト・ロック、ハーモニー・ポップに造詣が深い人であればあるほど、このメロディやアレンジ、コーラス・ワークを含め、サウンド作りのセンスと技量には舌を巻くのではないだろうか。ミックスはビーチ・ボーイズの一連のリイシューや『PET SOUNDS SESSIONS BOX』、『SMiLE』のエンジニアでもあるマーク・リネット担当しているのだから、お墨付きとも言える。

 この1曲のみならず、アルバム全体がこうしたサウンドで統一され、きらびやかな一大ポップ絵巻となっている。例えるならばカート・ベッチャーがプロデュースを手がけ、バート・バカラックやジミー・ウェッブが書いた曲を、カールウィルソンが歌っているとでも言えばいいか。

 それのどこが絢爛豪華なのか、例えが理解できなくても大丈夫。そうした予備知識など全く無くても、このアルバムは楽しめるはずだ。

 思えばCDで昔のアルバムが容易に入手できるようになった90年代あたりから、ビートルズ、ビーチ・ボーイズを筆頭とした60年代のサウンドを標榜するバンドはあまた登場した。そうしたバンドは少しでもかの時代ニュアンスに近づけようと、ヴィンテージ楽器や機材を導入したり、オシロスコープで60年代のレコードの音の波形を分析したりと、涙ぐましい努力を重ねた。個人的にはLilysとかStairsとか、好きなバンドもあるにはあったが、大半は「なるほど、こういうサウンドね」で片付いてしまものでしかなかった。

 何故なら彼らは60年代サウンドのフォロワーであり、クローンの域を出ることができなかったからだ。せいぜいマニアックな知識のあるリスナーを、にやりとさせるのが最大の成果だったのだ。一時的に面白がることはできても、残念ながら何年も愛聴できるほどのクオリティではなかった。予備知識が無ければなおさらのこと。何となく臭い音と思っただけだろう。

 一方、後年評価が確立されてから初めて聴いたという人にとってはどうなのか知らないが、中学生の時発売された大滝詠一の『ロング・バケイション』をリアルタイムで聴いた者から言わせてもらえば、『ロン・バケ』がオールディーズからの大量の引用で構成された大滝流ポップの集大成などということは全く知る必要はなかった。そんなことは知らなくても田舎の中学生が毎日ターンテーブルに乗せて楽しめる魅力があったのだし、そうでなければあの時代に100万枚も売り上げるヒットになるはずはなかったのだ。

 このThe Explorers Clubの『GRAND HOTEL』もそれに匹敵するアルバムだと思う。既に80年代の中学生ではないのだから、聴いていれば「これはバカラックのあの曲、これはフィフス・ディメンションの…」と元ネタに気付いてしまうのは致し方ない。日本盤CDには萩原健太さんによるライナーノーツに、それら元ネタが列挙されてもいるので、興味のある向きはそちらに当たっていただきたい。

 そうしたマニアックな聴き方ももちろんできるのだが、私は何も知らない中学生の頃に戻ってこのアルバムを聴いてみたい欲求に駆られている。The Explorers Clubは60年代70年代のポップスへの深すぎる愛と探究心によって、内容が模倣を超えてしまったという確信があるのだ。中学生の頃の私なら、このアルバムをどう聴くだろう。

 先日ビーチ・ボーイズの来日公演が発表された。デビュー50周年を記念して、ブライアン・ウィルソンを含む現存メンバーが集結して行う、ワールドツアーの一環で日本にもやって来るそうな。しかし先月のグラミー賞授賞式でのパフォーマンスは見るに忍びない無残なものだった。私にとって既にビーチ・ボーイズは「本人である」以外に見所は何も無い。The Explorers Clubは60年代サウンドのオリジネーターでこそないが、今こうしたサウンドを鳴らすバンドとしては右に出る者はいない。それこそビーチ・ボーイズとて、今はもうこれだけの音は出せないだろう。同じ見るならThe Explorers Clubのライヴの方が見たいと思う。

 最後にこのアルバムのトレーラー映像を。どうやらオフィシャルなものではなく、ファンが勝手に作ったもののようだが、大変良く出来ており、思わず吹いたので転載


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Grand Hotel [Analog]

Grand Hotel [Analog]

 こちらは輸入盤のみのアナログ。音やジャケットのデザインを考えるとアナログ向きかも。ただしよくあるダウンロードコードは付いていないようなので、PCで聴く人は要注意。

Grand Hotel

Grand Hotel

 日本盤CDはゲートフォールドの紙ジャケ仕様ボーナス・トラックが2曲入っているが、こちらの輸入盤CDはデジパック仕様、ボーナス曲は無し。

Freedom Wind

Freedom Wind

 これは3年半前に出た彼らのファースト。現在とは一部メンバーが違っているが、この時点で完成度は非常に高い。ジャケットからも分かるように完全にビーチ・ボーイズになりきっており、ビーチ・ボーイズよりビーチ・ボーイズらしい音を実現。