第2話 好きとスキと (8) [△ ▽]

「やっと終わりました」
 溜息をつきつつ机を運ぶ。
「来て早々掃除当番なんて運悪いね〜」
 同じく掃除当番のうめも机を運ぶ。
「でもこういうのは楽しいです」
「そぉ?」
 掃除を楽しいという王子様の考えはうめには理解できない。
「あ、高士君」
 高士はスポーツバッグを抱え教室を出ようとしていた。
「今晩うちで王子の歓迎パーティするんだけど、よかったら来ない?」
「そいつの?」
「あ、してくれるそうなんですよ」
 照れ笑いをするシーバリウ。
「私も出るからあんたも出なさい」
「姉さんも?」
 シーバリウを一瞥する高士。笑みは消さないが視線は返すシーバリウ。
「こいつ、魔法使いなんだろ?」
「そうだけど……?」
 紫恋は高士の真意を測りかねている。
「あんまりこいつと一緒にいない方がいい」
「?」
「!?」
 一歩前に出るのはうめ。
「魔法使いだっていいじゃない」
「別にうめさんはいいよ。でも……姉さんは巻き込むな」
「何よシスコン」
「な、俺はそういうことを言ってるんじゃ」
「ええと、お二人ともあまり熱くならないで」
 二人の間に割って入ろうとするシーバリウ。
「お前は黙って」
 ろっという声と共に放たれる左ストレート。シーバリウは反応してうめの肩を抱くようにしつつ躱す。
「お、躱したな」
「暴力はいけません」
「躱せるんだろ? なら問題ない!」