第2話 好きとスキと (18) [△ ▽]

 シーバリウはふたりと離れて、今度は高士と話していた。
「でも会話って言わないねあれ」
 シーバリウは色々話しかけるのだが、高士の答え方のために微妙に会話が続かなかった。
「シーバリウは天然ボケだから、ツッコミ役が話を振らないとダメなのよ」
「またその話?」
「ほなあんたの話しよかぁ」
「う”」
「告ったのは告ったんだよね」
「うん……昨日」
「なるほどねー、今日あんだけ仲がいいわけだ」
「そんなにだった?」
「誰が見てもわかるくらい」
「……」
「惚れた原因はあれ? 吊り橋効果ってやつ?」
「何それ」
「危険な状況下の男女は種族保存本能でくっつくって言うじゃない。ほら、昨日危険なとこ助けてもらったから」
「!! そんなんじゃないもん!」
「でも助けられて惚れたなんてよくあるシチュエーションでしょ」
「そ、それはそうだけど」
 そんなふうに言われたら身も蓋もない。
「紫恋、あんた王子のこと……嫌いなんだよね」
「うん、嫌い。この恋は応援しないよ」
「なんでよ」
「たった3ヶ月しかいないんだよ?」
「そうだけど……」
「中学の間誰とも付き合わなかったのは、あれが原因だったって記憶してるけど?」
「……」
「あとで辛いの目に見えてるよ?」
「……でもっ……でもっっ!」
 ちらとうめを見る。その泣きそうな顔に、溜息をつく。
 私はやっぱり、こういう役、なんだよね……。
「……応援はしないけど、止めないし、否定もしないよ」
「え?」
「客観的に見て、あんた達二人はお似合いだと思うよ? 私は応援はしないけど、邪魔はしないし、肯定はしないけど、否定もしない。幸も不幸も自己責任でやんなさい」
「……しれん……」
 そんなどちらつかずの言葉も、うめには、限りなく声援に近い言葉に聞こえた。
「あ、ひとつだけ助言したげる」
「?」
「母さんは本当に手を出しかねないから気を付けなさい」
「!!!」