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かぶろぐ。

2005/08/11(Thu)

第9話 君がそこにいるから (15) [△ ▽]

 ひとりぼっちだった。

 赤い絨毯が永遠に続く回廊に、僕は立っていた。

 その色の赤は、染められたのか血の色なのかわからない。

 右手には、一振りの、剣。

 刃こぼれひとつなく、ただ、血が滴るのみの、剣。

 僕の手には、ただ、剣だけ。

「シーバリウ様」

 誰かが、呼ぶ。

 絨毯の脇で、うやうやしく頭を垂れる家臣がいた。

「シーバリウ様」

「シーバリウ様」

 次第に、家臣が増えていく。

 絨毯の両脇に、家臣が並んでいく。

「シーバリウ」

 右側、家臣の列のさらにむこうに、王、父親の姿があった。

 だが、その姿は家臣に見え隠れして、はっきりと捉えることができない。

「シーバリウ」

 背後から、声。

 振り向かずとも分かる、女性の声。

 だから、振り向かない。

「……」

 うめき声。

 絨毯に染料を提供するように、死体が並んでいる。

 永遠に続く絨毯に、死体が並ぶ。

 その向こうに、剣を持つ少年

 血の滴っていない剣を持つ金髪の少年が、笑む。

「シーバリウ様……」

 袖を強く掴む、ウムリァルトナス。

「怖いよ、王子ぃ……」

 袖を掴む、うめ。

 二人は、シーバリウの背中で、震えていた。

王子

 死体の側で、紫恋は、問うた。

「あんたは、どうしたいの?」

「僕は……」

 僕は。

 もう、誰も死なせたくない。

 もう、誰も悲しませたくない。

 でも、それは。

 誰のために?

 なぜそうしたいの?

「それは、私のためでしょう」

 死体の中に立つ、母が、そう、答えた。

「あ、あなたのための、訳がっ!」

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