とらドラ! 第25話「とらドラ!」(終)

 大河と竜児、新しい生活――。


 最終回。
 ああ、今回はだだ甘だった……仮想結婚式のキスシーンはやばすぎ。
 Bパート、ちょいクラスの話に時間掛けすぎて、もっと二人のシーンを見たかったなーと思ったり。でも最後のあの表情が見られたからよし!


 本作のテーマは「気持ちを伝えることの大切さ」なんじゃないかなと思う。
 日本では最近まで、気持ちを隠すことを美徳とし、その気持ちを推し量ることが求められてきた。
 本作ではそれを否定する。気持ちを勝手に決めつけるな、と。外見や言動からステレオタイプな心証を妄想するなと。その妄想には、第三者としての願望や、社会規範としての道徳が含まれ、善意にくるまれて押しつけられる。竜児が大河に押しつけたように、母が竜児に押しつけたように、実乃梨が大河に押しつけたように、大河が実乃梨に押しつけたように。
 そのエゴを退けて、相手の言葉を聞くこと。自分の本当の気持ちに耳を傾け、それを相手に伝えること。それが大事なんだと訴えたかったんじゃないかと思う。
 だからか、この作品、ろくな大人が出てこなかった(爆)。本作において「大人」とは、子供の気持ちを勝手に決めつけ押しつける悪者なんだろうなぁ。
 竜児はその「悪い大人」に片足突っ込んでたんだと思う。母の求める「聞き分けのいい子供」、「父親の代わり」を演じてきた竜児が、大河達と出逢うことで自分の本当の気持ちに耳を傾け、そしてそれを伝えられるようになる――そんな成長物語だったのかなと。
 この細かい気持ちの機微を演じきった作画と演出が、本当に素晴らしかった。ストーリーを考えるともう少しおとなしいものになってもおかしくないのに、意欲的な絵作りを積極的にしていたのがとても良かった。特に第16話「踏みだす一歩」は凄かったし、それ以外にも印象的なカットが多かった。絵と話、その両方が最高のクオリティの作品でした。