海外投資家規制、大幅緩和へ 株式市場テコ入れ 資金呼び込み狙う

2005/11/23  TrackBack( 0 )


 中国政府は、低迷する株式市場のてこ入れ策として、海外機関投資家による国外への資金移動を許可する方針を固めた。株式譲渡益(キャピタルゲイン)税の免除などを含め、海外投資家規制を大幅に緩和する。証券市場改革をアピール、海外から投資資金を呼び込むねらいがある。(相馬勝)

 中国証券当局は現在、非流通株の改革を進めており、外資への規制緩和と合わせて株式市場の国際化を図りたい意向だ。中国証券監督管理委員会(証監会)の祁斌(きひん)・基金部副主任が訪問先のシンガポールで、ブルームバーグ通信と会見して明らかにした。

 それによると、海外投資家の国外への資金移動の緩和やキャピタルゲイン税の免除のほか、海外投資家は現在、中国株の取得後一年間は売却が認められていないが、「この期間が三カ月間に短縮される公算がある」ことも明らかにしている。

 また、中国政府は現在、非流通株を保有する外資系企業が、非流通株改革後に戦略投資家として流通株の保有を認める法案を策定している。法案が成立すると、海外投資家が流通株市場に参入することが認められる。

 これまでに流通株の時価総額の約20%を占める上場企業が非流通株改革を終えており、証監会は今後も急ピッチで同改革を促進することにしている。

 現在の法規によると、外資は譲渡協議などを通じて非流通の国有株や法人株を保有することができるが、流通株の保有は政府が認めた特別の資格である適格海外機関投資家(QFII)をもつ企業に限られている。

 英国の投資会社、マーチン・カリー上海支店のクリス・ラッフル支店長は「これらは外国機関投資家にとって、大きな改革であり、海外投資家が中国市場での投資を促進させるのに大きな一歩となろう」とコメントしている。

 中国では外国機関(人)投資家が、中国人向けのA株を売買することは基本的に禁じられているが、証監会は二〇〇三年五月から海外投資家に対して、A株を売買するための特別資格「QFII」を与えている。

 マーチン・カリー氏は先月二十八日、QFII資格を取得したばかり。このほか、新たにAIG投資とシンガポールのテマセクに対してQFII資格が授与されており、現段階でQFII資格を受けている海外機関投資家は三十二機関となる。

 さらに、これらの外国投資家はQFII資格を受けた時点で、中国の証券市場への投資総額を定められているが、証監会は外国投資家の投資促進のため、順次投資総額を引き上げている。

 米大手のメリルリンチ・インターナショナルは今月初旬、QFIIの投資限度額がこれまでの七千五百万ドル(約八十九億二千五百万円)から三億ドル(約三百五十七億円)に引き上げられたほか、クレディ・スイス・ファースト・ボストンも投資限度額を三億ドル(約三百五十七億円)に倍増している。現在の三十二機関の投資限度総額は四十九億二千五百万ドル(約五千八百六十億七千五百万円)に達している。

 祁副主任は、株式市場改革の目的について「証監会は中国株式市場の水準を高め、世界的により競争力のある市場にすることを目指している」と述べている。