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土壌汚染と環境・経済リスクを考える 保高徹生のHP

個人のメモ、思考の記録、最近の活動紹介です。
■研究の内容・論文はこちらのサイトに掲載をしております。
今後とも、よろしくお願い致します。2014/10/05

2017-08-15

Chemospher誌に論文掲載

Corresponding Authorの論文がChemosphreに掲載されました。

Development of a predictive model for lead, cadmium and fluorine soil&water partition coefficients using sparse multiple linear regression analysis, K Nakamura, T Yasutaka, T Kuwatani, T Komai, Chemosphere, Volume 186, November 2017, Pages 501-509.

概要

この論文では、土壌の物理的・化学的な性質の汚染物質の分配係数の関係について、スパースモデリング(sparse multiple linear regression analysis)という統計解析手法を用いて、関係性を評価をしています。

今回は、17種類の土壌を対処として、バッチ吸着試験で求めたフッ素、鉛、カドミウムのフロインドリッヒ型の吸着のKとnに対して、土壌の物理化学性としてCEC、粒度分布、比表面積、TC、強熱減量等の各種パラメータとの関係性を評価し、予測式を適用する、という研究です。東北大の中村さんが産総研にいた時に実施された実験結果をベースに、スパースモデリングを適用しました。

特徴

分配係数は、汚染土壌から溶出した汚染物質の物質移動評価において、もっとも重要なパラメータの一つであり、粒度分布や有機物含有量、pHによって大きな影響を受けます。

この分配係数の情報に関しては、以下の2つの課題がありました。

  1. 日本の土壌に対して重金属等の分配係数に関するデータが少ない、と言う課題。論文だけでなく、学会発表レベルにおいてもかなり限定的なのです。
  2. 土壌の物理化学性等を用いた分配係数の予測モデルの構築(国内・海外で幾つかの論文がありますが、日本の土壌に対しては殆どなかった。)

本論文では、日本で採取した17土壌の分配係数を実験で求め、物理化学性とともにデータを公開しており、分配係数に関する基盤データの補強ができていると考えます。

特に、カドミウム、鉛については、従来の知見と一致してpHにより強い影響を受けることが、スパースモデリングの検討結果からも示されました。一方、フッ素はpHとは強い関係性がないことも示されています。

また、予測モデルについても、従来型の重回帰による予測式と比較して、スパースモデリングを適用することで、より良い精度が得られました。しかしながら、まだ試験を実施した土壌数が少ないことも含めて、今回提示した予測モデルでなんとかなる、というレベルではありませんが、新たな方法論を示したところが新規性です。

今後は、フロインドリッヒ型以外の形への適用や、分配係数のデータベース作成等を実施していきたいと考えております。

参考情報

今回の論文は、投稿から受理・出版までが4ヶ月と短かったです。

  1. Submitted(投稿日):26 March 2017,
  2. Editor Decision,Major Revision(要修正):28 May 2017
  3. Revised(修正稿投稿日): 6 July 2017,
  4. Accepted(受理日): 25 July 2017
  5. Available online(公開日): 26 July 2017

2016-08-24

論文掲載(カラム試験関係)

過去の論文等はこちら

Corresponding Authorの論文がJournal of Hazardous Materialsに掲載されました。レビュワーが5名いて対応が少し大変でしたが、概ね好意的なレビューを頂きました。

現在、上向流カラム通水試験のTSを正式なISO化をするプロジェクトのリーダーをしている関係のお仕事です。

ISO-TS 21268-3では、初期飽和が48h、通水速度が12mL/hとなっていますが、試験時間が20日〜30日程度かかることが課題でした。今回の研究では、初期飽和時間を16h、通水速度を3倍の36ml/hにしても、多くの土壌で初期飽和が48h、通水速度が12mL/hの条件と同じ結果が得られることを示したものです。(初期飽和が0hだと、L/S1までの結果が異なる結果も得られています。)

これにより、L/S10までの試験時間が7日〜9日程度で済むことになります。

f:id:kae070902:20160824225400p:image

This figure is from Journal of Hazardous Materials, Volume 320, 15 December 2016, Pages 326-340

右側のグラフが初期飽和時間を16h・通水速度を3倍の36ml/hの条件と従来の初期飽和が48h・通水速度が12mL/hの条件の結果の比較です。

論文自体はオープンアクセスとしたので、是非、皆様見て下さい。

論文執筆においては、First AuthorのNakaさんをはじめ、皆様には大変お世話になりました。ありがとうございます。

Angelica Naka, Tetsuo Yasutaka*, Hirofumi Sakanakura, Ute Kalbe, Yasutaka Watanabe, Seiji Inoba, Miyuki Takeo, Toru Inui, Takeshi Katsumi, Takuro Fujikawa, Kenichi Sato, Kazuo Higashino, Masayuki Someya (2016) Column percolation test for contaminated soils: Key factors for standardization, Journal of Hazardous Materials, Volume 320, 15 December 2016, Pages 326-340, ISSN 0304-3894, http://dx.doi.org/10.1016/j.jhazmat.2016.08.046.

PDFファイルはこちら

2016-08-18

論文2報掲載

Corresponding Authorの論文がChemosphereに、共著の論文がPLOS ONEに掲載されたので報告いたします。最近は本当にアクセプトからオンラインの掲載までの期間が短いです。

Simplified measurement method for dissolved radio-Cs in litter and soil seepage water using copper-substituted Prussian blue

f:id:kae070902:20160818145146p:image

This figure is from Takada et al.,(2016) Simplified measurement method for dissolved radio-Cs in litter and soil seepage water using copper-substituted Prussian blue, Chemosphere, Volume 163, November 2016, Pages 234–241

Cu-PB-NF(銅置換体プルシアンブルー)を使用して、リター・土壌浸出水中の放射性セシウム濃度を簡単に測定する方法です。従来のカラムは、毎回水サンプルを持ち帰る必要があり、かつ、水容器が一杯になる前に1ヶ月〜2ヶ月毎にボトルの交換が必要だ、という課題がありました。

開発した方法では、現地にCu-PB-NFを組み込んだカラムを設置することで、リター浸出水や土壌浸出水中の溶存態放射性セシウムを吸着させ、Cu-PB-NFを持ち持ち帰るだけで分析が可能なこと、年間移動量を求めるだけであれば、ボトルを外すことで数ヶ月以上ボトル交換等のメンテナンス無しでの連続観測が可能になります。

この論文は、広島大、高田さん、奥田先生との共著論文です。2014年バルセロナで高田さんに会った時に構想が生まれ、1年半で論文化・実用化に至りました。高田さん、お疲れ様でした。

[2016.10頃まではこちらでFreeのPDFが見れます。]

Simplified measurement method for dissolved radio-Cs in litter and soil seepage water using copper-substituted Prussian blue

Takada, M,. Yasutaka, T.*, Okuda, T. (2016) Simplified measurement method for dissolved radio-Cs in litter and soil seepage water using copper-substituted Prussian blue, Chemosphere, Volume 163, Pages 234-241, ISSN 0045-6535, http://dx.doi.org/10.1016/j.chemosphere.2016.08.010.  

Relationship between Individual External Doses, Ambient Dose Rates and Individuals’ Activity-Patterns in Affected Areas in Fukushima following the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident

Dシャトルを用いた外部被ばくと周辺線量当量、生活の行動様式について比較検討した論文です。4年前くらいから指摘していたことを、しっかりと実測をした内容になっています。この論文の詳細は内藤さんがそのうち解説してくれると思います(多分)。

Naito, W., Uesaka, M., Yamada, C., Kurosawa, T., Yasutaka, T., & Ishii, H. (2016). Relationship between Individual External Doses, Ambient Dose Rates and Individuals’ Activity-Patterns in Affected Areas in Fukushima following the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident. PloS one, 11(8), e0158879.

2016-07-11

筑波大講義:原子力災害環境影響評価論?

本日、筑波大にて原子力災害環境影響評価論にて2コマ講義を行います。

講義内容は、以下のとおりです。

  • 5 限 低濃度の水中の放射性 Cs の測定手法とその標準化
  • 6 限 除染の費用と効果、放射性 Cs含有土壌の減容化技術

他の方の講義は下記の通り。

7 日(木)2 限3 限

農地土壌における放射性 Csの挙動

農業・食品産業技術 総合研究機構 江口 定夫

4 限5 限

河川流域における福島第一原発事故由来の放射性 Cs の動態

国立環境研究所 林 誠二

11 日(月)

1 限2 限

環境放射線モニタリング(平常時から緊急時まで)

青森県 木村 秀樹

3 限4 限

放射性物質の大気沈着・拡散過程と化学輸送モデル

気象庁気象研究所 五十嵐 康人

5 限 低濃度の水中の放射性 Cs の測定手法とその標準化

産業技術総合研究所 保高 徹生

6 限 除染の費用と効果、放射性 Cs含有土壌の減容化技術

産業技術総合研究所 保高 徹生

2016-06-25

PD公募中です。

放射性セシウムのモニタリング手法の開発、今後のあり方を検討するPDを公募しております。待遇は、産総研 特別研究員となります。

7月30日が締め切りです。詳細はこちらをご覧ください。