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2015-05-02 父帰る

たった3か月

| たった3か月を含むブックマーク

およそ3か月前に、父親が大腿骨を骨折して入院した。それから、いろいろなことがあり、いろいろ考えさせられたんだが、それを書く気力も、時間もないぐらい、切羽詰まっていたんだが。

今日、やっと、退院して、自宅に帰ってきた。

しかし、3か月前の姿を知っている人が、今の父親を見たら、同一人物とわかるのか? という状態である。

骨折の治療を受けた病院から、骨折後のリハビリをするはずだった病院、そして、肺炎の治療をした病院と3か所に入院。その結果、入院の2日前まで東京まで孫の顔を見に行った人が、体重は20キロ近く減り、筋肉は落ちて支えがなければ立てず、車いすで移動、おむつになり、口から食事はできず、経管栄養状態,になったというのは、どういうことなんだろうか?

そんなにひどい選択をしたつもりはなかったんだが。

その局面、局面で、ベストな選択を目指したつもりだった私たちは、かなりショックを受けている。

骨折の治療はうまく行き、最初の病院を退院する時は、車いすの乗りこみも、手を貸すだけでできたので、後は、リハビリで筋肉を付けて、階段の昇り降りを練習したら、すぐ自宅に帰れると思っていたんだがなぁ。


そんなわけで、あまりにもいろいろあったので、まとめて書くと、感情に突っ走っただけの文になりそうなので、ちょこちょこメモを残しておく。発見したことはとても多かった。




今振り返って思った第一のことは、「病院は誰のためにあるのか?」や「治療はなんのためにするのか?」が、私たちが想像していたものとまったく違っていたということ。

3か所目の病院へ転院したのは、2か所目の病院で誤嚥性肺炎を起こしたせいだった。そのまま、そこで治療を受けたかったが、「肺炎の治療はできない」と退院させられ、3か所目の病院へ。この件も全然納得はできていないんだが。

なので、元いた病院へ戻れるわけもないだろうと、

「肺炎が治ったら、自宅へ連れて帰る」

と想定して、私たちは退院後の準備も進めていたんだが、なぜか、3か所目の病院の主治医は、退院の目処が立つと、反対してきた。

「家に連れて帰っても、世話できませんよ。経管栄養の管が抜けたらどうするんですか? 医師しか入れられないんですよ? 真夜中に抜けたらどうするんですか? 救急車を呼びますか?」

と、半ば脅して、2か所目の病院へ帰れという。戻って、しばらくリハビリをしてから、別の施設へ移れと。

それを聞いていて、そんな誤嚥性肺炎を危篤になるほど放置しておいた病院へどうして戻す必要があるのか。というか、肺炎治療もできないのに、退院後の体調管理の指導もできないでしょ。そこへ、わざわざ、なぜ? という怒りだった。

"酸素吸入ならともかく、鼻からの経管栄養だけなんだから、例え、夜中に管が抜けても、翌朝の食事の時間までに入れればいいだろう。別に朝の8時に入れる栄養が、病院に運んでから入れたせいで10時になろうが、それで死ぬことはないから。慌てて、救急車呼ぶって状態ではないって判断付くよなぁ、普通"

と細かく指摘して返すのもなんなので。

「はぁ。そう簡単に抜けないと思いますので」

「抜けるかもしれないんですよ! 抜けても責任とれませんよ!」

「はぁ、帰ってからのことですから、先生のせいではないですから」

「絶対、無理ですよ。お母さんひとりで、おむつ交換に、経管栄養、薬の管理。絶対世話できませんよ。今、転院しておかないと、自宅に帰ってから、転院先は見つかりませんよ。それに、肺炎になったらどうするんですか?」

と、さらに言ってくるので、うーーんと。

"正直、ここの病院で行った肺炎の治療は、点滴で抗生物質を入れたのと、酸素吸入したのと、経管栄養で栄養を補給しただけですよね。だったら、訪問介護でもできるレベルのことじゃないでしょうか? 入院していても、モニターをつけているわけではなし、見周りを3時間に1回ぐらいしただけですし。前の病院も、『老人の誤嚥性肺炎が怖い』と言いながら、胸の音を聞くのを怠っていたんじゃないですか? でしたら、自宅で世話するのと、なにが変わるんでしょうか? 

 薬の管理が、大変、大変と言いますが、10数年、父が飲む複雑な薬の管理をしてきたのは母だし。そのノウハウはあるんですけどねぇ。おむつ交換は、大変かもしれないけれど、交換用のヘルパーを頼む手もあるんですがねぇ。というか、この病院だって、1日4回ぐらいしか換えてないですよね"

と、指摘するのもなんなので。


「はぁ。家族が協力しますので。大丈夫かと思います」

「後悔しても知りませんからね」

「はぁ、お気遣いありがとうございます」


病院側は「家族が大変だから、病院から施設へ移せ」と言うんだが、家族としては、その理屈がわからなかった。当事者である父親は「早く家に帰りたい」と言っているのだから、それを最大限に尊重すべきじゃないか。その立場にたって、なぜ、ものごとを進めないのかなぁと。

「家族が大変だから」というのならば、その大変さを軽減するために介護保険のシステムがあるわけで。家族の間では、「介護保険のシステムを利用すれば、病院に通うよりも楽」という結論になっているから、「自宅で介護」という選択を選んだのだが、それは特別変わった選択なのか?


というわけで、「病院は誰のためにあるのか?」や「治療はなんのためにするのか?」みたいなことからして、病院と私たちの認識がこんなにズレているのに驚いたなぁ。NHKの「プロフェッショナル」で見た介護やリハビリの専門家たちの認識とも、全然違うのに、唖然としたなぁ。

しかし、病院側の話を聞いていると、大多数の患者は納得して、病院側の提案を受け入れているらしい。

なんなんだろうね。


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