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北沢かえるの働けば自由になる日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2016-02-17 ひとつ積んでは母のため

「私たちは捨て石だと思うんですよ」

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去年、ちょっと忘れられない、個人的な出来事の一つ。

夏に、久々に検診を受けて、腹部を超音波で見てもらった医師にモニターを見ながら、言われた。

「まだ、卵がありますね、あと何回かは、月経きますね」

卵巣の中に、まだ排卵されていない卵子がいくつか見えたので、親切心で教えてくれたんだろう。

「そうですか」

と普通に返したんだが、その言葉に軽いショックを受けている自分がいた。

そうか、もう、子どもは産めないのか。

更年期障害が起きてもおかしくない年齢だから、頭では理解していたんだけれど、生物的に終わるというのは、大げさだけれど。生殖機能がなくなるということは、意外と大きいことなんだなと思った。面倒くさいと思っていても、上がってしまうってのは、それなりに寂しいのかもしれないんだなと。

そうは思っていたんだけれど、日記にも書けないし、夫にも言えなかった。

でも、なんか、ふと、この間、話せた。

「え、もうひとり作る? 作りたい?」

「いやいや、無理無理だよw」

「そうなの」

「しかし、卵子があと何個で、もうすぐ閉経ですって言われて思ったのは、『もう、走れないんだから、お前はダートへ行けよ』って感じかな。あぁ、こんなに年でも自分はメインレースを走っている気だったんだなと、驚いたよね。G1とかではなくても、私はメインレースを走れるんだよ、って思いこんでいたんだ。ってのに笑ったよ」

「うまいな、その例え」

「よく、男の人も気にしているじゃない。マカとか、牡蠣エキスとか、なんで、そんなもん買うんだろと思ったんだけど、その気持ちが少し理解できた気がしたよ。やっぱ、生き物として、なんか、終わっていくんだなぁ、ひとつひとつ機能を失って。ってのはショックだよね」


で、偶然、この番組、途中まで見ていたんだよね。「ニュース深読み」はかなり好きな番組なんだが、この回は重過ぎて、つらかった。

2月13日、不妊治療を特集したNHK総合ニュース深読み」の放送中、司会の小野文惠アナウンサーが「子どもを産めなかった我々(世代)は社会の捨て石だ」と言ったディレクターの発言を明かし、スタジオ内の全員が絶句する場面がありました。

http://yukan-news.ameba.jp/20160216-90/

捨て石か。

小野さんとほぼ同世代の女性としては、この言葉に込められた思いは理解できる。私たちは、仕事と、結婚と、妊娠と、出産と、子育てと、人生の中で何度も試されたからねぇ。

雇用均等法が施行されて男並みに働けるようになり、必死にがんばって、気づいたら婚期を逃したとか。

寿退社が当たり前だった会社で、結婚しても仕事を続けた第一号となったが、妊娠を機に退職とか。

夫婦で仕事優先で突っ走ってきたせいで、出産のチャンスを逃したとか。

子育てが一段落して、さぁ復帰しようと思ったら、学歴もキャリアもゼロ扱いとか。

早々と寿退社して、子育てに専念していたら、夫はリストラにあったとか。

「なにが、正しかったのか」

「ホントにこれでよかったのか」

いろんな意味で第一号になることが多かったと思う世代なので、悩んだよ。自分の選択が、後に続く人にとっては重要になるんだろうなって意識もあった。捨て石になるのを覚悟していたってのも変だが、この苦労や悩みは、道を拓いているゆえだろうと理解していた部分もある。

「嫌なこともあったが、楽しいこともあったし、やり切ったこともある」

とは思うが、なんともねぇ。

職業人としては全うできても、生き物としてはどうだったんだ?

全部を手に入れることはできないと分かっていても、欲張りに生きたかった。悔いとは違うんだけど、寂しいものはあるよね。

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