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北沢かえるの働けば自由になる日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2017-02-07 光が強ければ闇も濃い

なぜ、東京の親は、中学受験をさせるのか?

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中学受験が終わった子を持つ親の感想を読みながら、ま、そうだなと思ったが、うちの息子の受験では、まったく違う風景が見えていたので、メモしておく。同じ東京で、同じ年なのに、こんな風に違うよって辺りを書いておく。

中学受験をする子たちは、娘が受験をした5年前と比べると、だいぶ違っているように思えたが、本質的には変わらないと思う。

いろいろな塾の説明会にも行ったんだが、男女ともに、いわゆる御三家を頂点として、偏差値順に並んだ中学を目指して勉強をする進学塾に通う「中学受験」は変わっていないようだ。サピとか、日能研とか、モーレツぶりも相変わらずだし、そのルートに乗ると、自動的に御三家を目指すことになる。いわゆる大手進学塾とは、「東大へ入る子がたくさんいる中高一貫校への合格を目指す勉強」をするところなので、それをしないならば、行かない方がいいと思う。なによりも、

「これだけはやってください。守ってください」

と塾の先生が提示する、合格するための条件とやらが、無理過ぎるから。

膨大な宿題のために、さらに家庭教師をつけるようなことまでして、小学校5年生から6年生まで、勉強が最優先の生活を過ごさなければいけない。あらゆる楽しみを捨ててて、この状況に耐えて、しかも、意欲をもって勉強をできる人たちが、御三家に合格するんだと思うと、すごい。大したものだが、

すごいストレス、たまるし、それは、どこかへとばっちりがいく。


娘らが見た、塾内外での、そういうできる子たちの荒れっぷりを知ると、本当にこれに耐えられるかどうかは、親がよく見極めた方がいいと思う。むしろ親が夢中になって、追い込んでいることが多いので、塾の姿勢も含めて心配にはなる。

こういうことを言うと怒られるが、御三家レベルを望まないならば、もっと、楽に入れるところがあるし、そっちの方がお得なんじゃなかろうか。超人気な渋渋とかも、最初はそういう感じで人気が高まった印象がある。どうしても御三家レベルへと思わないならば、塾の言うとおりに勉強させるのは、どうかなと思う。

うちの子らは、そもそも、言われたことを黙ってやるような性格ではないし、大教室に集まって、何時間も講義と演習を繰り返すみたいなことが苦手なので、中学受験の王道を行くのは無理なことはわかっていた。

そういう子たちも、東京では、中学受験をするんだよ。

東大へ入れたい」というわけではなく、「この子を伸ばしてくれる学校を選ぶ」みたいな親も少なくないから、中学受験者がこれだけいる。東京では、そういう選択肢として、さまざまな私立中学があるから、みな悩むし、考えるわけだ。

特に、女子の場合は、「高校受験でギスギスしたり、苦労させるのがイヤだから」と中高一貫校にいれることは少なくないと思う。のんびりして、落ち着いた校風の女子校の説明会へ行くと、そういう考え方の親も少なくないのがわかる。入学させれば、大学受験までは塾にも通わず、推薦やAOでそれなりの大学へ進学させてくれるから安心って話はよく出た。

まぁ、娘のころに比べると、そういう風に割り切って、大手進学塾には入らず、その子のペースで勉強をして、合格できるレベルの中学校でもいいという親も増えた印象があった。東京の場合は、通える範囲にある地場の伝統校や、大学進学が楽な付属校という選択肢もある。御三家には相当頑張らなければ入れないというのはわかっているから、あえて無理させないという選択もする。


要は、どうしても、私立中学でなければダメというより、公立中学では無理って子をどうするかって話なのだ。

娘の場合もそうだったが、息子の場合も、地元の公立中学に進んだら、半年もしないで学校に行かれなくなるか、がんばって通って心身ともにボロボロになるか。と夫婦で悩んでいた。今でも、学校でイヤなことがあると、クタクタになって倒れ込むように寝ているのを見ているので。小学校レベルでこれでは、中学校では無理かなと思った。

なんていうかなぁ、特になにか大きな問題があるわけではないが、感覚は過敏なところがあるし、人の流れにのれないときもあるし、行動がズレているから目立ちやすい。娘の場合は、中学入学当時から、問題点を伝えて、見守ってくれるように頼んで、校内でのサポートをお願いして、どうにかうまく高校へ進学できたが、同じようなことは公立中では頼めないだろう。

サポートがあれば、どうにかなる。

みたいな、成績もよくないし、友だちからも浮きやすいし、なんとなく問題児になりやすいタイプは、公立中学校がいちばん過ごしにくいんじゃなかろうか。親としては、もうちょっと面倒を見てくれたら、学校生活が楽しくなるのにというモヤモヤ抱えて、3年間過ごさせるのはイヤだなぁと。


もうひとつは、高校受験は、内申が大きいことも、頭が痛い。

公立中から公立高校へ進学しようとすると、高校受験の時に内申を見られるだろう。息子は、決められた期日までに提出物を出すとか、真剣に〇〇会の練習に取り組むとか、クラスでの委員を積極的にやるとか、絶対しないし、やれと言ったら、絶対やらないので。そういうことがきっちりできないと、志望しようが、受験もさせてもらえないそうだ。

「あいさつがきちんとできない子は、受験させない。後から続く後輩に悪い影響を与えるから」

みたいな話を、公立中の校長先生から聞くと……普段からなにかと問題を起こすし、素直に先生の言うことは聞かない子は、到底無理だろと。先生の顔色をうかがうようなことはできるのか、できないなぁ、あ〜あと。



だらだら書いてしまったんだが、「中学受験=大学進学へのステップ」みたいなよりは、生き延びるための、別ルートを探した。みたいな子たちも、東京では少なくない。

高校になると、通信制や単位制もあって、自分のペースで学んだり、学歴を付けることはできるんだけど、中学をどう過ごして、傷つかずに済ませるかみたいなのは、親としてはいちばんの悩みだったなぁ。


まぁ、私立へ行けば、全部解決とは思わないが。



試験が終わって、ニコニコしながら控室に戻ってきた息子が、

「友だちできたよ、で、みんな入学式で会おうぜ! って言って、別れたんだよ」

と言った時、ここに通わせたいなと思ったんだよね。心から。

たぶん、楽しんでくれるんじゃないかな、学校生活を。


追記

コメで指摘を受けているように、私立中学に行くのは金が許せばのサバイバルルートであり、万人におすすめはできない。東京以外では無理と思うし、公立中学で耐えるのが無理な子らが、行く場があればと探した結果だから。

勉強ができなくてもバカにされない。

部活で活躍しなくても無視されない。

ノートがきれいにとれなくても減点されない。

みたいな中学があれば、私立限らず行かせたいんだが、それは、この辺りの公立では無理な注文になるようだ。

あなたのいいところを伸ばしなよと、はげましてくれればいいんだがなあと。


追追記

不思議でたまらないのは、公立中学でも、私立のような多様な形態があってもいいんだと思うんだが。今住んでいる品川区は恵まれていて、公立中学の中から行きたい中学を選択できる。しかし、なにが違うのかというと、場所と生徒数ぐらいしか、違いがわからない。部活動ぐらいか、あとはw

どこかやさしくしてくれる中学がないものかと、見学したり、話も聞いたんだが、小学校6年の課程をギリギリでクリアして、いくつかの科目は苦手としていて、たぶん、サポートなしでは付いていけない可能性が大。というような子は、どこでも放置されてしまう。特別支援級や通級に通うほどの問題ではない。と判断されたら、

3年間、授業が分からなくても、自己責任。お客様状態で座ってもらうしかない。

それならばと、苦手な科目については補習塾に通わせながら、公立中から高校受験を目指そうかと思ったこともあったんだが……たぶん、みじめな思いをさせられるんだな。本人は勉強ができるできないとか、体育が得意得意でないとか、そういうのは気にしないで、人のいいところはいいところと思っているんだが、周囲はそうは見ないんだな。

勉強できない奴は、努力しない奴。

ゆとりが終わった今どきは、学力向上至上主義というか、とにかく学力アップを目指しつつ、礼儀や立ち振る舞いみたいなものも向上させようという傾向が強くなっているので、バランスが悪い子は、その子のペースでうろうろしているだけでスポイルされやすい。勉強がそれなりにできても、先生が望むような勉学の姿勢みたいなのがないと、評価が低くなってしまう。これでは「結果を出せばいいんだろ」ってタイプの子は、しんどいなぁと思う。

世の中では、「個性的なタイプも包み込んで社会の活力に!!」なんて美しいフレーズが語られるようになったが、小中学校がこんな状態では、どうなのかと思う。

「大学へ向かって走っていくだけが、人生に必要なことではない」

みたいなポリシーで、中学卒業までに必要な生活上の知恵とか、基礎学力をきちんと身に着けさせようとする公立中学校があれば、そこで十分なんだが。

なんか、そうあるべきな、公立が、そうはなっていないのは、なぜなんだろうね。