KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)

主に作家の日垣隆、猪瀬直樹、岩瀬達也、岡田斗司夫、藤井誠二などを検証しているブログです。

時計仕掛けの偽書ー検証・日垣隆『裁判官に気をつけろ!』(特別編)

・初めて当エントリーを読まれる方は「日垣問題の記録 〜 日垣隆 研究報告 〜」「日垣隆(Wikipedia)」「ガッキィスレまとめサイト@ウィキ」の御一読をおススメします。
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以下に紹介する文章は、Amazonレビュアー【懸垂百回】さんからメールで提供していただいた日垣センセイの『裁判官に気をつけろ!』(文春文庫、2009年6月10日第1刷)の検証レビューです(【懸垂百回】さん、ありがとうございます)。

本書*1に関しては、当ブログでも日垣センセイが尊属殺法定刑違憲事件の最高裁判決文を捏造して引用していたことなどを検証しました*2。【懸垂百回】さんによる検証は、それを圧倒的に凌駕するボリュームと正確性に裏打ちされており、必読に値します。日垣センセイの法律知識が如何に間違いだらけなのかを、改めて浮き彫りにしてと言って過言ではありません。これに僕が下手に手を加えるよりは、補足としてリンク及び脚注を貼りつけたり、参考資料を付記する、或いは改行などの編集に留めて原文通りに転載する方が良いと判断し、当エントリーに掲載することにしました。このことは、【懸垂百回】さん御本人から事前承諾を得ています。

尚、当ブログ管理人たる僕と【懸垂百回】さんは、同一人物ではありません。くどいようですが、御留意下さい。



『裁判官に気をつけろ!』の検証

1 検証の対象としたのは『裁判官に気をつけろ!』 文春文庫第1刷
2 行頭の記号について
 (a)■で始まる箇所は、本書からの引用(数字はページ番号、〔 〕は引用者の補足)
 (b)□で始まる箇所は、上記に対する懸垂百回のコメント 
3 法令名を記載しないで○条と書いてある場合は、刑法の条文である


【序章 裁判員制度を笑う】

■14 知り合いや読者から、「裁判員制度が一冊でよく分かる本はないか?」と訊かれ、それなら裁判員法の条文を読むべき、私は答えてきました。
□後述のように、著者は条文が全く読めていない。

■14-15 この条文は、「あの裁判官はアホである」という重大な秘密を守るためのもの
□「この条文」とは裁判員守秘義務を定めた「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」70条1項*3。同趣旨の記述は『世間のウソ』にもあるが(p.178)、とくに根拠が示されているわけではない。ちなみに最高裁判所は、HP上で、守秘義務が課される理由を説明している。

■16 そもそも、名前を明かしてはいけないということを字義どおりに解するとしたら、合議〔ママ〕に入ったときにお互いをどう呼んでいいのかすらわからない。常識的に考えて、苗字くらい名乗りましょうという話になるでしょうか。
裁判員はお互いに名前を明かしてはならないと思い込んでいる。ちなみに本書97ページで紹介されている「十二人の怒れる男」では、陪審員に番号を付けて呼んでいたので(映画版でのヘンリー・フォンダは「陪審員8番」)、仮に名前を明かしてはならないとしても、対処法はある。しかしそもそも、名前を明かしてはならないという規制自体が存在しない。ここで著者が念頭に置いているのは、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」101条1項*4だが、これは裁判員等の個人情報を「公にしてはならない」、つまり実名報道等が規制されているに過ぎない。いわば、当然の規定である。なお、裁判終了後は、本人の承諾があれば氏名等を報道できるし、現になされている(裁判員法101条1項後段*5)。

■22 私が初めて裁判を傍聴したのは一九七五年、高校一年生のときでした。少年事件で亡くなった弟の裁判です。
□少年事件とは「少年が被害者となった事件」のことを言うのではなく、「加害者が少年である事件」を指す。しかし著者がここでいう「少年事件で亡くなった弟の裁判」の実態は、「学校事故」を理由に長野市を相手取って起こされた裁判であり、その判決(長野地方裁判所昭和52年1月21日判決(判例時報867号100ページ)*6)を読んでも「加害者である少年」などどこにも出てこない。単なる事故を少年事件にでっちあげたとしか言いようがない*7

■27 公判前整理手続を定めた改正刑事訴訟法を通した人たちは、裁判を迅速に進めるためとしか言いません。それはよしとしても、この手続を密室で行なっていいとは、刑事訴訟法にも、裁判員法にも、裁判所が配布している解説書にも、一切書かれていません。しかし、これこそ裁判の公開原則に反する憲法違反ではないでしょうか。
憲法82条1項は、「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」*8。一方、公判前整理手続とは、「事件の争点及び証拠を整理するための公判準備として」おこなわれる手続である(刑事訴訟法316条の2第1項*9)。これは「対審」ではなく、もちろん「判決」でもないから、公開しなくとも憲法違反にはならない。

■29 裁判員に選ばれた人は、週刊誌の記者がアプローチしやすいように、「評議の秘密」を家族に積極的に漏らしましょう。
□評決は基本的には多数決でおこなわれるので(詳しい方法は裁判員法67条*10)、有罪判決が出た場合でも、全員が有罪意見とは限らないことになる。もし誰かが評議の秘密を漏らして、「Aさんは無罪意見だったけど、Bさんは有罪意見だった」などと言い出せば、Bさんは被告人から逆恨みされ、場合によっては危害を加えられるかもしれない。こういった事態を未然に防ぐのが守秘義務の目的である(前記■14-15最高裁HP参照)。著者は、自分が何を言っているのか分かっているのだろうか。

【第一章 意外と法律問題はおもしろい】

■37-38
民法の条文が引用されているが、いずれも2004年改正前のものである*11

■38 これらの条文によって、例えば交通事故、犯罪、医療過誤、失火、浮気、名誉毀損などによる金銭的補償も正当化されるのであり、
□「これらの条文」とは民法709〜711条を指す*12。しかし、失火については「失火ノ責任ニ関スル法律」が適用される。

■38 このような条文〔民法709条等〕があるから、裁判をしないでも弁護士を通じて慰謝料をとりうるわけです。そういう法的根拠がなければ、お金をもらったほうが恐喝罪(刑法二四九条)で捕まってしまいます。
■38 弁護士は、弁護士バッジをつけており、なおかつ民法上の正当性があるかぎりにおいて、慰謝料を裁判外で振込ませうるわけで、バッジがなければただのヤクザです。
■38 例えば妊娠中絶を迫ったことがあったような場合、あるいは「結婚したら産ませてあげるから」という手前勝手な言葉を吐いて中絶に至っていた場合はいっそう、慰謝料請求ができます。ただし、それをヤクザや俺がやるとやっぱり恐喝罪になってしまいうるので、弁護士に頼むといい。
□まず、慰謝料を払ってもらうのに必ずしも弁護士に頼む必要はない。当事者同士が話し合いで解決できるのであれば、それに越したことはない。次に、損害賠償を求める法的根拠の有無と恐喝罪の成否には、直接の関係はない。法的根拠があっても恐喝罪は成立しうるし(最高裁昭和30年10月14日刑集9巻11号2173頁*13)、仮に法的根拠がなくても「人を恐喝して」と言えないのであれば恐喝罪は成立しない(249条*14)。ただし、弁護士でない者が依頼を受けて債権回収を行い、報酬を受け取れば、弁護士法違反に問われるおそれはある(弁護士法72条、73条、77条*15)。

■46 よく混同されていますが、亡命者と難民は、同じです。
□「同じ」なら「混同されてい」るとは言うまい。

■47 新潟の少女監禁事件を通じて、一時間の監禁も九年二カ月も同じ監禁罪(五年以下の懲役)でしかないことが国民に広く知れわたりました。諸外国は刑法を凶悪事件に対応して頻繁に改正し、例えば監禁罪では被害者の年齢や監禁期間に応じて刑罰を変えています。
□新潟少女監禁事件については、法律上の問題点も含めて、ウィキペディアに簡潔なまとめがある。この事件では著者の言う監禁罪(220条*16)ではなく、それよりも重い監禁致傷罪(221条*17)で起訴、有罪とされている(最高裁平成15年7月10日刑集57巻7号903頁*18)。日本の刑法の理解すら覚束ない著者に、諸外国の事情が分かるとは思えないが、監禁罪については2005年に刑法が改正され、法定刑が3月以上7年以下の懲役と引き上げられることになった。監禁致死傷罪(221条)の法定刑は、2004年改正で同様に引き上げられることになった。221条は「前条の罪〔逮捕監禁罪〕を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」とあるので、傷害罪(204条*19)、傷害致死罪(205条*20)の法定刑を引き上げることで、監禁致死傷罪の法定刑も引き上げることができる*21

【第二章 犯罪を不成立にする七つのルール】

■52 事の本質上、バレなければ犯罪ではない
社会学的にはそういう見方もあるのかもしれないが、法律論としては間違いである。犯罪が成立するかどうかという問題(実体法。刑法で規律)と、成立した犯罪について捜査し、検察官による起訴を経たうえで実際に刑罰を科すことができるかという問題(手続法。刑事訴訟法で規律)は別である。

■53 刑法一七七条、二年以上の懲役
□2004年改正により、強姦罪(177条*22)の法定刑は3年以上の有期懲役となった。→■47

■53-54 ストーカー被害についても、それを犯罪と認知するための要件が「恋愛感情」のみに限られている(ストーカー行為等の規制等に関する法律二条)
□そうでないことは、条文を読めば明らか*23

■56 (〔刑法〕一七八条により)被害者に心神喪失を認定して加害者に刑罰を科すケースが皆無に近いのに、他方では、(三九条により)加害者に心神喪失または耗弱を認定して無罪放免(不起訴)になった者は年間六一〇人もいます。
■57 日本の刑法上、心神喪失は加害者側だけに認められた規定ではない、にもかかわらず、現実には加害者側の免罪時のみに適用されている
□同様の記述が、『そして殺人者は野に放たれる』にもある(第13章。たとえば「〔刑法〕一七八条は性犯罪の被害者に『心神喪失』のレッテルを貼ろうとした」(文庫p.224))。これらの記述において、著者が39条1項*24の「心神喪失」と、178条(準強制わいせつ及び準強姦*25)の「心神喪失」を、同一概念として用いていることは明らかだ。たしかに心神喪失を、 "普通とは異なる精神状態" くらいの意味に理解すれば、両者は同じと言えるだろう。しかし、刑法上は、こんな漠然とした定義では使い物にならない。実際には、準強制わいせつ・準強姦にいう「心神喪失とは、責任無能力(刑39条1項)の概念とは異なる」(山口厚『刑法各論』第2版(有斐閣、2010年)p.111)。39条1項の「心神喪失」とは、犯罪が成立しない場面を念頭に置いているから、その有無は "善悪の判断能力を有していたか" を基準に判断される。一方、準強制わいせつ・準強姦にいう「心神喪失」は、被害者の性的自由を保護するための要件だから、善悪の判断能力は関係なく、被害者が抵抗できない意識状態・精神状態であったかを基準に判断される。だからたとえば睡眠時は178条の「心神喪失」 に当たるが、39条には当たらない。つまり、著者は、「心神喪失」の概念をまったく理解していないのである。

■58 「何日までにカネを持ってこないと逮捕するぞ」と、もし私が個人的に言って実行したら脅迫罪(二二二条、二年以下の懲役または三〇万円以下の罰金)プラス監禁罪(二二〇条、三月以上五年以下の懲役もしくは科料)になってしまいます。
□この場合には、脅迫罪ではなくて、それよりも重い恐喝(未遂)罪が成立する(249条1項*26、250条*27)。

■59-60 駅前の自転車を「ちょっと借りた」だけでも犯罪になることを知っていても、落ちている十円玉を無駄にしてはいけないと拾ってポケットに入れたら逮捕されると思っている人はいないでしょう。あくまで形式的には同じ占有離脱物横領罪(二五四条、一年以下の懲役または一〇万円以下の罰金)なのです。
□道端に放置してある自転車ならともかく、駐輪場に停めてあるような自転車であれば、より重い窃盗罪が成立する(235条*28)。なお254条*29の罪の法定刑は、正しくは「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」である。

■60 《第三六条 脅迫不正の侵害…
□(誤)脅迫不正→(正)急迫不正。

■63 国会でも刑法改正論議はタブーなので(世界標準では国民の生命と安全を守るため会期ごとの刑法改正は国会議員の第一の義務なのに)、
有斐閣でも三省堂でも岩波書店でも、市販の六法で刑法のページを開くと、最初の見出しの横に、刑法典の改正年がずらずらと並んでいることがすぐ分かる。近年成立した特別法を見ても、たとえば「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」(2000年施行)*30、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(2007年施行)*31、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(2000年施行*32)、「特殊解錠用具の所持の禁止に関する法律」(2003年施行)*33などいくつもある。

■65 正面衝突を避けようとした同じ緊急避難でも、ガードレールを壊してしまった、という場合と、通園途中の五歳児四人を轢き殺してしまった、という場合を同列に論じるべきではありません。
□後者のケースでは、そもそも緊急避難が成立しない。緊急避難が成立すれば犯罪とはならないが(37条1項*34)、それは「生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限」ってのことである。自動車の正面衝突を避けるために4人も死なせてしまっては、緊急避難が成立しないのは明らかである。

■66 本当は近代法治国家ならば、故意の凶悪事件(殺人、傷害致死、放火、強姦、強盗)の犯人は、すべて刑事訴追すべきでしょう。それこそ、わが憲法が宣言するところでもあります。
□著者が言う「わが憲法」とは、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない」(憲法32条*35)のことである。しかし、これは文字どおりの「刑事裁判を請求する権利」ではなくて、「裁判によるのでなければ刑罰を科せられない」ことを意味するにすぎない(佐藤幸治日本国憲法論』(成文堂、2011年)p.353)。したがって、有罪が見込まれる場合であっても、検察官は起訴しないことができるし(刑事訴訟法248条*36)、このような規定や運用も、被疑者の「裁判を受ける権利」を妨げることにはならない。なお、心神喪失(39条1項)を理由とする不起訴処分について、精神障害者の「裁判を受ける権利」が問題にされることがあるが、やはり法律論としてはナンセンスである。

■68 心神喪失とは何か、心神耗弱とは何か、の定義がないというのは驚くべき、というより信じがたい欠落です。
□あまり意味のない批判。もしも、法律に定義が書かれていないために全国の裁判所で複数の解釈が乱立し、裁判所ごとに「心神喪失」「心神耗弱」の判断が異なる事態にあるのなら、この批判にも意味はあることになるだろう。しかし実際には、「心神喪失」「心神耗弱」の定義は、戦前の判例によって確立されており(大審院昭和6年12月3日判決、大審院刑事判例集10巻12号682ページ)、実務はこれに従って運用されているのだから何の問題もない。かりに今刑法を「改正」して定義規定を設けたとしても、判例の文言が条文に記載されるだけで、現実には何も変わらないだろう。

■69 日本の現行刑法(三九条)にはなくて、韓国(一〇条三項)および他の国々の刑法典と日本の改正刑法草案(一七条一、二項)にあるものは、わかりやすくいえば、アルコール泥酔下や覚醒剤使用下での犯罪を心神喪失心神耗弱とは認めない、という当然の規定です。
□引用されている韓国刑法では「危険の発生を予見」していたことが要求されているから、この規定によっても「覚醒剤使用下での犯罪」行為については不可罰とされないケースはありうる。この条項が規定するのは「犯罪を起すつもりで(あるいはそうなっても構わないと思って)覚醒剤を使用した」ような場合であって、理論上は日本の刑法と何ら変わりない。日本でも、判例上、「原因において自由な行為」の理論により、韓国刑法10条3項と同様の結論が承認されている。

■71 国民的な合意を得られるような心身喪失者
□(誤)心身喪失→(正)心神喪失


【第三章 「了解不能」こそ了解不能だ】 

■78 強盗は最低でも懲役五年以上の重罪であり、執行猶予がつくことはありえません。
強盗(236条*37)よりも重い罪であるはずの殺人(199条*38)ですら執行猶予がつくことがあるのだから、この記述はおかしいのではないか、と思った人は法律学のセンスがある。実際には酌量減軽により、執行猶予を付すことができる(66条*39、71条*40)。


【第四章 日本から尊属殺人が消えた日】

■99 こんな規定(二四一条)などなくても、強盗(二三六条、五年以上の懲役)プラス強姦(一七七条、二年以上の懲役)を併合させれば同様の「七年以上」を科せる
□「こんな規定」とは強盗強姦罪・同致死罪(241条*41)である。強盗罪と強姦罪の規定を「併合」させれば同じだからと言いたいようだ。しかし、強盗罪と強姦罪を「併合」させても、処断刑は「5年以上の有期懲役」にしかならず、「無期又は7年以上の懲役」を定める強盗強姦罪と比べても、刑の下限(5年<7年)、上限(有期懲役<無期懲役)ともに軽くなってしまう。つまり、著者の言うように241条を削除してしまうと、強盗が強姦した場合を従来よりも軽く罰することになる。241条の刑が重すぎると考えているのならまだ意味の通る主張であるが、明らかにそうでない文脈で述べているのだから、全く話にならない。著者は処断刑の作り方を全く理解していないのである。実際の処断刑の形成はこうである。強盗が強姦した場合を併合罪(45条*42)と解した場合、強盗は「5年以上の有期懲役」(236条)、強姦は「3年以上の有期懲役」(177条*43。2004年改正後)であるから、処断刑の上限は「最も重い罪〔=10条*44により強盗>強姦〕について定めた刑の長期〔=20年。12条1項*45〕にその2分の1〔=10年〕を加えたものを長期とする」により、30年となる(14条2項*46も参照)。一方、処断刑の下限については判例が「併合罪加重をする際、その処断刑は、…短期については、併合罪中、その短期の最も重いものによるべきものと解するのが相当である」と述べているから(名古屋高等裁判所昭和28年7月28日判決高等裁判所刑事判例集6巻9号1217ページ)、本件では(強盗罪の)5年となる。

■99 何より強盗強姦に《よって女子を死亡させた》というようなケースは、致死ではなく強盗強姦殺人と最初から見なすべきなのです。殺意がないはずだから致死だと法の専門家は言いますが、どあほです。強盗して強姦した結果、被害者が絶命してしまったのに、それが殺人でなくて何ですか。
□何が言いたいのかよく分からないが、たぶん次のように言いたいのだろう。[1]強盗犯人が強姦し、被害者が死亡した場合は、241条後段の強盗強姦致死罪が成立する。[2]「致死罪」とは、殺意のない場合を言う。[3]そうすると、刑法は、[1]の場合にはそもそも殺意がないとみなしていることになる。[4]しかし、これはおかしい。強盗が強姦し、被害者が死亡した場合には殺意があるとみなすべきである、と。この問題については判例と学説で説明の仕方が異なるが、いずれによっても著者の考えは間違いだ。一番の問題は、法律の規定から殺意の有無を判断しようとする考え方そのものである(上記[3][4])。これは話の順序が逆で、殺意の有無を確定したうえで、どの条文を適用できるかを考えるのが正しい。自己の主張に合わせて引用元の捏造までする著者らしい考え方ではあるが、「事実(殺意)の確定→法律の適用」と進むのが正解であり、法律に合わせて事実をねじ曲げるのは言語道断である。専門家が「殺意がないはずだ」などと言うわけがない。それでは著者の[1]〜[4]の主張は、具体的にはどこが間違っているのか。もしも[1]と[2]がともに正しいのであれば、[3]のような疑問は当然といえる。しかし実際には、[2]のみを正しいと考えるか(判例の立場)、[1]のみを正しいと考えるか(学説の立場)のどちらかしかない。すなわち、判例は、強盗強姦致死罪(241条後段)は殺意のない場合にだけ適用されるから、犯人に殺意がある場合には強盗殺人罪(240条後段*47)と強盗強姦罪(241条前段)が成立すると考える。つまり、強盗犯人が強姦し、被害者を死なせたからといっても必ずしも241条後段が適用されるわけではないから、[1]は正しくないことになる。一方学説は、殺意の有る無しに関わらず241条後段のみを適用すればよいとする。この場合、殺意の有無にかかわらず241条後段の強盗強姦致死罪が成立するから、[1]は正しいとしても[2]が正しくないことになる。したがって、いずれにせよ、[3]のような問いが出てくる余地はない。また[4]のように解すること、つまり状況を問わず殺意があると「みなす」ことは、責任主義に反するだろう。ちなみに、判例のように解しても、学説のように解しても、殺意の有無にかかわらず、処断刑は「死刑又は無期懲役」で変わらない。もちろん、殺意の有無は量刑事情としては考慮されるであろう。

■104
殺人罪(199条)の法定刑は、2004年改正で「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」に引き上げられた。→■47

■108 実はこれは、刑法を学ぶ者にとっては比較的ポピュラーな判例です。
□すでに削除された条文を学んでどうする。この判例が有名なのは「憲法判例としてである*48

■109-110 私は、憲法違反というなら、まさに父親による極悪非道な行為こそ、《何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない》と宣言する憲法一八条違反だった、と強調したいと思います。
□間違いではないが、憲法18条*49前段は、奴隷的拘束を受けた場合に、具体的にどうなるのかついて何も規定していない。言っても意味のない法律論である。

■112 執行猶予は「懲役三年以下」にしか与えることができません。
□50万円以下の罰金刑の言渡しをするときも、執行猶予を付すことができる(25条1項柱書*50)。

■113 実際、弁護側さえ主張していない理屈さえもちだして(これは法治国家で許されるべきことではありません)、
□「弁護側さえ主張していない理屈」が何を意味するのか分からないが、いずれにせよ、法治国家では許されないというのは大ウソ。そもそも法律の解釈適用は裁判所の専権事項である。これが当事者の言い分に拘束されるというのであれば、裁判所は一体何のためにあるのか。


【第五章 裁判用語としての和姦と強姦】

■117 相手の同意なしにモノを "拝借" すると窃盗罪(刑法二三五条、一〇年以下の懲役)
□2006年改正により窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に改められた*51

■133 強姦罪は、あくまで女性の性器に対する場合だけを法的侵害行為としています。つまり、まったく同様の卑劣な行為により、女性器なら懲役二年以上(強姦罪)だけれど、男女を問わず肛門をやられたら刑は四分の一(六月以上の強制猥褻罪)に減じられてしまうわけです。
法定刑(刑法に記載されている各罪の刑)と宣告刑(法定刑を基礎に算出され、法廷で被告人に言い渡される刑)の区別ができていない。同様の記述は他にもあるが(p.156、p.161)、いずれも法定刑の下限が強姦罪の場合は懲役2年、強制わいせつ罪ならば懲役6か月というだけの話であって、宣告刑が4分の1になるという計算には何の意味もない。強制わいせつ罪の法定刑の下限が懲役6か月と軽いのは、同条で捕捉される「わいせつ」の範囲が強姦罪よりも広いからである。たとえば無理やり抱きついてキスをするという場合にも強制わいせつ罪は成立するが、さすがにこれと強姦を同様に扱うわけにはいかないだろう。逆にいえば、軽微な違法行為までもを処罰するために、法定刑を下げているとみることができる。「肛門をやられ」たら、犯人は懲役6か月では済まないだろう。なお2004年改正によって、強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」に、強姦罪のそれは「3年以上の有期懲役」に、それぞれ引き上げられた。→■47

【第六章 色恋沙汰と性犯罪のあいだ】

■143-144 破綻していない夫婦や恋人のあいだでは強姦罪は成立するわけがない、と考えている点ですべての裁判官にその認識は共通しています。
□夫婦間で強姦が成立するか、という問題だが、現在これを否定する学説はない。裁判例としても、たとえば東京高等裁判所平成19年9月26日判決(判例タイムズ1268号345ページ)は、夫婦関係の破綻の有無にかかわらず強姦罪が成立すると解している(実際には、夫婦関係が破綻していることが明白な事案であった)。既に克服された問題を蒸し返しているだけ。

【第七章 迷走する「わいせつ」】

■157-158 しかし、私が不満なのは、なぜ父親が強姦罪で起訴すらされないのか
□そもそも、父親が起訴されたかどうかをきちんと「取材」したのか、という問題があるが、起訴されなかった場合の理由としては「被害者への配慮」が考えられる。かりに強姦罪で起訴するのであれば、何年何月何日何時に、どこで、どのように「強姦」されたのかを逐一、供述・証言しなければならなくなるが、十代の女の子に犯行時の記憶を思い出させることは、かなりの負担となるだろう。こういった現場の判断に想像力を及ぼすこともできないで「男根主義的現象」(p.158)と書くのは、取材以前の問題である。

■160 《刑法一七六条にいわゆる「わいせつ」とは徒らに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念反するものをいう》(最高裁一九五七年三月一三日判決、同五九年一〇月二九日判決、名古屋高裁金沢支部六一年五月二日判決など多数)。
□「最高裁一九五七年三月一三日判決」とは、文学者の伊藤整らが起訴された「チャタレー事件」の上告審判決である*52。伊藤らが起訴されたのは175条*53わいせつ物頒布罪」であり、「《刑法一七六条にいわゆる「わいせつ」とは」という文言などあろうはずがない。つまり著者はここでも引用元の捏造をやっているわけだ。「同五九年一〇月二九日判決」も同様に176条*54ではなく175条の事件であり正確な引用は「刑法一七五条にいう猥褻の物とは、性欲を刺戟もしくは興奮し又はこれを満足せしむべき物品であつて、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう」である*55。また裁判形式も「判決」ではなくて「決定」。何より問題なのは、公然わいせつ罪(174条*56)、わいせつ物頒布等罪(175条)にいう「わいせつ」と、強制わいせつ罪(176条)にいう「わいせつ」は意味が異なるということに、著者が気づいていないことである(同様の間違いは「心神喪失」についてもあった→■56、■57)。すなわち、公然わいせつ罪、わいせつ物頒布等罪は社会秩序維持を目的とするから、わいせつの判断基準も「善良な性的道義観念に反する」などの要件によって判断されることになる。一方の強制わいせつ罪は、社会秩序維持ではなく被害者の性的自由の保護が目的だから、同条の「わいせつ」は、本人に「性的羞恥心を与えるという明らかに性的意味のある行為」(p.174に引用の東京地裁判決)をいうことになる。これが現在の通常の理解である。「名古屋高裁金沢支部六一年五月二日判決」は、このような理解が確立する前の古い裁判例であって、現在引用する価値はない。

■164 《被害者の抵抗により未だ陰茎を挿入しないうちに射精したため姦淫行為を中止した場合》につき、弁護側は強姦の中止未遂を主張し、検察側は傷害未遂と暴行罪だけを認定する、という事案です(高松高裁一九五二年一〇月一六日判決)。
□大ウソ。まず、複数の事件が合わせて起訴されているにもかかわらず、混同して1つの事案として扱っていることがおかしい。判決(後掲資料1)によれば、本件は「山麓の一軒家に娘と二人暮しの未亡人を強姦せんとし」た事件と、「二回に亘り山道で女学生(登校または帰校の途中)を襲った」事件からなる。検察官は、前者については強姦未遂罪で起訴し、後二者については暴行罪で起訴している、と書くのが正しい。次に、「傷害未遂」という規定は存在しない。しばしば「すべての犯罪について未遂犯が処罰される」との誤解が見られるが、実際には「未遂を罰する場合は、各本条で定める。」(44条*57)とあるとおり、特別の規定がないかぎりは、未遂は犯罪とならない。そして、傷害罪(204条)には未遂処罰規定は存在しない。なぜなら、このような場合には、暴行罪(208条*58)でカバーできる場合がほとんどだからである。実際の判決文には「傷害未遂」ではなく、「障礙未遂」と書かれている。読みはどちらもショウガイミスイだが、意味はまったく異なる。実は未遂には2つの類型があり、「自己の意思により犯罪を中止した」場合を中止未遂(43条ただし書*59)、そうでない場合を障礙未遂(障害未遂)と呼ぶのである(43条本文*60)。当然、障害未遂よりも中止未遂の方が刑が軽くなるから、弁護人が強姦の中止未遂を主張し、検察官が(傷害未遂ではなく)障害未遂を(認定ではなく)主張することはありうることである(これが前者の事件の争点である)。さらに、検察官が「暴行罪を認定〔起訴〕」(p.164)したのに対して、弁護人が強姦未遂を主張するのも、理論上はありうる話である。判決文には何も書かれていないが、この事件(後二者の事件)では十中八九、被害者の告訴が取れなかったのである。強姦(未遂)罪は親告罪だから、「告訴がなければ公訴を提起することができない」(180条1項*61)。この事件では何らかの理由で告訴が取れなかったために、検察官が、非親告罪である暴行罪で起訴したのだろう。強姦=暴行+姦淫だから、その一部である暴行だけを取り上げて起訴しても構わないというのが、検察官の理屈である。一方の弁護人は、社会的事実としては強姦(未遂)であるにもかかわらず、暴行罪で起訴することは、強姦罪親告罪とする法の趣旨を潜脱しているから「不法」だと主張しているわけである。これは「一罪の一部起訴の可否*62」と呼ばれる、刑事訴訟法上の有名論点である。以上のような理解がまったくできていないから、「弁護側が強姦未遂罪を主張し、検察側が傷害未遂と暴行罪を認定している、という関係は確かに不可思議です」(p.164)などと馬鹿丸出しの発言ができるのだ。

■165 「強姦の中止未遂」と「強制猥褻の中止未遂」はどこが異なるかといえば、判例上それは、ズボンのチャックを下ろしていたかどうか。笑うところではありませんが、笑っていいです。
□そんな判例はない。両者の違いは「姦淫する意思」があったか否かである。

■167 東京地裁一九八八年一〇月三一日判決
□引用の直前に「平成に至っても」とあり、また事案を見ても「東京地裁1989年10月31日判決」(後掲資料2)の間違いだろう。この箇所に限ったことではないが、こういった誤記のことも考えて、出典を明記しておくべきである。実際の判決と見比べてみると、著者の引用の仕方は無茶苦茶である(p.167、p.168)。

■168 犯人が自らズボンをおろし、先ほどまでの《手指》に代えて《陰茎》そのものを入れようとして、挿入前に射精してしまえばこれも強姦罪ではなく、日本の裁判所は同様に強制猥褻罪にすぎない、と判決するのが常なのです。
□そんな馬鹿な判決があるなら、是非とも見せてもらいたいものである。「《陰茎》そのものを入れようとし」たのなら、強姦未遂罪が成立するに決まっているではないか(179条*63、178条)。


【第八章 いまだ被害者不在の男根主義

■169 強制猥褻罪に対する法定刑は《六月以上七年以下の懲役》となっており
□2004年改正で、「6月以上10年以下の懲役」に改められた*64。→■47

■175 そもそも猥褻の定義がめちゃくちゃだからです。先ほどの判決文には、《男性の性的興味の対象として扱い、同女に性的羞恥心を与えるという明らかに性的意味のある行為、すなわちわいせつ行為》とありました。これが本当に罰すべき《わいせつ行為》 ならば、刑務所や裁判所が郵便ポストの数ほどあっても足りません。
俗流法律学の最たるもの。いかにもセクハラを咎められたオヤジがこねそうな屁理屈である。猥褻の定義がめちゃくちゃと思うのは、公然わいせつ・わいせつ物等頒布罪と強制わいせつ罪の区別ができていないからである(→■160)。そもそも、強制わいせつ罪の保護法益は個人の「性的自由」であって、わいせつであることが即違法であるわけではない。「暴行又は脅迫を用いて」つまり性的自由を侵害しておこなうわいせつ行為が処罰されるだけである。要するに犯罪を構成する「わいせつな行為」は、「暴行又は脅迫を用い」たものに限定されているから、郵便ポストの数ほどの裁判所は必要ない。

■178 強姦、強姦未遂、強制猥褻、強制猥褻未遂、公然猥褻、公然猥褻未遂の区別がついている方は、いったいどれほどおられるのでしょうか。
□著者にこれらの区別がついていないのは明らか。そもそも、公然わいせつ罪(174条)の未遂は不可罰である。→■164

■181 大出芸能プロダクション
□たぶん「大手芸能プロダクション」と言いたかったのだろう。


【第九章 痴漢「冤罪」が絶えない理由】

■202 ひとことで言えば、安易に制定された条例にその最大の原因がある、というのが私の見解です。条例に基づく痴漢への処罰は、確かに短期ながら懲役も科すことができるのですが、被害者の証言のみによって逮捕および起訴されてしまう多大な危険性が最初から内包されています。
■202 破廉恥な性犯罪は、確かな証拠を固めて冤罪を避け、刑法と刑事訴訟法によってのみ裁かれなければなりません。
□同趣旨の記述が『手作り弁当を食べてる場合ですよ』(角川oneテーマ21、2010年)42〜43ページにある。要するに、条例違反の罪は被害者の証言のみによって逮捕・起訴されるが、刑法上の犯罪はそうではなく、刑事訴訟法によって裁かれると思っているわけだ。しかし、条例違反の犯罪も、逮捕から起訴を経て判決に至るまでの一連の手続は刑事訴訟法によって規律される。憲法31条*65「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」とあるとおりだ。「法律」でない条例で逮捕、起訴といった「手続」を規律することはもとよりできないし、現になされていない。条例でできるのは、特定の行為(たとえば痴漢行為)に刑罰を科す規定を設けることだけである(地方自治法14条*66)。「被害者の証言のみによって逮捕および起訴され」るのは条例違反でも刑法違反でもまったく変わらない。

以上


【資料】


●資料1(高松高等裁判所昭和27年10月16日判決(全文):強姦未遂暴行被告事件)

【事件番号】
高松高等裁判所判決/昭和26年(う)第1082号

【判決日付】
昭和27年10月16日

【判示事項】
中止未遂とならない1事例

【判決要旨】
婦女を強姦せんとして実行に着手したが、被害者の抵抗により未だ陰莖を挿入しないうちに射精したため姦淫行為を中止した場合は、犯行の中止が犯人の意思によるものとしても中止未遂にあたらない。

【参照条文】
刑法43
刑法177
刑法179

【掲載誌】 
高等裁判所刑事判例集5巻12号2134頁


 主 文

 本件控訴を棄却する。

 理 由

 弁護人松山一忠の控訴趣意は別紙記載の通りである。
控訴趣意第一点について。
(イ)論旨は原判示第一の事実は中止未遂であるに拘らず原判決がとれを障礙未遂と認定したのは事実誤認であると謂うのである。しかし、原判決挙示の各証拠を綜合して判断すれば原判決認定の如く被告人は原判示日時場所において真鍋キク子を強姦せんとし同女を地上に押倒して乗りかかり同女の陰部に自己の陰茎を挿入しようとしたが同女の抵抗により、未だ陰茎を挿入しない中に射精してしまつたためその目的を遂げなかつた事実を認めることができ、被告人は右射精のため姦淫行為を中止して立去つた事実はこれを窺い得るけれどもかかる場合犯行を中止したことが被告人の意思によるものとしてもその原因が右の如く被害者の抵抗により未だ陰茎を挿入できない中に射精したためである以上中止未遂を以て論ずるのは相当でなく被告人の右行為は障礙未遂罪を構成するものと謂わなければならない。原審が、取調べた各証拠を検討しても原判決が原判示第一の行為を障礙未遂と認定して弁護人の中止犯の主張を排斥したのは相当であつて、所論の如き事実誤認は認められない。
(ロ)論旨は原判示集二及び第三の各事実は実際は強姦未遂罪であるに拘らず検察官がこれを暴行罪として起訴し原判決も暴行罪として認定したのは不法であると主張する。しかし原判決の掲げる各証拠により原判示第二及び第三の各暴行事実はその証明充分であり、仮にその事実は強姦未遂と見られ得るような場合であつたとしても或犯罪事実を如何なる訴因で起訴するかは検察官の裁量に属するところであるから、検察官が証拠の関係、犯行の態様等により本件第二、第三の各犯行を暴行罪として起訴し原審裁判所もまた証拠によりこれを暴行罪と認定したことを以て何等違法であるとはいえない。原判決並に本件記録を検討しても所論の如き違法は認められない。
 従て論旨はいずれも理由がない。
 同第二点について。
 論旨は原判決の量刑は重きに過ぎると謂うのである。しかし本件は原判決認定の如く山麓の一軒家に娘と二人暮しの未亡人を強姦せんとしまたは二回に亘り山道で女学生(登校または帰校の途中)を襲つた事案であり、その罪責は必ずしも軽くなく、その他諸般の情状を考量すれば原審が本件につき懲役二年を量定したのは蓋し相当であると謂わなければならない。本件記録を精査し被告人は未だ前科のないこと、本件公訴提起後間もなく被害者等より告訴の取消と見られる書面(告訴権抛棄につき稟申書と題する書面)が検察庁に提出せられたことその他論旨主張の諸点を斟酌しても本件につき刑の執行を猶予するは相当でなく、論旨は採用し難い。
 仍て本件控訴は理由がないから刑事訴訟法第三百九十六条により主文の通り判決する。
(裁判長判事 坂本徹章 判事 塩田宇三郎 判事 浮田茂男)



●資料2(東京地方裁判所平成1年10月31日判決(全文):強盗強姦、強盗、強制わいせつ、強盗未遂被告事件)

【事件番号】
東京地方裁判所判決/平成元年(合わ)第107号、平成元年(刑わ)第1763号

【判決日付】
平成元年10月31日

【判示事項】
一、強制わいせつに接着して強姦が行われた場合の罪数
二、強盗強姦の際に致傷の結果を生じた場合の擬律

【参照条文】
刑法176
刑法177
刑法241

【掲載誌】 
判例タイムズ729号228頁 
判例時報1363号158頁

【評釈論文】
判例タイムズ738号69頁
判例評論388号201頁


 主 文

 被告人を懲役一〇年に処する。
 未決勾留日数中五〇日を右刑に算入する。

 理 由

(罪となるべき事実)
 被告人は、昭和五三年に秋田県内の高校を卒業して上京し、飲食店店員等の職を転々とした後、平成元年二月ころからはラーメン等の材料を運送する仕事に従事していたが、生活費等のためいわゆるサラ金や妻の親族から借金を重ね、その返済に追われる等経済的に困窮し、また、かねてより俗にSMプレイと称せられるもの、とりわけ、女性に対し浣腸を施用することに強い興味を抱いていたものであるが、
第一 女子生徒ら少女から金品を強取し、かつ、強いてわいせつの行為をしようと企て、平成元年一月二四日午後三時ころ、セーラー服姿のA女(当時一五歳)が東京都江戸川区〈住所略〉甲方(当時のA女の住居)に入るのを見かけると、右甲方を訪れ、応対に出たA女に対し、「読売新聞です。」等と嘘を言い、更に「家の人は誰かいますか。」などと聞いて他に家人がいないことを確かめた後、右甲方において、いきなり両手でA女の首を締め、「静かにしろ。騒ぐと殺すぞ。」などと申し向け、同女を後ろ手に緊縛し、猿ぐつわをしたり、同所の台所から持ち出してきた刃体の長さ一六・五センチメートルの文化包丁(平成元年押第八四四号の2)を突きつけたりなどしてその反抗を抑圧した上、同所において、
一 先ず、同女から金員の所在を聞き出し、たんす内にあった右甲所有の現金二六万円を強取した
二 次いで、A女を仰向けに寝かせてそのパンティー等を脱がせ、同女の陰部に手指を挿入したり、陰茎を同女の口内に入れて射精するなどして強いてわいせつの行為をした
第二 女子生徒ら少女から金品を強取し、かつ、強いてわいせつの行為をしようと企て、同年三月一〇日午後五時三〇分ころ、女子高校生の制服を着用していたB女(当時一七歳)が同都板橋区〈住所略〉乙方玄関前にいるのを見かけると、右乙方を訪れ、B女に対し、「読売新聞です。集金に来ました。」などと嘘を言い、更に「家の人はいませんか。」などと言った後、右乙方において、いきなり両手でB女の首を締めながら、「大人しくしていれば何もしない。金を取ったら逃げるから。」などと申し向けていたところ、同女のほかに遊びに来ていたC女(当時一六歳)がいるのを見つけ、B女及びC女の両名に対し、同所にあった鋏や同所の台所から持ち出してきた刃体の長さ約一七・二センチメートルの文化包丁(前同号の1)を突きつけ、「騒いだら目をくりぬくぞ。」「声を出すなよ。出したら殺すぞ。」などと脅迫し、右両名をそれぞれ後ろ手に緊縛し、猿ぐつわをするなどして右両名の反抗を抑圧した上、C女を仰向けに寝かせ、同女に対し、そのパンティー等を脱がせ、所携の浣腸器で浣腸を施用し、その陰部に手指を挿入するなど強いてわいせつ行為をしているうち、同女を強姦しようと決意するに至り、同女の上に乗りかかって強いて同女を姦淫したが、前記の陰部への手指の挿入行為により同女に処女膜裂傷の傷害を負わせ、引き続き、B女に対しては、右文化包丁を突きつけて同女から金員の所在を聞き出した上乙所有にかかる現金一万円を強取した
第三 女子生徒ら少女から金品を強取しようと企て、同月一六日午後六時一五分ころ、同都練馬区〈住所略〉丙方を訪れ、応対に出たD女(当時二一歳)が小柄で一五、六歳に見えたところから、同女に対し、「読売新聞の集金なんです。」などと嘘を言い、更に「お父さんやお母さんはいないの。」などと言いながら、同女の隙を見ていきなりその首を両手で締め、「声を出すな。金を出せ。」などと申し向け、その反抗を抑圧して金品を強取しようとしたが、同女が抵抗したり、大声を上げて二階にいた同女の妹に警察への通報を依頼したりしたため、その目的を遂げなかった
第四 女子生徒ら少女から金品を強取し、かつ、強いてわいせつの行為をしようと企て、同年六月一四日午後五時ころ、帰宅途中の女子中学生の制服姿のE女(当時一四歳)を見かけると、同女の後を追尾し、同女が同都練馬区〈住所略〉丁方に入るのを見ると、新聞の集金人を装うなどして他に家人のいないことを確かめた後、上がり込んだ右丁方において、同所の台所から持ち出してきた刃体の長さ約一六・五センチメートルの文化包丁(前同号の3)を右E女に突きつけ、「静かにしろ。騒ぐと殺すぞ。」などと申し向け、同女を後ろ手に緊縛し、猿ぐつわをするなどしてその反抗を抑圧した上、同所において、
一 先ず同女を仰向けに寝かせ、前記制服を引き裂きパンティー等を脱がせ、所携の浣腸器で同女に浣腸を施用したり、その陰部をなめるなどして強いてわいせつの行為をした
二 次いで、同女に再び右包丁を突きつけて同女から金員の所在を聞き出した上右丁の妻戊所有にかかる現金三万円を強取したものである。(証拠の標目)〈省略〉(法令の適用)
 被告人の判示第一の一、第四の二の各所為はいずれも刑法二三六条一項に、判示第一の二、第四の一の各所為はいずれも同法一七六条前段に、判示第二の所為は同法二四一条前段に(なお、強盗の目的で、判示のとおり、被害者二名に暴行、脅迫を加えても、本件のように、その奪取しようとする財物が一個の管理下にあると認められる場合には一個の強盗罪が成立するにすぎないから、右被害者二名のうちの一名(C女)を強姦したときは、強盗強姦の一罪が成立するにとどまると解すべきである。更に、
本件のように、強制わいせつとこれに接着して強姦が行われた場合はこれを包括して一個の強姦行為と評価すべきであること、強盗強姦罪が成立する場合において、犯人がその強盗の機会(あるいは強姦の際)に加えた暴行により生じた傷害はもとより強盗強姦以外の別罪を構成するものではないが、強盗強姦罪の重要な量刑評価の対象となるものであり、右傷害の点を判示すべきことも多言を要しないところである。)、判示第三の所為は同法二四三条、二三六条一項にそれぞれ該当するところ、判示第二の罪については所定刑中有期懲役刑を選択し、以上は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第二の罪の刑に同法一四条の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一〇年に処し、同法二一条を適用して未決勾留日数中五〇日を右刑に算入し、訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項但書を適用して被告人に負担させないこととする。(量刑の理由)
 被告人は、判示のとおり、わずか五か月足らずの間に、次々と強盗強姦の大罪のほか、強盗、強制わいせつ、強姦未遂というこれまた重罪を反復累行したものであって、その各動機に同情すべき点があろうはずがないなどその各犯情はいずれも甚だ芳しくなく、とりわけ、判示第一、第二、第四の各犯行に至っては、白昼、少女ともいうべき一〇代半ばの中学生、高校生をつけ狙い、新聞の集金人を装って右少女らに接近したり、被害者が一人でいることを確かめるなどし、いきなり右少女らに襲いかかってその首を締め、右少女らに対し、包丁等を突きつけたり、判示の強度の脅迫文言を申し向けたりして、後ろ手に緊縛して身動きがとれない状態にした上、現金合計三〇万円を奪取したほか、陰部への手指の挿入、口内での射精、浣腸など筆舌に尽くし難い淫らな行為に及び、うち一名の女子高校生に対しては処女膜裂傷の傷害を負わせ、あげくの果てには同女を強姦し、更に各犯行後も、少女らに警察に通報すると殺すとか放火するなど申し向けて口封じを図ったもので、その各犯行態様等はこの種事犯としても稀な程悪質、非道にして卑劣極まりなく、これらの仕打でもてあそばれるなどした右思春期にある被害者らの蒙った精神的・身体的苦痛の大きさは計り知れないものがあり、加えて、本件各被害者に対し慰謝の措置が何ら講じられていないことをも併せ考えると、被告人の刑事責任はまことに重大であると言わざるを得ない。
 したがって、右刑責にかんがみれば、他方、被告人が、捜査官の取調べに対し、本件を含め、未発覚の各犯行をも進んで自供するなど、その非を深く反省、悔悟し、現在、被害者らに対する真撃な謝罪の念を抱いていること、被告人にはこれまで前科がないこと、その他その家庭環境等本件全証拠から推認できる被告人に有利な一切の情状を考慮しても、なお主文掲記程度の刑は免れ得ないところである。
 よって、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官反町 宏 裁判官高麗邦彦 裁判官山田 明)



★参考資料

Amazonレビュー:条文もロクに読まずに書かれた,間違いだらけの大バカ本

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法律相談Q&A|刑事事件に強い元検事弁護士が強力対応

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暴行罪 - Wikipedia

刑法第44条 - Wikibooks

未遂 - Wikipedia

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親告罪 - Wikipedia

刑法第180条 - Wikibooks

公訴

刑法第179条 - Wikibooks

日本国憲法第31条 - Wikipedia

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO067.html

裁判官に気をつけろ! (文春文庫)

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日本国憲法論 (法学叢書 7)

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完訳チャタレイ夫人の恋人 (新潮文庫)

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*1:日垣隆『裁判官に気をつけろ!』(文春文庫、2009年6月10日第1刷)のこと。

*2:僕は判決文が読めないー日垣隆『裁判官に気をつけろ!』尊属殺法定刑違憲事件判決文捏造疑惑 - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)

*3:http://law.e-gov.go.jp/announce/H16HO063.html

*4:http://law.e-gov.go.jp/announce/H16HO063.html

*5:http://law.e-gov.go.jp/announce/H16HO063.html

*6:世界の終りと1977.1.21ー検証・日垣隆「弟の死」の真相(補論) - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)

*7:[日垣隆「弟の死」] - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)

*8:http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM#s6

*9:刑事訴訟法第316条の2 - Wikibooks

*10:http://law.e-gov.go.jp/announce/H16HO063.html

*11:民法(最終改正:2003年8月1日法律第138号)

*12:民法(最終改正:2003年8月1日法律第138号)

*13:裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面 最高裁昭和30年10月14日刑集9巻11号2173頁

*14:刑法第249条 - Wikibooks

*15:http://www.houko.com/00/01/S24/205.HTM

*16:刑法第220条 - Wikibooks

*17:刑法第221条 - Wikibooks

*18:裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面 最高裁平成15年7月10日刑集57巻7号903頁

*19:刑法第204条 - Wikibooks

*20:刑法第205条 - Wikibooks

*21:http://www.geocities.jp/bexfort/kei_h16.html

*22:刑法第177条 - Wikibooks

*23:http://www.npa.go.jp/safetylife/stalkerlaw/anti-stalking-law.htm

*24:刑法第39条 - Wikibooks

*25:刑法第178条 - Wikibooks

*26:刑法第249条 - Wikibooks

*27:刑法第250条 - Wikibooks

*28:刑法第235条 - Wikibooks

*29:刑法第254条 - Wikibooks

*30:http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxrefer.cgi?H_FILE=%95%BD%88%EA%88%EA%96%40%88%EA%8EO%98Z&REF_NAME=%91g%90D%93I%82%C8%94%C6%8D%DF%82%CC%8F%88%94%B1%8By%82%D1%94%C6%8D%DF%8E%FB%89v%82%CC%8BK%90%A7%93%99%82%C9%8A%D6%82%B7%82%E9%96%40%97%A5&ANCHOR_F=&ANCHOR_T=

*31:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H20/H20F10008046001.html

*32:http://www.ipa.go.jp/security/ciadr/law199908.html

*33:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15SE355.html

*34:刑法第37条 - Wikibooks

*35:日本国憲法第32条 - Wikipedia

*36:刑事訴訟法第248条 - Wikibooks

*37:刑法第236条 - Wikibooks

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*39:刑法第66条 - Wikibooks

*40:刑法第71条 - Wikibooks

*41:刑法第241条 - Wikibooks

*42:刑法第45条 - Wikibooks

*43:刑法第177条 - Wikibooks

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*45:刑法第12条 - Wikibooks

*46:刑法第14条 - Wikibooks

*47:刑法第240条 - Wikibooks

*48:僕は判決文が読めないー日垣隆『裁判官に気をつけろ!』尊属殺法定刑違憲事件判決文捏造疑惑 - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)

*49:日本国憲法第18条 - Wikipedia

*50:刑法第25条 - Wikibooks

*51:http://www.geocities.jp/bexfort/kei_h18.html

*52:裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面 昭和28(あ)1713刑集第11巻3号997頁

*53:刑法第175条 - Wikibooks

*54:刑法第176条 - Wikibooks

*55:裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面 昭和34(あ)923刑集第13巻11号3062頁

*56:刑法第175条 - Wikibooks

*57:刑法第44条 - Wikibooks

*58:刑法第208条 - Wikibooks

*59:刑法第43条 - Wikibooks

*60:刑法第43条 - Wikibooks

*61:刑法第180条 - Wikibooks

*62:公訴

*63:刑法第179条 - Wikibooks

*64:わいせつ - Wikipedia

*65:日本国憲法第31条 - Wikipedia

*66:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO067.html