2009-01-28 日本の転職しにくさは、解雇規制のせいじゃないと思う
日本の転職しにくさは、解雇規制のせいじゃないと思う
解雇規制を取り払ったら、転職できる考え方の人とそうでない人の格差が開くだけで日本経済にとっていいことなんてほとんどないと思う。(ちなみに僕は転職できない方の考え方でした。)
解雇規制が「間違った正義」であり、いわば「日本経済のガン」であることに、日本人は早く気づくべきだ。この鎧(よろい)から解放されれば、雇用も出てきて、格差も減り、労働者の意欲はむしろ増して、日本経済は活力を取りもどせる。
■では問題。
「英語のクラスを受け持っている塾講師がいる。A君は英語の他に数学も教えることができる。B君は英語のみを教えることができる。この二人の塾講師の給料はどちらが高いか?」
「A君でしょ、当然。だって2教科教えられるんだから」
→転職市場では生きづらい考え方です。仮に「日本」的としましょう。
「同じでしょ。受け持ってるのは英語のクラスなんだから」or「英語を教えるスキル次第でしょ。受け持ってるのは英語のクラスなんだから」
→転職市場でもやっていける考え方です。仮に「アメリカ」的としましょう。*1
■「It is not my business」
「アメリカ」では仕事に値段がついていて、それに人が応募します。契約社会です。「募集の仕事はこれこれで、それに対していくら払う」という具合です。このような考え方での雇用が前提にあると、かの有名な文句、
「It is not my business(それ、私の仕事じゃないんで。)」
も、そりゃそうだなという気持ちで受け止められます。
■「レジュメを美しくしろ」
このような考え方の社会では、「昇級する・ステップアップする」は管理職を除くと「より条件の良い仕事に応募すること=転職すること」になります。そこでよく言われるのが「レジュメを美しくしろ」です。レジュメとは履歴書のこと。差別排除の観点から年齢や性別も表示されない履歴書では、職歴のみがものを言います。高度な英語教育が求められる現場では当然、英語も数学も教えていた人よりも英語一本でスキルを積んできた方が説得力があります。要するに仕事を選ぶ時点で、次に転職するときの履歴書を考えるわけです。
■仕事に対価を払う「アメリカ」/人に給与を払う「日本」
一方日本は、人に対して給与が支払われます。典型的な例が人事異動でしょう。これまで営業の人間が開発に回る、人事だった人間が営業になる。これまでの実績やスキルはほぼゼロにリセットされるにも関わらず、給与は維持されます。
「ジョブローテーション」みたいな言葉まであって企業内教育の代名詞みたいに言われることさえあるけど、これは「レジュメを美しくしろ」の真逆を行く発想なわけです。
■日本は企業内に転職市場が完備されているようなもの
解雇要件が厳しいこともあいまって、企業は新卒をジョブローテーションさせながら「自社内マルチ」に育てます。英語しか教えられない人材だと、英語のクラスの需要が減ったときに対応できなくなるから、先に人事異動で数学に移して育てておく。というふうに。
要するに日本は企業内に転職市場が完備されているのです。しかもその転職にまつわるリスクヘッジコストは企業が負担してくれる。至れり尽くせりですね。企業内がこういうプロパー人材であふれてたら、よほどの専門職でない限り中途採用はしにくい。
こういう人材育成観を持ってる企業は、解雇要件をゆるめたって人材の流動性は高まらない。解雇要件をゆるめても、社内転職市場で行き場がなくなったどうしようもない人たちが解雇されるだけで、そういう人たちは本当の転職市場に出たって行き場なんてあるはずがない。
じゃあどうなるかっていうと、いまの派遣村と同じ話の流れで生活保護ってことになると解雇さえしなければ納税者だった人が途端に税金を使う人になってしまう。これは納税者すなわち日本経済にとってよくないことだ。
だから、企業には苦しくても雇用だけは維持してほしい。解雇要件よりも給与の下方硬直性を問題にしよう。解雇するぐらいなら最低賃金まで給与を下げて、子供の教育費にだけ税金を投入しよう。そっちの方が日本経済は活力を取りもどせる。
■関連
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090114/182649/?P=1
雇用の流動性をはかれという議論に欠けているもの
http://d.hatena.ne.jp/hokusyu/20090106/p1
■ちょっっっ コメ欄必見ですっ↓
すごすぎ。。。
■続き書きました。
■問題は「新卒主義」ではないと思う
*1:「」でくくったのはもちろんざっくりとしたイメージだからです。
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- 365 http://www.google.co.jp/search?q=解雇規制&lr=lang_ja&ie=utf-8&oe=utf-8&aq=t&rls=org.mozilla:ja-JP-mac:official&client=firefox-a

