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Think Kagawa 賀川豊彦を考える RSSフィード

2009-02-24

ユヌス氏の協同組合批判論

 企業組織に人間性をもたらし、考え方を啓蒙する一つの試みとして協同組合運動がある。そこでは、労働者消費者が、全員の利益のためにビジネスを所有し、経営に参加するのである。
 ロバート・オーウェン(1771−1858)はウェールズ人で、イングランドスコットランドに紡績工場を所有し、経営していた。彼はしばしばこの運動の創始者と考えられている。オーエンは産業革命の初期に、労働者に対する搾取の現状に愕然とした。特に彼は、工場労働者に対して一般の通貨ではなく、会社の売店だけで使える臨時の紙幣で賃金を支払うイギリスの習慣を嘆いていた。しかもその店では、安物の商品にやたらと高い値段がついていたのだ。
 この抑圧の悪循環は、私が最初にグラミン銀行の設立につながる仕事を始めたとき、ジョブラ村で見た、金貸しによってバングラデシュ人がさらにひどい状態になっていた姿を思い出させる。また、アメリカ南部の地主が、小作人搾取していたことを思い出させる。地主は労働者負債を理由に、値段が高すぎる会社の店と取引することを強要した。彼らは余った資金が所有者のポケットにだけ流れ込んで、決して労働者のところには利益が行かないように閉じた経済のループを作り上げたのだ。
 オーウェンは、実際的な段階を踏んでこの問題に対処した。スコットランドニューラナークにある彼の工場では、彼は大量仕入れによって質のいい品物がコストをほんの少しだけ上回る価格で買える店をオープンしたのだ。これこそが協同組合運動の芽であった。この動きは、顧客によって所有され、主に商人のためよりも顧客にとって利益があるように運営されるビジネスという概念に添っていた。オーウェンのプランで経営される店は今や当たり前のものとなり、イギリス全土とヨーロッパのあらゆる場所で運営されている。
 協同組合運動は、強欲な会社の所有者による貧しい人々の搾取に対抗して始まったものである。しかしながら、本来、貧しい人々を援助し、あるいはその他の特定の社会的な利益を生み出すという目的のためには、協同組合という概念は向いていない。協同組合事業の所有権を作り出し共有するために団結する人々の目標と利害が一致するかぎり、そういったビジネスは中流階級や貧しい人々の利益のために構築される。もし、利己的な支配に陥れば、協同組合事業は、社会のすべての人を助けるよりも、個人やグループの利益を得るために、むしろ経済を制御する手段となることさえできる。協同組合が本来の社会的目的を見失うとき、それは他と同じように実際には利益を最大にするための会社になってしまうのだ。(ムハマド・ユヌス貧困のない世界を創る』早川書房から抜粋)

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