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Think Kagawa 賀川豊彦を考える RSSフィード

2009-03-19

山折哲雄氏 「神とひとつ」信仰 再評価を

 宗教学者山折哲雄氏が2007年1月28日付京都新聞に掲載した「ソフィア」で、『「神とひとつ」信仰 再評価を』と題して賀川豊彦について語っている。一部転載したい。
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 賀川豊彦といっても、若い世代にはもう無名に近い存在になっているのではないか。それがいささか淋(さび)しい。敗戦直後、かれの「死線を越えて」を読んで、全身が震えるような感動を覚えたことが忘れられない。
 貧民窟(くつ)にのりこんだ主人公が悪戦苦闘のすえ庶民の心に溶け込み、しだいに社会運動に献身していく健気(けなげ)な生き方が、賀川自身の体験にもとづいて描かれていた。
 神戸に生まれた賀川豊彦は十六歳のときキリスト教の洗礼をうけ、神戸神学校時代に路傍伝道を始めている。しかし結核に冒され苦悩の日々を送る。そんな逆境の中で明治四十二年、神戸新川の貧民窟に身を投じ、本格的な伝道を始める。結婚もし、単身でアメリカ留学をはたすが、大正六年に帰国してからは、のちに日本労働総同盟となる友愛会に参加し、中央委員となって活躍する。その体験をふまえて書かれた「死線を越えて」は大正九年に出版され、空前のベストセラーになった。この小説は上中下の三巻からなり、上巻だけでも二百版を重ね、ほぼ百万部が売れているというからすごい。

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 やまおり・てつお 1931年生まれ、岩手県出身東北大学院博士課程修了。専門は宗教学、思想史。国立歴史民俗博物館教授、国際日本文化研究センター所長など歴任。