黎明22 新天文学の方向

   新天文学の方向

 新しい天文学の立場からケムブリッヂ大学の教授ジーンズ博士は、その著『我等をめぐる宇宙』の中で、宇宙は神によって創造されたといふことを論じてゐる。彼は、凡ての恒星の年齢を研究しても、大体同一時刻から出発してゐると考へる。また恒星の運動の方向、距離、年齢、太陽系の構造等から考へでも、どうしても天地宇宙は神が創ったものであることを、ジーンズ博士は主張してゐる。
 不思議なのは、太陽系の諸遊星の間隔が、水素原子やその他の原子の中に軌道を持つ電子のそれに等しいことである。それは全く偶
然ではない。そこに秩序整然たる約束のあることをわれわれは考へさせられる。殊に、地球の生れ出た時期と方法を考へても、ただぼんやり星雲から進化したのではない。不思議な運命があって、幾十億年に一回しかない機会に地球は創出されたのだと、ジーンズ博士はいってゐる。新しい科学が、もう一度『旧約聖書』の第一頁に還りつつあることを私は不思議に思ふ。