空音本編復旧完了のお知らせ

なんか読み直してたら書き直したくなってきたので、途中から作業的にコピペしました。 とりあえずこれで。左のカテゴリからが読みやすいと思います。

復旧作業中

infoseekが死んだので復旧作業中です。 とりあえず突貫でリリカルマジカルがんばります。(1stBD買いました)追記:とりあえず空音1話のみ復旧しました(あとがきは削ってますが)

4話 ハイウェイの澱 -8-

悪霊どもはその人から出て、豚の中に入った。すると豚の群れは崖を下って湖になだれ込み、おぼれ死んだ。(ルカ 8:33) ◆「なんでこう、しつこいんですか、ねっ!」 「知らないわよ、狗だから猟犬よろしく執念深く狙っ、た獲物は逃がさないんじゃない、のっ!…

4話 ハイウェイの澱 -7-

ところで、その辺りの山で豚の大群が餌をあさっていた。汚れた霊どもはイエスに、「豚の中に送り込み、乗り移らせてくれ」と願った。(マルコ:5:11〜12) ◆ 皆さんは『偶然』について考えたことがあるだろうか。 『偶然』は日常のどこにでも転がっている。…

4話 ハイウェイの澱 -6-

そして悪霊どもは、底なしの淵へ行けという命令を自分たちに出さないようにと、イエスに願った。(ルカ:8:31) ◆ さすがに唖然とするわたしを尻目に、優羅とリースさんはなにやら打ち合わせをしている。 「じゃあ、私がアクセルを念動力で押さえてるからそ…

4話 ハイウェイの澱 -5-

そこで、イエスが、「名は何と言うのか」とお尋ねになると、「名はレギオン。大勢だから」と言った。(マルコ:5:9) ◆ 犬、と言ってももちろん、通常の犬では有り得なかった。 まあ、高速道路を走る車に追走できる、という時点で普通の犬なわけはないじゃん…

4話 ハイウェイの澱 -1-

彼は昼も夜も墓場や山で叫んだり、石で自分を打ちたたいたりしていた。(マルコ5:5) ◆『いや、こちらとしてもこのような事態になるとは思わなかった』 変わった電話の相手――三山と名乗った人物は、すまなそうに言った。 先ほどの接触から遠慮がなくなったの…

4話 ハイウェイの澱 -3-

これまでにも度々足枷や鎖で縛られたが、鎖は引きちぎり足枷は砕いてしまい、誰も彼を縛っておくことはできなかったのである。(マルコ:5:4)◆ きょとん、とした。 なぜかというと、前の座席の二人が一斉にこちらを振り向いたからだ。 「あの、二人ともどう…

4話 ハイウェイの澱 -2-

この人は墓場を住まいとしており、もはやだれも、鎖を用いてさえつなぎとめておくことはできなかった。(マルコ:5:3)◆「うーん、首都高で案外時間をとられたのが痛かったわね。ちょっとしか乗らないってのに」 リースさんはハンドルをトントン、と指で叩き…

4話 ハイウェイの澱 -1-

イエスが舟から上がられるとすぐに、汚れた霊に取りつかれた人が墓場からやってきた。(マルコ:5:2) 春の足音が聞こえてくる3月――とはいうものの、外気はまだまだ肌寒い。 もっとも高速道路を走る車の中にいるわたしには、外の気温がどうであろうと関係な…

3話 古本は紙魚の骨を食べるか -7-

戦慄と恐怖で思考が乱れそうになる。 いや、まだ手はある。 わたしはあきらめない、とあの日心に決めたのだから。 「三ノ宮さん本が置いてあったテーブルはどこ!」 「え、あはいこっちです」 『レナートさん!』 わたしは能力を全開にして最大強度で放つ。 …

3話 古本は紙魚の骨を食べるか -6-

「んじゃ、作戦会議と行きましょうか」 「さくせんかいぎ……ですか?」 無事、文芸部室に避難できたわたしたちは畳(何故か知らないが文芸部室は畳だ)に向かい合って座っている。 三ノ宮さんはきちんと正座というものがができていて、背すじもちゃんと伸びて…

3話 古本は紙魚の骨を食べるか -5-

―――本当に夜の学校は不気味だと思う。 正確にいえば、夜、というほどまだ暗くはないのだが、薄暗い廊下に響く自分達の足音はいつもより大きく聞こえて、不安を煽ってくれる。 とりあえず靴を履き替えに教室へ。 学校指定の革靴でアクションをやるにはどうに…

3話 古本は紙魚の骨を食べるか -4-

「あのう…、どこにむかってるんでしょう?」 前を歩くわたしに『窓際の君』こと――三ノ宮 優羅(自己紹介してくれたのでようやく名前を知った)さんがそう訊いてくる。 「ん?とりあえずこのままだと校舎から一歩も出られないし、反撃するにしても準備が必要で…

3話 古本は紙魚の骨を食べるか -3-

いつものことといえば、まあ何時ものことなのだが。 また厄介なことになったなあ、というのがわたしの正直な感想だ。わたしはとりあえず職員室にむかって歩きながら、鈴華の話を思い出す。 ◆「いいですか空音、今日は結界についてのお話です。ではまず定義か…

3話 古本は紙魚の骨を食べるか -2-

昼休みも半ばを過ぎた。 怒涛のラッシュも過ぎ、人もまばらになった食堂近くの購買で350mlのペットボトルと、かろうじて残っていたと思われるサンドイッチ(少し形のくずれたサーモンフライサンド、見た目も味も値段も微妙)とうぐいすパン(まあうぐいすパン…

3話 古本は紙魚の骨を食べるか -1-

わたし、坂下空音は高校2年生だ。 『高校生2年生である』、ということは、『平日は学校に行く』ということである。 まあ中には学校に行かない高校生もいるとは思うけど。 身近な例を上げると、和真は出席日数は大丈夫かと心配するくらい学校に来ない。 ・・・…

2話 瓶詰悪魔 -7-

ちーちゃんはわたしに気にするなと言った あーちゃんはわたしにごめんねと言った わたしはなにも言えなかった ◆リビングのテーブルの上に無言で鈴華の入った箱を置く。 『空音。今までありがとうございました。あなたと暮らした間はわたしの人生のなかで最も…

2話 瓶詰悪魔 -6-

わたしは自分の性質がだんだん強くなっていくのを感じた。 二人から距離をとった。 二人ともものすごく怒った。 わたしは泣いた。 結局仲直りした。 わたしはこれを今でも―― ◆時計の針と共に死は確実にわたしに迫る。 和真はいろいろと悪魔に質問している。 …

2話 瓶詰悪魔 -5-

中学になってもわたしたちの関係は変わらなかった。 ちーちゃんもあーちゃんもけっこうもてた。 好きな人の話もした。将来についても話したりした。 ◆1時間が過ぎた。 和真は一人で瓶の蓋を捜索していたが見つかっていない。 わたしはさっきからこうしてボ…

2話 瓶詰悪魔 -4-

たまにケンカもした。 でも最後にはちゃんと仲直りした 3人で笑って3人で泣いた ◆不本意ながら夕食の準備は中断した。和真に一通り事情を説明する。 「いやはやひさびさに面白い展開だ!助っ人の介入によって真実は白日の下にさらされ一気に事態は急展開!…

2話 瓶詰悪魔 -3-

おんなじ小学校にもいったし おんなじクラスにも何回もなった 違うクラスのときも3人よく集まって遊んだ ◆時間が過ぎる。 『悪事を働く』と、自ら宣言した悪魔はその言葉に反して あいかわらずぼんやりとTVを眺めているだけだ。 何が楽しいのか芸能人旅行記…

2話 瓶詰悪魔 -2-

どこにでもいったし どこでもあそんだ ちーちゃんは男の子たちにもまざってよく遊んでいた あーちゃんはおとなしくていつもにこにこ笑っていた わたしはふたりのあいだをうろうろしていた ◆第1回 坂下家、悪魔との夕べ。 ・・・いやふざけているわけじゃな…

2話 瓶詰悪魔 -1-

いっしょにまた遊ぼうね。とちーちゃんは言った。 うん、とあーちゃんも言った。 わたしは黙って頷いた。 わたしたちは仲のいい3人組だった。 ◆その日は日曜で、わたしは近所のスーパーまで買い物に出ていた。 具体的に言うと、タイムセールのチラシがポス…

 1話 ある日、道端で吸血鬼に -7-

公園。昼間はそれなりに人がいるのかもしれないが、この時間では人影がなくて当然だろう。わたしと和真は住宅街の片隅にある公園にリースさんの跡を追って侵入する。 いた。 彼女は広場の真ん中にひとり佇んでいる。その視線は斜め上を見ているみたいだ。 ジ…

 1話 ある日、道端で吸血鬼に -6-

一直線に帰宅したわたしは挨拶もそこそこに、 部屋から持ち出したこの町の地図をリビングに広げる。 四方に重しを置いて固定する。ついていたTVの音量を下げる。 『おかえりなさい。・・・・・もうみつかったんですか?』 臨戦態勢に入りつつあるわたしを…

 1話 ある日、道端で吸血鬼に -5-

結局、紙袋のままわたしの部屋に放り込むことにした。 リビングが玄関から一番奥にある構造でよかったといえる。 リビングに戻ったわたしはエルクさんに開いている部屋に案内する。わたしの保護者―――いま海外だけど―――が使っていた部屋だ。多少埃くさいが、…

 1話 ある日、道端で吸血鬼に -4-

リビングの扉が開く。 「来たぞ、坂下」 入ってきたのは、緑丘和真。わたしと同い年の少年である。 どことなく陰がある、といえばカッコイイがわたしにいわせれば地味目というだけだろう。 顔はわりといい部類に入るか。 ちなみに同じ学校に通っていたりする…

 1話 ある日、道端で吸血鬼に -3-

玄関の鍵を開ける。 「ただいまー。あ、エルクさんどうぞ」 エルクさんのほうを見る。 「?」 エルクさんはドアの前で立ち止まっていた。 「ソラネ、この結界は―――」 「あ、やっぱりわかるんですか、すごいな」 とわたしが答えていると。 『おかえりなさい、…

 1話 ある日、道端で吸血鬼に -2-

「お断りします」 3秒しか固まらなかったのは自分に花マルをあげたい。 あ、つい反射的に断ってしまったがいいのだろうか・・・・ 「そうか、残念だ」 男は残念がる様子もなくそう答える。 わたしは『それならここで私の餌食になるのだな!』 ぐらいの言葉…