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Something Orange このページをアンテナに追加

2004-05-20(木)


ハチミツとクローバー (6) (クイーンズコミックス―ヤングユー)

ハチミツとクローバー (6) (クイーンズコミックス―ヤングユー)

 読了。

 めちゃくちゃおもしろかったです。スチャラカクラブ系としては当代最高の作品なのではないかと。

 僕はこの種の作品がすごく好きで、気がつけばそればかり読んでいるような気もします。「夜が来る!」とか、すごく好き。大好き。愛している。

 「恋愛」とか「闘争」とかに還元されない「場」の物語の魅力については先のリンクを参照してほしいのですが、個人的にはSOS団はハーレム系で、ちょっと系統がちがう気がする。

 スチャラカクラブものとしては「ハルヒ」よりむしろ「学校を出よう!」のほうが正統なのではないかと。


世界の中心で、愛をさけぶ

世界の中心で、愛をさけぶ

 読了。

 それほど悪くない作品だと僕は思う。ご存知のとおり柴崎コウその他のおかげで日本文芸史上最大のベストセラーになってしまった小説なのですが、そういった余計な事情を取っ払って純粋に作品だけを見てみればあえてけちをつけるようなものではありません。

 文体は端正だし、視点はバランスが取れている。「奇跡の純愛小説」なんて仰々しい宣伝文句に騙されて涙腺全開にする用意をして読みはじめたひとは期待はずれかもしれないけれど、そういう邪念に毒された読みかたさえしなければそれなりに楽しめる。

 たしかに読むものを圧倒するような強烈な個性には乏しく、物語はひたすら淡々とすすむんだけれど、それもこのひとの作風でしょ。

 ひごろ強烈な個性をもった作品ばかり読んでいるのでこの淡々とした展開はかえって新鮮でした。

 Amazonあたりを見に行くと「結末が読める」といった批判を見かけるのですが、そもそも物語はヒロインが死んだあとから過去を回想する形で始まるんだから読めるもなにもないのではないでしょうか。

 著者はべつに意外な展開などもくろんではいないと思います。

 もちろんそれほど出色の傑作というわけではないし、ごくありふれた話ではある。でも世の中に流通している小説の99パーセントまではそういうものなんですよね。

 「泣きたいと思って読んだけれど、泣けなかった」という声も耳にしますが、そもそもこれ、読者を泣かせようとして書かれた小説だとは思えません。

 書きようによってはドラマティックに盛り上がる場面をあえて淡々と流してあって、そういう意味では感情を喚起する作品ではない。泣かせという点では「イリヤの空、UFOの夏」あたりのほうが10倍はあざといでしょう。

 でもあきらかにそういった境地をめざして書かれていないんだよね。そもそもこの小説の評価を見ていて気になってしまうのは、多くの評者の評価基準が「泣けるか、泣けないか」、「感動できるか、感動できないか」、それだけだということ。

 「泣けた→良かった」「泣けなかった→ダメ」みたいな評価がめだつ。この小説は大衆の「泣きたい」という欲望の祭壇にささげられた生贄なのかもしれない。

 そんなに泣きたいのなら目薬でもさしていればいいじゃんと僕などはおもいますが、いまとなっては目薬も小説もたいして変わらないのかもしれません。