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2007-07-31(火)

 かがみだってオタクじゃね?問題。


 今日の記事は『らき☆すた』を見ていないひとにはさっぱりわからないお話。見ていなひとはどうすればいいの? 見ればいいと思うよ。

 さて、もし『らき☆すた』の登場人物のなかで、オタク的なキャラクタをひとり挙げろといえば、だれでも泉こなたを挙げるだろう。

 外見こそかわいい女の子のこなたの内面が男性オタクそのものだということは、よくいわれる話である。で、男性オタクはこなたに自己投影して『らき☆すた』を楽しんでいるのだ、という話もよく聞く。

 それに対して、彼女の友人のかがみは、「非オタク」の「一般人」を象徴しているように思える。彼女はこなたのくり広げるオタトークにほとんど付いていけないし、こなたの露骨なマニアぶりに困惑しているように見える。

 しかし、彼女がこなたの存在を否定することはない。口先でいくら辛らつなことをいっても、かがみはどこまでも優しいのである。だから、こういう意見も出てくる。

かがみは、オタクにとって理想的な一般人だ。

かがみは昼休みの度にこなたたちのクラスに遊びにくるので、自分のクラスのメンバーとはあまり親しんでいないようだ。かといって、こなたのクラスでこなた、つかさ、みゆき以外の生徒と親しく会話することもない。設定では、双子の妹・つかさ繋がりでこなたと友人関係になったとなっている。別に自分のクラスでハブられている(仲間はずれ)わけではないのだろうが、かがみはこなたとはよくTVゲームで遊んでおり、趣味も一致しているようだ(そういえば、アニメではつかさがこなたとゲームをしている場面はなかった)。もっとも、かがみのゲーム好きは、オタク的なレベルではなく、そんなに深くやり込んでいるわけでもない。対戦してもこなたには負けてばかり。汎用的な枠内で楽しんでる程度のようだ。

したがって、本来、かがみはこなたのオタク話の内容はほとんど理解できていない。とはいえ、分からないながらも、こなたのオタク話に付き合っているという面で、かがみは一般人として特異な存在だと思う。もちろん、こなたがかがみにオタクネタを振るときには、適当に噛み砕いた口調で一般人にも分かりやすく言っており、そういう面も無視できないが、かがみが「オタクネタに突っ込みを入れてくれる一般人」として描かれているのは重要だ。にもかかわらず、こなたとかがみの会話は、基本的に、こなたのボケに対してかがみがツッコむ形で完結する。

 ま、そうだよな、とぼくも思う。いや、でも、ほんとにそうか? かがみだって、けっこうオタクじゃね?

 ここで焦点をあてたいのが、ライトノベルを巡る描写である。それほど目立つ設定ではないが、かがみがライトノベル読みであることは、作中で時々示唆されている。

 それに対して、こなたはほとんどその手の本を読まないようだ(というか、基本的に読書そのものを好まない模様)。この分野にかんしては、かがみのほうがこなたより「濃い」のである。

 もちろん、かがみのライトノベル趣味は「一般人」の領域を逸脱するようなものではない。こなたが生活のあらゆる面に趣味を持ち込むのと対照的に、かがみは節度をもって、ごく常識的に趣味を楽しんでいるように見える。

 だから、従来の価値観でいうなら、こなたのようなタイプが「オタク」で、かがみのようなタイプは「一般人」の範疇、ということになるだろう。

 でも、いまとなっては数的に多いのはこなたタイプよりかがみタイプかもしれないとも思うんだよね。

 どんなジャンルでも、量的に一定数を超えれば、「濃い」ひとのほうが「薄い」ひとより多いなんてことはありえなくなる。

 ライトノベル読みにしても、某トンボさんとか某平和さんみたいな月に50冊も読む変質者その道の達人がそんなにいるはずがない。

 たぶん、現状では既にこなたのような「パーフェクトオタク」より、かがみみたいな、完全にオタクといえるかどうか微妙なラインのひとのほうが数的に多いはずだ。

 ラノベは読むし、漫画もけっこう好きだけれど、オタクといわれるとちょっとね、みたいなタイプ。そういう意味では、こなたよりかがみのほうが、よりリアルに「いまどきのオタク」の実像をあらわしているように思う。

 自分の趣味や人格をすべて周囲にさらしてしまっているこなたは、ある意味で安定した人格のもち主である。彼女がそうやってあけっぴろげに自己開示できるのは、健全な自尊心があるからだ。

 こなたはよく自分の趣味や境涯を自嘲して見せるが、しかし本質的なところでは、自分自身を恥じてはいないように見える。あふれるほど情報に満ちているこの現代社会に適応しまくり、彼女は楽しく生きている。

 それに対して、生真面目で優等生タイプのかがみはもっと危うく見える。たぶん、彼女のほうがこなたより孤独に対する耐性が低いのかもしれない*1

 最近、進級の際にかがみがこなたたちとは別のクラスに割り振られてしまって寂しがるというエピソードがあったが、もしその立場になったのがこなただったら、すぐにその立場に馴染んで新しい友達を作ったんじゃないかな。

 しかし、かがみはそうは行かない。上記引用にもある通り、彼女は進級してもあいかわらずこなたたちの教室に遊びに来る。何も考えずに見ていると、ほとんどこなたと同じクラスとしか思えないくらい*2

 表面的なところはともかく、実はよりあいてに依存しているのは、こなたよりむしろかがみのほうなのだとぼくは思う。

 オタクであろうがなかろうが、こなたみたいに自分の生き方を貫いた上で他者と健全な関係を築ける人間はそう多くはない。それに比べて、かがみみたいなちょっと不器用なタイプは、はるかに多いはずだ。

 そういう意味でも、かがみは「いまどきのオタク」の一部、オタクになりきれないオタクを象徴するキャラクターなのである。ほんとか? たぶん。

 そんなかがみん萌え。

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*1:ここらへんはこなたが母親がいない家庭のひとりっ子で、かがみが4人姉妹をふくむ6人家族の3番目、ということも関係していると思う。ていうか、よくできた設定だな、おい。

*2:原作者が何も考えていないという可能性はあるが、とりあえずアニメ版はかなり意識していると思う。